4/11更新

二度目の爆発音が聞こえる頃、宗盾は椅子に腰掛け、恵吾と向き合っていた。

「なんや騒がしいな……お誕生日パーティーか?」

 恵吾は正面の宗盾に言葉を吐く。

「誰もお呼びじゃねえんだよ! 招待状なんざ出してねえからな!」

「あ、おともだちおらんのか……寂しいやっちゃな」

「黙れねえなら壁に喋っとけ!」

「お前と違って俺おともだち多いねんで、ほら」

 恵吾が視線をドアの方へやると、バタンとドアが開き、三人の襲撃者が入ってくる。

「木村は裏切りやがったか」

 はあっとため息をつき、宗盾は椅子から立ち上がり襲撃者の方へ向き直る。

「千葉恵吾のおともだち諸君! 悪いが招待状のない客はもてなせないぞ!」

「すぐ帰る。千葉を回収しに来ただけだ」

 三人はナノデバイスを光らせ、各々の武器を具現化させていた。

「三人がかりとは弱いものいじめはやめてくれねえかな!」

「怪我人を救護するだけです。無闇に患者を増やしたくないのですが」

「威勢がいいなお姉ちゃん!」

 宗盾は真理愛の首元目掛けて右腕を伸ばす。宗盾のナノデバイスは明るい茶色に光を放ち、右腕に武器を具現化させる。真理愛の首元にはドスの切先が迫っていた。

「おっと、反社会組織の人間が一般人に手をあげていいのかな?」

 宗盾の右腕は祥貴に握られ、宗盾の首元に十手が向けられている。

「これはこれは、期待の刑事さんか。お巡りさんが何の用だ?」

「一般市民の救助だよ。あと、ナノドラッグについて聞かせてもらおうか……」

 宗盾は十手を持った祥貴の腕を掴み、宗盾と祥貴は膠着状態となる。すかさず真理愛がメスでドスを持った宗盾の腕の腱目掛けてメスを振り抜く。宗盾は一歩下がり、最小限の動きで攻撃をかわすが、足元に赤く光る鎖が現れ、バランスを崩す。綱吉はチェーンソーを振りかぶり、迷うことなく宗盾の首を狙う。

「ストップ!」

 恵吾は叫び、他四人は動きを止める。

「そいつは俺がやるわ」

 恵吾が綱吉にアイコンタクトを送ると、綱吉は面倒そうにチェーンソーで恵吾の拘束を解く。祥貴は胸の傷に気づき、「趣味が悪いな」と呟き、ナノマシンを引っ込める。宗盾の足の鎖が解かれ、四人と距離を取る。

「組長さん。三人がかりでは流石に分が悪いみたいやったな」

「何言ってんだ! 四人でも足りねえよ」

「いや、俺一人で行かせてもらうわ」

 恵吾は椅子の傍に置いてあった外されていた自分のデバイスを装着し、起動する。青い輝きが恵吾の全身を包み、筋肉が浮き出る。

「折角サインくれたんやしお礼はせんとな!」

 恵吾の身体が消えたかと思うと、宗盾の顎に拳が振り抜かれていた。宗盾は大きくのけぞり倒れそうになったが、すんでのところで踏みとどまった。

「良いパンチ打つじゃねえか」

「褒めてもらえて光栄やな!」

 恵吾は追撃として蹴りを繰り出した。宗盾は蹴りをかわし、ドスで切りつけようとする。恵吾はドスの軌道を読み、咄嗟に足を引く。蹴りを中断していなければ、ドスで重症を負っていただろう。右足がくっついていることを恵吾は感謝した。

「流石組長さん」

「うるせえよ」

 今度は宗盾から恵吾へドスを繰り出す。恵吾は動きを見切り、ドスをかわすが、宗盾の攻撃の手は続けざまに行われ、恵吾に反撃の余地を与えない。

「やっぱり口だけ野郎なのか!?」

「それは組長さんがやろ! サシでやってこんなもんか?」

 身体強化をした恵吾と、ドスを振り回す宗盾の動きが更に加速していく。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る