『境界橋の問答』
刀のことは
私は
私は『
ようやく『
「丁度休憩でもしようと思っていたところだ」と、霧奈を連れて空栖がついてくる。「いつもの部屋で良かろう。今日は何の用だ?」「何、ちょっとした調べ物だよ。あとは、涼梅殿の弔いだ」「掟破りの死には、
私が持ってきた香典は空栖の
「おおう、待たせたなあ」軽快な様子で、空栖は
私と霧奈は茶を、空栖は御神酒を持って、乾杯することになった。「で」と、空栖は問う。「何やら調べ物と言っていたな」「ああ、これなんだが」私は懐から、また『
夢の中の話なので非常に
「ふむ、忌刀か」話を聞き終えると、空栖はうんうんと頷いた。「霧奈、聞いたことあるか」「私は聞いたことないですけど」と、霧奈は首を振る。「当然、零士もないんだろう」「ああ、初耳だ。刀の種類なんぞ、日本刀、対妖刀、霊刀くらいしか知らん」「まあ読んで字の
空栖は今度は丁寧に襖を開けると、黒い
『白』と言えば、すぐに純白や潔白が思い浮かぶだろう。『白』は概念そのものだ。『色』にしてみても、概念そのものが存在としてある。『色』というものは、応用が利く。例えば『白』は別称を『
「ほう、流石の零士も忌刀の
私は今一度、『
「もしかしたら、
それに対する答えをどうしたものかと私は考えてみた。あの『
「恐らく
「か、家族」
ぽかんと口を開け、霧奈は放心したかと思うと、あっという間に泣き出した。「女を泣かすなよ」空栖が呆れたように言った。「今のは私のせいではないだろう」「まあ続きを話せ」「まあ、だから、それらのためにだな、私は戦う覚悟を決めねばならんわけだ」「なるほどな」空栖は霧奈の頭を撫でながら、溜息をついた。「いつだ」「分からん。が、近いうちだろう」「しばらく霧奈は預かっておいた方が良いかもしれんな」「いやです」泣きながら、霧奈は言う。「私は零士様のお
私は『
「そう言えば、この『
「ああ、母上だよ」
「涼梅殿か」
「巫女は
「なんのために」
「男と
「ああ」
男と交わったために死ぬことになった涼梅殿は、きっとこの忌刀を懐に忍ばせておかなかったのだろう。もし肌身離さず忌刀を持っていたのなら、空栖のことを思い出し、死ぬことを思いとどまったかもしれなかった。それが出来なかったのは、意志の弱さか、あるいは巡り合わせだったのだろうか。
「お前も忌刀を持っているのか」私が尋ねると、空栖は巫女装束の胸のところを叩いた。「無論持っている」「どれちょっと見せてくれ」「それは出来んな」「何故だ」「一度でも肌から離してみろ、それでは忌刀の意味がない」まったくその通りだと思った。私は今後一切、『
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