地層の成り立ち
亜璃逢
地層の成り立ち
それは、私が持っている病気の特徴のひとつだそうだ。
「あ、コレ、なくなってたな」
とかごに入れる。
「あー、コレ、ヤンチューバーの人が使ってたやつだ」
とかごに入れる。
「そういや、コレ、気になってたやつだ、あ、やっす!」
とかごに入れる。
「ただいま~」
誰からも返事がない一人暮らしなのに、つい言ってしまうひとこと。
この時期は服にも髪にも花粉がついてるし、リビングにこのまま入りたくないから、荷物を置いてシャワー直行。服はどさっと洗濯機の中へ。
「♪ふんふ~~ん」
シャワーのあと鼻歌を歌いつつ髪をバスタオルでグルグル巻いて、買ってきたものを眺めて満足する。
それから、仕分けしたり、冷蔵庫に入れたり、まあいろいろ。
だからといて、きっちり片付けるかというとそうでもなく、袋に残ったままの品はそのままだ。
そして、それが繰り返される。
ぐちゃぐちゃ地層ができていく。
片付けなきゃな~とは思うものの、重い腰を上げるのに一苦労。
いったん片付け始めるとかなり集中するのだが、いかんせん、思い出の品が発掘されたりすると、ひとりでブツブツその思い出に没入しはじめたりなんかして・・・。
お気に入りの本が発掘されたら、1巻から読み直してみたりなんかして・・・。
特等席は布団の中。
壁に背を預けてまるでカウチソファ(違)
私にとってそれは、布団の中で開催されるひとりパーティのようだ。
楽しくて、気づけば数時間平気で経っていたりする。
もちろん布団の周りには、すぐにお湯が沸く電気ポットやら、お菓子やらインスタントコーヒーやらはちみつ紅茶などなど常備。完璧だ。
朝から晩までそんなことをしていると、ご飯を忘れることもままある。
私が通ったあとは、なにかした形跡が点々と残っていたり・・・。
それが積み重なっていようが、まあ、生きていればそれでいいやなんて目も向けなくなってくる。
セルフネグレクトまっしぐらだ。
仕事先ではあんなにビシッときれいにしていないと気が済まないのに。
外に出るときは、ちゃんとメイクも服装もそれなりに見えないと気が済まないのに。
家にいるとなんでこうなんだろう。
家どころか、人生もぐちゃぐちゃになりそうだよ。
地層の成り立ち 亜璃逢 @erise
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