半熟

幽世

半熟

第1話 化け物

ごぷ、ぼと、はたはた。

あいつの視線を感じる。

熱か痛みかわからない剝き出しの肉をえぐるような感覚。

声を出してもじっとしても動いても苦しくて、ユラユラ歩きながら終わりを探している。


痛そう。他人事としてみたらそのくらいにしか思えないだろうな。だからわかってほしい痛みとわかれない無痛が互い違う。

こんなときにも客観的に僕を僕が見ていて不気味だ。細く、適度に角ばった男性とも女性とも取れる5本の指。動きは可憐で僕に入ってくる。

臓器が、触れられた。

「う、」

ぐちゃ、ごぷ、ぽと。

びちゃ。

これじゃない、そういって君は去った。形が人なだけ、それだけの化け物だった。

また、君が嘘を探しにやってくる。



僕が誰かを愛するとその誰かは化け物になってしまう。

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