第2話 幻妖

愛は求めるのが先か、求められるのが先か。

信じるのか、疑うのか。

そういうのが粘着質を持って、呼吸を邪魔するように纏わりついてくる。

愛した人が化け物に、になってしまう。


化け物にしか

見えなくなってしまう。


ただ誰かに愛されてみたかった、ありきたりな感情。

不安にさせられた、よくある話。

車の急ブレーキ音を聞くとその先に人がいたのかもしれないと背筋が凍る。どこかで鳴り叫ぶクラクションは自分に向けられた警告か。

そうやって憶測は不確定な確信に見えてくる。

弱さを盾にした人間は強すぎる。

幸せ自慢にも不幸自慢にも誰かが叫んでる。

傷口に塩が熔けた熱湯を浴びせたように心の底であろうところが痛い。

人は弱すぎて強すぎる。

君はどう思う?

どちらでもない、そう。

そうか。


人間って中途半端で、愚かだ。

でもそれがいいのかもしれない。それを肯定しないとやってけないのかもしれない。

半熟の卵が一番おいしい。

意図して人は半熟を創る。

曖昧で不安定で、矛盾しているのに。


…あ


神様って、そうなのかもしれない。

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半熟 幽世 @mayonaka_000

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