第4話 ツナヒキ/絢辻さんとの勉強会の日に薫からカラオケの誘いが…

○輝日東高校教室・昼休み

   #デートから数日後。

   #昼休みのざわざわとした教室(環境音など)


「お、いたいたー。学食いないから探したわよ。」

「なるほど、お昼はパンで済ませてたのか。」

「あっと話が逸れた。ね、今度の土曜さ、カラオケ行かない?」


「……え、ダメ? えーいいじゃんどうせヒマで予定なんてないんでしょ?」

「じゃあそのありもしない予定とやらを言ってみなさいよ。ほら。」

「……言えないけど予定アリ。ははーん、まさか……彼女とデートとか!?」


   #そういうんじゃないよ! と主人公。


「だよねーわかってる、あんたに彼女とかありえないもん。」

「ちょっと、なにがっくりしてるのよ。ホントのことじゃない。」

「ほら、しょぼくれてないでさー。」


「新曲も入るし、行こう。ひとりで行ってもつまんないし。」


   #腕を組んで誘ってくる薫。衣擦れの音。


「棚町さん、ちょっといい。」


「へ? 絢辻さん?」


「彼、強引に誘われて困ってるわよ。」


「はぁ……いやいやいや、絢辻さんには関係ないでしょ?」


「確かに関係はないけれど、現に困ってるし。」


「……あ、もしかして!」


   #バレる!? とわたわたする主人公。

   #ガタッとイスから立ち上がる音。


「どしたのよ、急にワタワタして。」


「(微妙に圧をかけながら)少し落ち着いたほうがいいわよ。」


「とにかく、アレでしょ、絢辻さん。」


「はい?」


「一緒に行きたいんだ、カラオケ!」


「え……違うわ、そういうことじゃなくて……。」


「違うの? あー、あんまり歌とか興味ないもんね。ごめんごめん、勘違い。」


「分かってもらえたのならいいのだけど。それで、彼は……。」


「(詞の言葉を聞いていない)ねぇねぇ、カラオケなんだけどさー。」


「……!」


   #ドン、と机を叩く詞。


「ねぇ、ちょっと耳を貸してもらえる?」

「もじゃ子の誘い断って。もちろん勉強会のことは内緒のまま。いいわね。」


「ちょっと、人が話してる前で内緒話って……感じ悪いわねー。」

「だったらあたしにも耳を貸しなさい!」


   #薫も対向して耳元で囁く。


「新曲はあんたの大好きなガソガルのオープニングだよ?」

「しかも2クール目ときたもんだ!」


   #思わずホントか! と反応する主人公。

   #椅子がガタッとなる音。


「きゃっ!」

「(黒い笑顔で)もう、いきなり大きな声出すからびっくりしちゃったじゃない。」


「(してやったりの表情で)ごめんあそばせ~。」


   #ぐっと主人公の耳を掴み引き寄せる詞。


「私との約束破ったら、分かってるんでしょうね? 加減できないわよ?」


   #急に息を荒くしてほほを赤らめる主人公。


「ちょっと、こいつの顔が赤くなってる!」

「そんなになるまで耳引っ張ったらかわいそうじゃない!」


「(小声)これは耳が痛いんじゃなくて興奮してるんだと思うけど……。」


「こそこそ相談してないで、一緒に来たいならあたしに言いなさいよ!」


「だから、別にカラオケに興味はないわ。」


「強情ね~! もういいわ!」


   #薫、再び主人公の耳元に近づいて。


「とにかく、ガソガル、アツかったもんねぇ、盛り上がったもんねぇ。」

「覚えてる? 中学の時クラスのアニメ好きでアニソンしばりカラオケやったの!

「あの熱をもう一度! どうよ?」


   #詞も主人公の耳元に近づいて。


「どうしてもカラオケに行きたいなら、あたしの部屋で何時間でも歌っていいわ。」

「ちょうどあたしも新しいタンバリンを叩き続けたかったのよ。」

「ほら、叩くとぺちぺちといい音が。」


   #ぺち、ぺち、と音がする。


「《それは僕のほっぺた》ですって? いいえ、これはあたしのタンバリンよ。」


「カラオケに来てくれたらガソガルのパイロットスーツのコスプレで。」

「一緒に歌ってあげる!」

「どう? あんた、アニメ雑誌の切り抜き持ってたぐらい好きでしょ?」


「大事なことに気づいたわ……」

「ほっぺを叩き続けられたら歌えないわよね、ごめんなさい。」

「だから、あなたさえよければお尻を叩き続けてもいいんだけど?」


「強弱をつけつつ、一心不乱に。」


   #ガタン! と立ち上がる主人公。イスが鳴る音。


「わっ!」


「きゃっ!」


   #ごめん、先に約束してた用事があるから! と薫を断る。


「急に立ち上がらないでよ、ビックリするじゃな……ええ~!」

「カラオケ行かないの!?」

「《先に約束してた用事がある》って……聞いてないわ!」


「残念ね、棚町さん。でも、先約があるなら仕方ないわね。」



《第5話へ続く》


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『ASMRボイスドラマ アマガミ Vol.6 絢辻詞編』(CV・名塚佳織、CV・佐藤利奈)

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