6/23更新

「前置きはいらん」

「では、僕がこの病院に忍び込んだ時にはすでに遺体を使用した研究が行われていたようですね。ちなみにMKについてのレポートを黒塗りにして置いておいたのは僕です。TRPG感が出て良かったでしょう?」

 恵吾はリアクションを取るのが癪だったので黙って続きを促している。

「……その時に、ここの研究主任と柊木会の接触がある情報を掴みました。しかし、その情報が漏れたことに焦りを感じ、ここを手放すことに決めたのでしょうね。狼狽える姿が見たかったので、とりあえずここの施設については僕が競売に出しておきました。研究主任は下手に上に報告できないし、買い戻す余力もなかったでしょうから。まあ、ここをアヴェさんが買うことになるとは思いもしませんでしたが」

 無言の圧力に負けたのか、拓は話を続ける。

「おっと、その時の雇い主が誰かは言えませんよ? これでもプロなので」

「他には?」

「特には」

「雇い主からの命令やぞ?」

「神園さんご自身に自覚はないようですが、被験体であることは間違いないようです。死者を蘇らせる実験だとか」

「本当?」

「ええ、間違い無いですよ。これがレポートの原本です。医療分野は不得意でしてね。アヴェさんお願いできますか?」

「はい……」

 真理愛は隠しきれない嫌悪感を顔に出しながら受け取る。

「こんなものでしょうか?」

「ふん、まあええわ。じゃあ、これからの話やな」

 恵吾は徐に立ち上がる。

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