憂鬱な雨の日

紫陽花の花びら

第1話

 雨の日、二歳の息子は「おとと!おとと」と言って纏わり付く。いやいや今日はザーザー降りだし。小降りならお散歩もありだけと。聞こえないふりは……もう通用しない。最近は返事するまで騒ぐんだ。

「けいちゃん~お外は雨ザーザー。冷たいし、寒いから行かないよ」

二月の雨なんて考えただけでも震える。

「おとといく。とと!」

まだ言うか? 面倒くささと遣りれなさがぐちゃぐちゃと入り混じり、むっとしたまま息子を抱いてベランダに出る。

「ねっ、さむさむ~お~さむ」

手すりにしがみ付かれ、私はバランスを崩す。危ない! 体がででるぞ。静かに静かに体制を整え、

「けいちゃん! お部屋で良いことしよっか」

「いいこ? いいこ?」

「うん! 良い事だよ~ん」

「あいる! あいる!」

よしよしそう来なくちゃ。

窓を閉めて、鍵をかけてから息子を下ろし、「おか…さんといっ…」のCDをかけると息子は楽しそに踊り出す。私は奥の部屋からあるもの持って来た。

息子はそれを見ると、

「ぶんぶんぶんぶん」と言いながらジッと新聞を見つめる。

「けいちゃん見て見て~おかあさんこれから楽しいことするよ~」 

息子の目の前で広げた新聞をビリビリと破いて見せた。

「けい~けい~」

小さな手で一生懸命破るけど、なかなか上手く行かない。それでも諦めなで頑張る息子。周りは次第に細かくちぎれた新聞が……

次は新聞ボールを作ろう。

息子用に少し小さく破いておく。

私は大きいまま。

ぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃポン。大きいボールが完成すると息子は飛びついてきた。

「かあか! かあかとーだい」

「いやだよ~あげない~」

二人で追いかけっこを始める。

「あ~つかまった~はい!どうぞ」

今度は息子が逃げる。

「待て待て~捕まえるぞ!」

最早エンドレス。

時計はお昼を指している。

「けいちゃんお昼にするからお片づけだ~」

ぐちゃぐちゃなった新聞さん達有難う母は助かりました。


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憂鬱な雨の日 紫陽花の花びら @hina311311

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