第3話 人狼ゲームと匂わせの話

 一日の授業が終わり私は岐路に着く。部活動や委員会活動をしていないので特別な用事がない限りは家と学校の往復が私の日常だ。


 今日は彼のライブ配信がある為少しばかり足取りは軽やかである。大体の歌い手は歌の活動以外にもゲーム実況動画や雑談配信、○○やってみた系の実写動画などにも取り組んでいる。


私たちファンにとっては推しの日常的な姿を見ることが出来るので嬉しいし、貴重なコンテンツであることは間違いない。


普段の歌っているカッコイイ姿からは想像も出来ないほど天然な姿や、カワイイ姿を見て沼に引き込まれていくファンも少なくないだろう。


 ただうまく本業とのバランスが取れないと解釈違いを引き起こすきっかけにもなってしまう。これは歌い手に限ったことではないと思う。用法と用量を守ることは大事なことだ。



 時計の針はもうすぐ九時を指そうとしている。もう学校の課題も、夜ご飯も、お風呂も済ましてあるので準備はバッチリだ。


今日は某宇宙的な人狼ゲームをプレイするらしい。私はこのゲームで遊んだことがないので詳しくは知らないのだが、多人数で遊ぶゲームらしく今回はコラボ配信という形になっている。



 普段から彼と交流があるおなじみのメンバーで固められている。


彼のように女の子と接するのが苦手ですー、二次元が好きです! とメンヘラ気質で活動していると熱心に応援してくれるファンは多くなる。


だが、類は友を呼ぶようにメンヘラ気質なファンが集まりやすくなる。


こういう人たちは女性の影には敏感だ。


一度考えてみて欲しい。日常的に「僕には君たちしかいないよー」なんて甘い言葉を投げ続けられると、こっちも麻痺してその気になってしまう。


そんな状況でまじまじと異性との仲の良さを見せつけられて、正常でいられるはずはないだろう。


そういう活動がしたいならファンに少しでも耐性を付けさせてほしい。



「誰よ! その女! どういう関係なのか説明してよね!」



 ファンに耐性が付いていない異性の活動者と急にコラボしようものなら、推しのゲーム配信をのんびり楽しむ気持ちなどは消え去り、戦々恐々としてしまう。



 今日のゲーム配信はとても面白かった。特に推しが狼側になったときは、持ち前のゲームセンスと容赦ない殺人鬼キャラを遺憾なく発揮していた。それは周りのメンバーが引くほどに彼は輝いていた。


もう最高だった!

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