第5話 テホドキ/絢辻さん攻略法を薫が伝授してくれたけど…

○輝日東高校教室・放課後

   #チャイムの音&下校する生徒達のざわざわとした声。

   #教室を出て行こうとする主人公、薫に捕まる。


「ちょっとちょっと。(声を潜めて)昼休みのアレ、すごかったわね。」

「なにって、絢辻さんのことよ。」

「すっごい迫力だったけど……あたし、なんかしちゃった?」


「《めちゃめちゃ張り合ってたくせに》って……かる~くよ、かる~く。」

「まさかあそこまでムキになるとは……っていうか。」

「ああいうのには絶対に乗ってこないタイプだと思ってた。」


「だっておかしくない?」

「前だったら優等生らしく『どうぞどうぞ~』ってやってたじゃない。」

「……あんた、何か理由知ってる?」


   #主人公、なにも知らないよ、としらばっくれる。


「あ、なるほど。あんたたち付き合ってんのね。」


   #ええっ!? と驚く主人公に、逆に驚く薫。


「えっ、ホントに!? 冗談で言ったんだけど……ウソじゃない、のよね?」

「だって、完全に尻に敷かれてる感じだったし。」

「彼氏というより……召使い? いやもっとひどいやつ?。


「とにかく、彼氏彼女って感じはないわよね。」

「……いや、そんなにヘコまれても。そう見えるってだけだし。」

「ていうか、あんたも男なんだからガツンといきなさいよ。」


   #ガツンといったらそれ以上にやられるから……と主人公。


「怖いって……そんなんだからなめられるの!」

「たまにはガッとやんなさい。」

「絢辻さんみたいなタイプほど、そういう押しに弱いんだから! ……多分。」


   #多分って……という言葉にあきれる主人公を遮るように。


「とにかく、強気でいく! そのほうが絶対に後々いいって。」

「《なんでそんなにアドバイスをくれるのか》って?」

「そりゃあ……その方が面白そうだし!」


「あの絢辻さんがオタオタしたり弱気になるとこ、見たいし。」


   #あきれて立ち去ろうとする主人公。その背中に声をかける薫。


「ちょっと、どこ行くのよ? 《絢辻さんちで勉強》ぉ?」

「ねー、それよりカラオケ付き合ってよ。ねーってばー!」



《第6話へ続く》


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『ASMRボイスドラマ アマガミ Vol.6 絢辻詞編』(CV・名塚佳織、CV・佐藤利奈)

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