第116話 4つめのスキルリンク

116.4つめのスキルリンク









ヘレナが製作した素材を組み立てていく作業員ロボット、溶接なども全部してくれるので基本的には見ているだけだ。

俺がする事と言えばヘレナと一緒に設計図を描いて素材に何を使うかなどを相談してシミュレーションして作っていくだけだ。


俺自身に何か特別な知識があるわけじゃないから常にヘレナの手を借りているのだが、俺の適当な考えでも何となく形にしてくれるヘレナは凄いとしか言いようがない。


そんな風にヘレナに手伝ってもらいながら何を作っているのかというと───



「マスター、完成しました」


「よし、システム系統も大丈夫そう?」


「はい、全てインストール済みです」


「それじゃぁ早速試してみるか」


【格納庫】内に今回の為に作られたデッキへと近づき完成した物の後ろから回り込み乗り込む。


背中側のハッチが閉まり一瞬真っ暗になるがすぐに電源がつき明るくなる、ディスプレイに次々と情報が読み込まれていき最終的には何もつけていないかのような視界になった。


「起動は問題なし、手も動く、足も………うん、歩ける」


各部位を動かし問題ないかを調べていく。

次にアプリを立ちあげていき問題なく動いているかを調べていく。


「武器も問題なし………ヘレナ換装してくれ」


「はい」


ヘレナに声をかけて武器を換装してもらう、取り付けていたミニガンを外してミサイルランチャーをつけなおす。


「換装しても問題なし、いい感じだね」


「はい」


一体俺は何に乗っているのかというと。


全長2メートル50センチ、外装はヘレナ特製の素材を使いリアクティブアーマー化してある。色は全体的に白銀だが実は色に関してはシステムでいつでも何色にでも変更可能になっている、これにより場所によって見えにくい色とかにカモフラージュもできたりする。


そんな機械、ロボット、分かりやすく言うならSF作品のゲームとかでよくある人よりも少し大きめに作ったロボットに乗り込む感じのあのロボットを作った。


ああいった作品で出てくるロボットアーマーというのは所謂、力の無い人間が自分よりも強い存在に立ち向かう為に作られる物だ。

だけれど俺などの探索者はステータスがあり一般的な人よりも力がある。


では必要ないんじゃないのかって思われるかもしれない、なぜ作ったのかと。


あえて言うならば、作ったのは趣味だ。

少し前にロボットアーマーを着るゲームをしたと言うのも理由の一つだけれど。



まぁ趣味だから実用性が無いかと言われるとそうでもない。

そもそもこういった武装などがなぜ魔物相手に有効かというとそれに見合ったスキルを持っているからだ。


例えば剣なら【剣術】、弓なら【弓術】などそれに合ったスキルがある。

スキルがあるからこそただの剣でも魔物を相手にできる。俺の銃が魔物に通用するのもスキル由来の物だからだ。

同じ理由で【赤雷】シリーズなども【GunSHOP】から購入した武器を使っているので通用している。


では今回作ったロボットアーマーはどうなのかというと、ステータスを見て欲しい。




名前:神薙 響   年齢:16


レベル:117


STR:313

VIT:264

AGI:320

DEX:1350

INT:8 

MND:23


≪スキル≫

<ユニーク>【GunSHOP】Lv:9

<上級>【空間庫】Lv:9

<スキルリンク>【野営地】Lv:7

<極級>【射撃】Lv:6

<上級>【銃術】Lv:9

<上級>【堅忍不抜】Lv:─

<上級>【気配感知】Lv:10

<中級>【遠目】Lv:─

<スキルリンク>【イーグルアイ】Lv:10

<ユニーク>【風読み】Lv:─

<上級>【計算】Lv:8

<上級>【体術】Lv:8

<ユニーク>【制御:機械種マギア】Lv:─

<スキルリンク>【格納庫】Lv:─

<上級>【水中呼吸】Lv:3

<上級>【整備技術】Lv:5

New<初級>【操縦】Lv:2

New<スキルリンク>【機工士】Lv:─




先日いつも通り射撃の練習をしていたときだ、バイクに乗りながらの射撃などあれこれ練習していた時に【操縦】スキルを手に入れた。



【操縦】

<操縦を行う際、操作に補正が入る>



そしてこの【操縦】スキルを手に入れた際にスキルリンクで手に入れたのが【機工士】だ。



【機工士】

<自らが手を加え作られた物に対してステータス補正が乗るようになる>



効果はシンプルながら内容はとんでもない、ステータス補正が乗る様になるとすごいことになる。

そもそもの素材としての特殊効果などがある上で、さらにステータスとしての力が乗るようになるのだその脅威力は言うまでもない。


何故ここまで破格のスキル効果なのかと言うと【機工士】スキルを手に入れたときの共鳴数を考えると納得できる。



『スキル【GunSHOP】スキル【銃術】スキル【制御:機械種マギア】スキル【整備技術】スキル【操縦】が共鳴し、スキルリンクが発生しました。スキル【機工士】を獲得しました』



ユニークスキルが2つにスキルが3つも共鳴しないと手に入らないスキルリンクなのだ、とてもじゃないが狙って手に入れることなど出来なさそうなスキルリンクになる。



そんなわけでここ数週間は【格納庫】へと籠り機械いじりをしていた。


ロボットアーマーを作ったのはもちろん、バイクにもステータスを乗せるために改造したり【赤雷】シリーズや【不壊】と【砲懐】などにも手を加えていった。


どこまで自身の手が加わればいいのかという検証をしたり、ステータス補正がある物と無い物でどれぐらい違いが出るかも調べていた。


検証結果としてはまず自身の手がどの程度加わればいいかというと完成品のおよそ半分以上という事が分かった。

しかしこれには抜け道というか裏技的な物があって、機体を作るにはもちろん道具が必要になる、道具を使ってしまったからといって自分自身の手を加えたと言えないわけじゃなくちゃんと自分の手で作業したという認識になる。


そして裏技なのだが作業員ロボットが道具という認識になるのか、俺が指示を出す事によって作業員ロボットが機体を作っても俺が手を加えた判定になるのだ。


ちょっとずるい感じもするが流石に俺自身の手で【不壊】などの巨大なやつを作ろうと思ったら何ヵ月かかるか分からない。ある意味作業員ロボットが道具という認識になってよかったと思っている。


そのおかげで【機工士】スキルを手に入れてから数週間しか経っていないが既に持っていた機体は全てステータス補正を乗せる事に成功してロボットアーマーも完成した。



完成したロボットアーマーは全長2メートル50センチ、なぜその大きさなのかというと理由はダンジョンにある。


今までフィールド型のダンジョンばかり行っていたのは主に【不壊】が洞窟型ダンジョンでは使えないからだ。

洞窟型では天井が平均5メートルから10メートルの間で収まっている、そうなると【不壊】は使えないが【赤雷】は使える。


【赤雷】シリーズを使うと俺とヘレナは後ろに回る事になるのだがそうなると戦闘に入っても【赤雷】シリーズだけで事足りてしまってやることが無い場面が多かった。

フィールド型ダンジョンは広いのでつっかえることなく戦闘を行えるので俺も戦闘へと参加できたからフィールド型ばかり行っていた。


じゃぁ【赤雷】シリーズ使わずに洞窟型ダンジョン行けばいいじゃんって思うかもしれないがそれは何て言うか微妙なんだよな。


確かに俺とヘレナだけでも洞窟型ダンジョンは平気かもしれないがやっぱり【赤雷】が1機いるだけでも安心感が違う。

ゲームの世界ならばどれだけでも自分で縛りを入れて余裕をみて挑戦できるが、現実となるとどれだけ備えていても足りない。


それだったら最初からダンジョンなんて行かなければいいのに、みたいなのは言いっこなしだ。



「これの名前どうしようか」


「そうですね、【守機】というのはどうですか?」


「シュキ、【守機】か。その名前で行こう」


名前も決まったところで【守機】の詳しい見た目を説明しよう。


まず頭には顔が無くつるっとした感じのやつだ、これにはデザイン性も勿論だが他にも理由があって外を知覚するための眼が弱点にならないようにどこに機械がついているか分かりにくくしている。


次に首から下だがそこもごつい感じよりも少しスタイリッシュ寄りにしてある、重たい武器を載せるならもっとごつくして耐荷重を増やした方がいいのだがそこはステータス補正が乗ることで解決してある。


見た目は普通だがつけようと思えば重量のある武器も持てるのだ。


あとは個人的な好みで重量級っていうやつの見た目も嫌いじゃないが、使うとなるとノーマルタイプがやっぱり好きだ。



「もうちょっと調整して明日にでも洞窟型ダンジョンへ行ってみようか」


「はい」


普段使いしやすい武器なども実戦じゃないとわからないだろうからね。【守機】を使うのが楽しみだ。






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