第113話 【月面】 #3

113.【月面】 #3









【月面】ダンジョン3日目は特に何も起きる事も無く普通に探索してのっぺらぼうの宇宙人を50体ほど倒して一日が終わった。

UFOに使用した【魔法転換:銃弾(毒)】を宇宙人にも試してみたところ瞬殺だった。

弾が当たった瞬間、糸が切れたかのように倒れたのだ。


そこで改めて【魔法転換:銃弾(毒)】の強さを実感したのと同時にUFOがどれほどタフだったかも理解した。



「ヘレナ、解析はどう?」


場所は変わって【格納庫】内、UFOを解析し始めて1日ぐらい経ったがどうだろうか。


「はい、完全に解析するにはもう少し時間がかかりますが大まかには理解できました」


「ほー、何か役に立ちそうな物はあった?」


「はい、UFOの外部装甲ですが情報に無い新しい技術でしたので模倣できるか試している所です。内部のシステム面については学ぶところはありませんでした、しかしエネルギーの変換効率や素材の使い方については学ぶべき所が多かったです」


「なるほど?」


これはアレだな詳しく聞いても理解できない部類のやつだな、まぁ何かしら得れる物があったのならいいか。


「今回手に入れた知識で装備類をバージョンアップが可能ですが1週間ほどかかりそうです、それと素材としていくつか装備品を【GunSHOP】で購入して欲しいです」


「了解、後で何が必要か言ってくれたら買うよ」


「ありがとうございます」


話しがひと段落するとヘレナは再びUFOの解析に戻っていったので俺は銃のメンテナンスをし始める。






◇  ◇  ◇  ◇






「やっぱ、ちゃんと実戦で試してみるべきだな。今度からは気を付けよう」


4日目、今日はまず初めに【魔法転換:銃弾】の各属性弾の効果をきちんと敵に試してみている。


UFOと宇宙人に【魔法転換:銃弾(毒)】を使った際に無機物の的に試した時とはその効果が大きく違う事に気づいた。

生物相手なのだから反応は違うのは当然なのだがここまで違うとは思わなかった。

幾つかは実際に使ってはいたが問題は使っていなかった他のだ。


【魔法転換:銃弾】

<用意した銃弾を魔法の弾へと転換させるスキルアーツ、火、土、水、風、雷、氷、光、闇、音、毒に転換させることが出来る>


火はあたった個所に炎がまとわりつき宇宙人がどれだけ炎を消そうともがいても消えることなく炭化するまで燃え続けた。


土はあたった個所に土が生成され重りとなり動きが随分と遅くなっていた、直接の攻撃力は無い物の相手の行動を阻害するのにはいい感じだった。


水はあたった個所が濡れただけで攻撃性は無かった。


風はここが重力の軽い場所という事もあるのだろうが、弾が当たった瞬間遥か彼方へと吹き飛んで行ってしまった。


氷は土と一緒で当たった個所に氷が生成されそれが重りの役割になっていた、攻撃力は無い物の氷の冷たさが土の時よりもさらに相手に苦しみを与えるかもしれない。


光は宇宙人に目が無いからか効果がなかった、今度別のやつに試したいと思う。


闇はどういった効果なのかがわかりにくかったが、分かった事としては恐らく弾があたると何かしらの感覚器官を不能にする感じだと思う。

宇宙人は目も耳も無くこちらをどうやって感知しているのかわからないが何かしらの方法でこちらの事を見ている。

だが【魔法転換:銃弾(闇)】を使用すると宇宙人は前後不覚になりものすごく慌てだした。そのことから恐らく何かしらの感覚器官を消し去る効果があるのだと思う。


音に関してはその名前の通り大きな音をたてて聴覚に攻撃を加えるものだと思うのだが宇宙人には耳がないのでその部分では効果がなかった、だが音の衝撃で宇宙人は吹き飛んで行った。

副次的な効果が役に立つ場合もあると言う事が判明してくれてよかった。



そんな感じで実戦で色々と試した。



「それにしても、こうも景色に変化がないと流石に飽きてきたな」


【月面】ダンジョンに広がるのはひたすら灰色の世界だ、空を見上げると星がきれいで地球っぽいのも見えるがそれだけだ他には何もない。


「偵察機にも何も映りませんね」


出てくるのは宇宙人だけで、UFOの出現条件っぽい牛はあれから見かけてない。


「滞在期間は残りどれぐらいあるんだっけ?」


「後3週間ほどです」


「3週間かぁ、このまま特に何もなければ基地の方で何か遊べる物がないか調べてみるか」


基地で何かないか調べるか、それとも早めに地球に戻るか考えないとな。


「お、大きなクレーターだな」


【月面】ダンジョンはその名前の通り場所が月なのでクレーターがそこかしこにある、大きなものから小さなものまで沢山だ。

基本はクレーターに入らないように避けてバイクで進んでいるのだが、たまにクレーター内に宇宙人がいたりするので見に行くこともある。


今回の場合は景色の変化が無さ過ぎてちょっとクレーター内を見てみようかなと思って進んでみた。


「デコボコだなぁ」


クレーター内は大小さまざまな石が転がっており歩く事は出来そうだが車とかは走れそうにない。


のっぺらぼうの宇宙人がクレーター内に3体ほどいたので〝光線銃〟で撃ち倒しておく。

倒したらドローンを呼び出して回収しておく。


「ん、何かあそこにあるな」


クレーター内の円際、影が濃くなっていて見えにくい場所に何かあるように見える。

ドローンを1体制御下におき操作して気になった場所まで飛ばしていく、


「これは洞窟?」


ドローンのライトを付けて影になった部分を照らすとそこには人が通れそうなほどの洞窟が出現した。


「【月面】ダンジョンの情報の中に洞窟の事なんてあった?」


「いえ、ありません」


「って事はあれは俺達が初めて見つけたことになるか、それか洞窟がある事は把握しているが公開していないかだな」


【月面】ダンジョンは今もなお調査が進められているダンジョンだ、情報が隠されている可能性は十分にある。


見つけた洞窟の手前まで近づいていく。


「ドローンを先行させよう」


「はい」


【格納庫】からクモ型のドローンを呼び出し洞窟内へと潜入させていくのと同時に普通のドローンも飛ばして中へと進ませる」


「何だこれ?何かの施設か?」


ドローンの映像を見ると、暫くは【月面】ダンジョンの灰色の地面が続いていたが途中から人工的な綺麗な通路になっていった。

真っ白なタイルに緑の線が走っている。


「マスター、クモ型ドローンが何かにやられました」


「ん、魔物はやっぱいるか。また壊されるようならドローンは戻そう」


「はい」


さて、問題はここを探索するかどうかだ。


変化のない景色に飽きてきたところで洞窟なんて面白そうな物を見つけたからには行きたい所だが情報が全くないのは少し不安要素になる。


「まぁ行くんだけどね」


どれだけ悩もうが行くことに変わりはない、だって面白そうなんだもの。

その代わりってわけじゃないがドローンを多めに出して少しでも情報は手に入れていくつもりだ。

普段よりもっと詳細に情報を取得していこう。


やることが決まればヘレナと情報共有していく。


「っていう感じで行こうと思う」


「はい、それでは私がドローンを操作して情報をとっていきます。専用人型機も同時に動かしたままで行きますが反応スピードは若干落ちてしまいます」


「了解、気を付けて行こう」


【格納庫】から追加のドローンを呼び出してヘレナに操作を任せる、ドローンは先行させすぎない程度にして魔物にやられないようにしたい。


「んじゃ行くよ」


バイクを【格納庫】へと仕舞って、【赤雷】シリーズも全部いると邪魔なので2体だけを残し、残りを戻しておく。


洞窟に入ってすぐはドローンの映像で見た通り外と変わらない感じだ、だが30メートルも進めば人工的なタイルが見えてきた。洞窟内は【赤雷】シリーズが2体横並びで進んでもちょっと余裕があるほどには幅がある。

これだけ広ければ戦闘するのには問題ないな。


【赤雷】を先頭にして進んでいく。


「お、敵が来たか」


【気配感知】に敵の反応がする、感知範囲に入ってすぐは人が歩くぐらいのスピードだった魔物がすぐにこちらの存在に気づいたのかスピードが上がった。


「敵は一匹のようです【赤雷】を盾にします」


前にいた【赤雷】をさらに前へと押し進める、そうしている間に通路の奥から魔物の姿が見えてきた。


「うわっ気持ちわるっ」


通路の奥から現れた魔物は赤黒いぐじゅぐじゅに溶けた肌に目と耳がなく、削がれた鼻と剥き出しの口。地面へと這いつくばるようにして物凄いスピードでこちらへと来ている。


「何でバイオハザード系なんだよ!」


気持ちの悪い姿に引いたがなんにせよ倒さなければいけない〝光線銃〟を構え【赤雷】の横から射撃を開始する。ヘレナも俺が撃ち始めるのと同時に撃ち始めた。


「ギャギャウ!」


「うぇぇ」


口からよだれをぼたぼたとたらしながら走ってくる魔物を撃ち続けると10発撃ったあたりで急所にあたったのか倒れて動かなくなった。


「死んだよね?なんかぴくぴくしてるけど」


「はい、死亡を確認」


「ふぅ、回収どうしようか。触りたくないしGPにもしたくないんだけど」


何を隠そう俺はホラーとかそっち系が大の苦手だ、ゲームでも映画でも実写でも何でもダメだ。唯一漫画ならいけるがホラーバトルみたいなアクション要素が入らないと見れない。


「ぐぬぬ」


我慢してGPにぱぱっと換えるしかないのか【空間庫】に入れて持ち帰るなんて絶対にしたくない。


「ちょっとヘレナ、回収まかせてもいい?俺は目をつぶって【GunSHOP】を開いておくから売却画面に入れてくれる?」


「はい」


必殺、助けてヘレナだ。


ヘレナに指示をだして俺は【GunSHOP】の売却画面を開いて起き目をつぶる、ドローンの飛ぶ音と何かを引きずる音が聞こえるが気にしない事にする。


「マスター、入れました」


「おぅ」


ふぅ、何とか直視せずに済んだか。速攻で売却しよう。


「何でこんなやつが高いんだよ!」


売却金額30万GP、1匹で30万だ。おかしい。


今はGPに余裕があるとはいえGPなんてあればあるだけ助かる、気持ち悪いのを我慢してここで狩り続けるか……ううむ。


「悩む」


進んだ先にお宝があるかもしれないし、そう言うの考えてしまうと簡単に引き返す選択が取れない。

しかも出てきた魔物がわりと楽に倒せてしまったし。




「悩むなぁ………」













◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇

あとがき




エアコン壊れてしまったコメントへの返信ありがとうございます。


今のところ夜はパンツ一枚で寝る事にして何とか過ごしています、後は冷凍庫で冷やすでかい保冷剤みたいなのがあるのでそれにタオルを巻いて何とかしています。


エアコンも壊れる前に一言いってから壊れて欲しい物です、そしたら何とかできたかもしれないのに………


まだもう少し暑い日が続くと思いますので皆さんのエアコンが壊れないように祈っています。












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