静けさ
田舎の真っ暗な夜。幼い私の目は黒しかとらえることができない。
耳に入るのは心の音だけ。
心臓が鼓動し、不安を頭脳に伝えてくる。
周囲と隔離されたかのような錯覚。
目を開けていても、閉じていても何かが変わるわけじゃない。
ただ、ひたすらに願った。
「早く夜が終わってほしい」
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数十年が経ち、私は都会に引っ越して社会人となった。
仕事と休日の双方で、私の目と耳は疲れ切っていた。
下を向きスマホをいじる人々、流行り物に夢中になる人々、商店から流れるコマーシャルソング、パシャパシャと鳴るシャッター音……。
心の疲れを抱えたまま、自宅に戻りスマホをいじる。
そして、自分の変化に気づいた。
「田舎暮らしは退屈だと思っていたのに、今じゃ都会暮らしを窮屈に感じてる。ひっそりとした田舎に戻りたいなあ。静かな場所がとても恋しいよ」
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