第3話 クンクン/絢辻さんが怪訝な顔で匂いを嗅いでくる
○ポートタワー屋上展望室・昼
詞
「ちょっと、ちょっと!?」
「よかった、気がついたのね。」
「ボーッとしたかと思うと急に溺れてるみたいにもがきはじめたからなにかと思ったわ。」
「クジラの餌って……なに?」
#僕がくじらを見失ったから……としどろもどろの主人公。
詞
「くじらを見失った……?」
「はぁ(ため息)、どうせまた変なこと考えていたんでしょ。」
#詞、くんくんと主人公に顔を近づけて匂いを嗅ぐ。
詞
「やっぱりね……。」
「前から気になってたんだけど、あなた嘘つくと変わった匂いがするのよ。」
「気づいてないと思うけど。」
#とっさに自分の匂いを嗅ぐ主人公。
詞
「嘘よ。フェロモンじゃあるまいし。」
「その様子じゃ、よからぬことを妄想してたみたいね。今さら否定しても遅いから。」
「ま、妄想なら害がなくていいわ。」
もっとも……その妄想の中にあたしが出てきたかについては問い詰めたいところだけど。」
#詞、再度匂いを嗅ぐ。
詞
「それにしても、あなたの匂いって……なんでもないわ。」
#気になるんだけど……という主人公の言葉を無視して。
詞
「あっ……もうこんな時間。そろそろ帰りましょう。」
「そんな寂しそうな顔をしてもだーめ。だいたい、期末テストも近いんだし。」
#期末テスト……忘れてた、と話す主人公。
詞
「《忘れてた》って……本気?」
「ね、まさかと思うけど、進級できないなんてこと……。」
「あぁでもあなたのことだからやらかしそう。」
#そんなことはないと思う……と弱気な主人公。
詞
「決めたわ。今度の土曜は、あたしの家で勉強会。いいわね?」
「返事は『はい』一回で! ……うん、よろしい。」
「それじゃ今日は帰りましょう。」
《第4話へ続く》
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