5/18更新

「あー! 真理愛ちゃんやっほー!」

「神園さん! やっほーです!」

「真理愛ちゃんこれどういうこと?」

「ご説明しますね! 奥へどうぞ」

 真理愛に案内されるままに奥へと進むと、ティーセットの用意されたローテーブルとソファーが設置されたスペースへ辿り着いた。ロココ調のあしらいは真理愛の趣味だろうか。

「おかけください」

「では、遠慮なく」

 拓はソファーに座り、茶菓子に手をつけ、紅茶をすする。

「マスターは?」

 恵吾は砂糖とミルクをコーヒーに入れ、味見をする。ミルクが足りなかったようで、ミルクの入った瓶を注ぎ直す。

「安心してください。命に別状はありませんよ。ただ、未だに意識が戻ってはいませんが……」

「そっか……まあ、よかった」

 恵吾は安堵の表情を浮かべ、背もたれに身体を預ける。

「真理愛ちゃん。ここって?」

 魔魅子はコーヒーに砂糖とミルクを溢れんばかりに加え、コーヒーというよりコーヒー風味の砂糖入りミルクをマグカップで錬成した。

「そうですね……。まずはこの施設ですが、人体実験を行っていた施設のようです」

 マリアはブラックコーヒーを啜り、重たい口を開いた。

「人体実験……?」

「やっぱり……」

「やはりそうでしたか」

 魔魅子と拓の反応は心当たりがあるようだった。

「ユートピアが襲撃され、千葉さんが拉致された後、拠点になるような場所がないか考えたんです。私の診療所や綿奈部さんのガレージでは狭いですし、相手に場所が知られている可能性がありました。それに、マスターを安全に治療する場所の確保も必要でした。そこで思いついたのが、この病院です。ここなら機材を運べば治療できるし、敵から身を隠すこともできるじゃないですか。そういうわけで、土地ごと購入しました」

「えらい思い切ったな……」

 恵吾は目を丸くして呟いた。

「まあ、診療所の規模を大きくしたいなとは思っていたので、ちょうど良かったです。そこで、機材の搬入ついでに……」

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