ウェブ小説との歩みかた

月乃兎姫

第1話

 誰でも一度は物語を描くことがあると思う。しかし、それは頭の中で思い描くだけで、実際に文や漫画などの絵に昇華させられる人はごく一部である。またしっかりと構成や道筋をつけ、誰もが納得できる形にするには更に少ないことだろう。


 ウェブ小説とは、特に誰もが文字を打つことで様々な物語を創り上げることができるわけだが、書き始める際に物語の設計図に当たるプロットや設定等を何も決めずに書き始める人もいる。


 私もその中の一人であり、正直文章にしても構成にしてもぐちゃぐちゃしているかもしれない。一例を挙げれば、物語途中で蘊蓄うんちくやら知識、また経験や予想などを取り入れ、話が脇道へと逸れてしまうのだ。


 それでこそ個性ではあるものの、昨今のウェブ小説を始めとしたものは、常に物語展開が先へ先へと急ぎ、内容や心情が薄いと感じることが少なくない。これは読者層を獲得するのと繋ぎ留めるための方策ではあるが、一貫して商業作品をこの流れを汲むようになってしまった。


 アニメや漫画、特にゲームはより顕著となっており、誰もがその名を知る国民的ゲーム類においてもその限りではない。これは世代交代や新しい風とも体裁よくも呼ばれているが、実のところは単にシナリオライター不足でしかない。


 ゲームライターがラノベやウェブ小説で活躍する一方、その逆は私の知る限り無いと言える。ECサイトや感想などを調べてみると、設定が浅い、内容が薄いなどと揶揄されるものばかりで、時にゲームメーカーそのものを倒産へと追い込むことがいくつもあった。


 このほかにもウェブ小説で一切評価されず、読者選考すらも通ることができず、一般文芸に応募してみたら、大賞となってベストセラーになった作品があることは記憶に新しいことだと思う。


 またウェブ小説では大人気の作品が商業に出た途端、1巻ないし2巻で打ち切りになる作品を目の当たりにしたことがあると思う。


 群雄割拠、出版業界の衰退、本が売れない時代だから……、果たしてこれらすべてはそれだけの理由なのだろうか? もっと根本、初めの一歩目から見直すときだと思う。


 企業も社会も、即戦力と効率化、また利益を求めた結果、人を育てることを忘れ、作品を育てることが一切なくなってしまった。

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