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帰り道も2人と一緒に歩いて帰ったり手話を教えて貰ったり、学校について色々教えてもらった。こんなに話してて楽しいと感じたことは今までそう多くなかった。だからか、2人にはそこまで緊張せずとも話せるようなきがしてた。家に着いて自分の部屋に入ると、どっと疲れが出た。初めての環境はやっぱりとても疲れる。けど同時に安心も出来た。初日から話せる友達が出来たこと、だいたいのクラスメイトには笑われたけど、そんなことより寄り添ってくれる子がいることに感動した。そして気持ちが少し落ち着いてきたから、少し手話について調べて見ることにした。今日2人に教わった指文字を見てみると、50音表に色んな形をした手のイラストが書いてあった。形は同じでも向きで意味が変わったりやりずらそうな形の物もあった。けど嫌だななんて感じなかった。むしろ面白そうとまで思えた。
次に出てきたのはよくテレビの端っこでやってるような手話だった。あれは、手話通訳士の人がやってるらしい。でも僕はそこまでやるつもりはなかった。そして、びっくりしたことは、手話には2種類あるということ。まず、聞こえる人が喋る音と同じ順番で同じ単語を表す"日本語対応手話"というものと、完全に聞こえない人が使うため、て、に、は、をなどの助詞を使わないそうで、文の構造も異なるという。これを"日本語手話"というらしい。色々複雑で難しい。けど、すごい興味が出てきた。少しづつ覚えて使えるようになりたいという目標も出来た。
夢中で調べていたら、制服を脱いでいないことに気がついた。制服を脱いでリビングへ行った。
リビングに着くと、母さんがいた。学校についていつ聞かれるのかソワソワしていたら、母さんが口を開けた。
「今日、学校どうだった?辛くなかった?話せそうな子いた?明日から学校行けそう?嫌だったらいつでも言ってね!でも出来るだけ学校は休まないようにね!辛くならないようにね?大丈夫?」
やっばりだ。今日は友達が出来たから良かったけど、質問攻めは辞めて欲しい。何から返せばいいのか、気持ち的にも辛くなるから、ほんとならゆっくり聞いて欲しいんだけどな…
「ぅっう、うん!っと、友達っっでっで来たよ。 だっだ、大丈夫。ぁあ、明日っも、が、学校い、行けるよ」
はぁ、、やっぱり疲れる。ちょっとくらいほっといて欲しいのに。
僕には姉ちゃんがいるけど、姉ちゃんは一人暮らししてるからうちには気軽に話せる人がいない。母さんは僕のことを心配してくれてるみたいで色々聞いてくる。聞かれすぎるからとにかく疲れる。父さんは夜遅くまで仕事に行っていて帰ってくるのは遅いから、全然一緒にいる時間はなく、話す時間などもない。
だからだいたいは僕1人で抱え込んでしまっている気がする。話せるけど、話し始めると母さんがめんどくさいから黙っている。それで何度か苦しくなって親子喧嘩になってしまった。喧嘩してから余計母さんのしつこさが増した気がするのだ。はぁ…どうにかならないかな…
色々考えても時間の無駄な気がしたのでお菓子を持って部屋に戻ることにした。
部屋についてからふと思ったことがある。
手話を勉強したい!出来るようになるぞ!という気持には変わりないが、少し喋れないことを言い訳に逃げてしまっているきがしてしまう。母さんがらさっき心配して色々言ってくれたんだろうと思うとウザイけどちゃんと返事を返してあげるべきなのかもしれない。
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