1-3

あと2分で2時間目の国語が始まる…

1時間目は始業式だった。近くに瞳也くんと昴輝くんが近くにいてくれたからすごい安心出来た。こんな僕に話しかけてくれて気にかけてくれる子がいるからこれからの学校生活も頑張れそうなきがしてた。

でも、授業はそういう訳にはいかない。それぞれ席が決まっているから歩き回るなんてことは出来ない。瞳也くんと昴輝くんは、僕とだいぶ距離があるから、授業中に話しかけることは難しそうだった。

教室の扉が開き先生が入ってきた。おじいちゃん先生だったからか、優しそうに見えた。

みんなさっきまで話していたけどそれぞれの席につくそして授業が始まった。夏休み明けだったこともあり、新しい単元からスタートした。教科書は前の学校で使っていた物と同じだったから使い慣れた自分の物があることが何処か嬉しかった。授業で扱う物語文は、知らない物語だった。それもそうか、何故かため息がこぼれてしまった。

先生は列ごとに音読してくれと呼びかけた。先生は僕が吃音だということを知っているのだろうか。出来ることなら当てて欲しくない…とは思ったけど、僕のいる列が指定された。最悪だ。僕は前から3番目だから読む場所は比較的短かったけど、でも読むことには変わりない。そんなことを考えてるうちに僕の番が来た。読まないといけないと思えば思うほど緊張するし声がつっかえて出ずらくなって惨めになる。

クラスの子は僕の自己紹介を聞いてるから変な声だとか気持ち悪いだとか思ってるかもしれないけど先生はどう思うのか。なんにも考えないのかな、先生もふざけてるとか思うのかな怒られるのかな。すっごく怖かった。精一杯頑張って読んだ。他の人のとこは見てもいなかった人達全員が僕を見る。もしかしたら泣いていたのかもしれない。

どれだけ時間を使ったか。普通の子が読む時間の何倍もかけてつっかえても頑張って読んだつもりだ。どれだけ僕が頑張ろうとそうじゃなかろうと周りの反応は変わらなかった。とても悔しくて悲しかった。意味無いのかな。そんなことも思った。先生の反応も呆れてるようなよく分からない反応だった。それもそれで傷ついたけど、笑われるよりは良かったのかもしれない。そんなこんなで国語の授業はおわって休み時間になった。

僕はとにかく苦しかった、悲しかった、泣きたかった、こんな声捨てたかった。むしゃくしゃしてたら、2人が僕のとこに来た。来てくれたことがすごい嬉しかった。同じ人なのにこんなにほっとする人が家族以外にいるのが不思議ででも心を支えてくれる感じがした。

2人は僕のところへ来て授業のことを尋ねてくれた。怖くなかったか、苦しくないか。優しく話しかけてくれた。僕は嬉しくてまた泣いてしまった。泣き虫だと思われてるかもしれない。そんなことよりも寄り添ってくれる2人が心強くて嬉しかった。ほんとなら3人で話し合いたかったけど、でも僕は話せずにいた。筆談にしようか少しなやみかけたところであることに気がついた。2人は手を動かしながら話していた。なんなのか少し気になったところでチャイムが鳴った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る