第102話 【管理番号5061】 #2
102.【管理番号5061】 #2
中へ入ってまずしたことは回収用ドローンで持って来てもらった素材をGPへと換えていく事だ。
「売却額はそんなにだね」
ゴブリン1体800GPほどにしかならない、この感じだと恐らくここはCランク相当のダンジョンなのだろう。
試験内容を話してもらったときにここはAランクに近いBぐらいと言っていたがそれはダンジョン自体の難易度の話しではなく、今この現状である魔物が溢れた状態がそれぐらいの危険度があるという事だったのだろう。
【機銃】が倒していった魔物をGPに換えながらもダンジョンの奥へと進んでいく、道は先行させている偵察用ドローンのおかげで既に判明しているので後はヘルメット内に表示している地図にしたがって進むだけだ。
「何だかこれだとダンジョンを攻略しているというより散歩だな」
「楽に進める分には構わないのでは?」
「それもそうだねぇ」
楽なのはいいけど退屈になるのは困るなぁ。
◇ ◇ ◇ ◇
「1、2、3、4の5っと」
戦っていたオークが倒れたのをみて構えていた〝アサルトライフルHotel〟をおろす。
結局あの後、ダンジョンを5階層ほど進んでから退屈すぎて自分でも戦うようになった。
【機銃】にはエリア内の端の方を進んでもらって、俺は次の階層へと進む道を魔物を倒しながら進んでいた。
今回の試験内容的にこれでも大丈夫なはずだ、ダンジョン内の魔物を積極的に狩るって話しだったからな。
そんな感じで進んでいき次は10階層目だ。
「おー、ここからはフィールド型か。すごい魔物がいるけど」
「草原フィールドのようですね、魔物の数がすごいですが」
10階層目は草原のフィールド型ダンジョンになっていたのだが見える範囲ですでに大量の魔物がいる。【機銃】が頑張って倒してくれているので近くにはいないがそれでもそれほど遠くない位置に大量に魔物がいる。
「さすがにエリアが広すぎて【機銃】だけだと足りなそうだね」
「はい」
せまい洞窟なら小さな【機銃】でも数で押せたが、広いエリアだと地面から攻撃するしかなく倒すスピードが下がっている。
「じゃさらにお披露目といくか」
【格納庫】の渦を呼び出し今回の為に作った機体をさらに呼び出す。まず出てきたのは普通車ぐらいの大きさである【赤雷】に【蒼雷】だ、そこからさらに同型の機体が出てくるその数3機、合わせて5機。
名前は【赤雷】【蒼雷】【緑雷】【白雷】【黒雷】それぞれテーマに合わせたカラーリングにしてある。
今回新しく3機作るにあたって既にあった2機も武装などを見直した、ボディの素材についてはやはり同じ物の方がいいかと追加で買った。全部で1億ちょっとしたけれど仕方ない戦力アップのためだ。
取り付けてある武器については意外なことに使う事は無いと思っていた〝光線銃〟が役に立った。
今まで実弾系の機関銃を取り付けていたのだが一つ問題があった、それは銃本体と弾などを乗せると重いと言う事だ、とくに弾などは撃ち切らないように多めに乗せるためにかなりの重量となっていた。
だがここで〝光線銃〟の登場だ。
〝光線銃〟はエネルギー系の武器で銃本体が軽いのに加えて弾がはいっているマガジンも片手で持てるほどの大きさで総弾数300発もありさらに軽い。
以前は機関銃と弾だけで何百キロとあったのだが今回の入れ替えで数十キロにまで落ちた。
重さが無くなったのでもし攻撃などを受けると以前よりも吹き飛ばされやすいかもしれないがそもそも攻撃を受けるほどの距離まで近づけるつもりはないので気にしない、そのときはそのときだ。
〝光線銃〟の中にも機関銃と同じタイプの物があったのでそれを乗せてマガジンは入れ替え用に10個乗せてある、機関銃タイプのマガジンは1つで1500発も撃てるのでそれだけあれば多分平気なはず。
今回が初めての実戦投入なのでもし不具合がでればその都度変更していくつもりだ。
というわけで呼び出した5機にも戦闘を始めてもらう、俺はその後ろから支援射撃しようと思う。
「ヘレナは次の階層へと進む階段を頼む」
「了解」
ヘレナには偵察用のドローンを操作してもらい進むべき道を示してもらう。
今の時刻は昼の1時、この調子なら夜までには15層ぐらいまではいけるかな?
◇ ◇ ◇ ◇
「それじゃぁ今日もお疲れ様でした」
「はいお疲れさまでした、とはいっても私はついていっているだけですけど」
夜の19時、【野営地】内に作った焚火の前でヘレナが食事の用意してくれているのを待ちながら山田さんと労い合ってた。
今日の晩御飯は炭をおこしてBBQだ、ヘレナが専用人型機を使いお肉や野菜などを焼いてくれている。
別にその恰好じゃなくても普通に作業員ロボットとかですればいいのにって言った事があるのだがヘレナには何かこだわりがあるのか専用人型機でないといけないらしい。
まぁ確かに専用人型機のほうが人に食事を作ってもらっている感がでるからいいかもしれない。
「そんなことは無いですよ、山田さんは俺が知らない事とか教えてくれてるじゃないですか」
「役に立っていればいいんですが」
「もちろん凄く助かってますよ」
そうなのだ、実は山田さんには知識面で何かと助けてもらっている。
ヘレナがいるんだから調べてもらえばいいじゃないかって?ネットでの知識と実際にそれを行った人との知識では大きく違う、そういった部分で山田さんには助言を貰ったりしている。
特に彼女はダンジョン協会の職員だから探索者にとって有益な情報と言うのを沢山持っている。
例えば売却する素材の今現在の価値などについて。
日々色んな探索者がダンジョンから素材を持ち帰ってくるその中にはもちろん旬と言える時期がある素材などがある。
今ならこれが高く売れますよとか、これは今は供給が多すぎて逆にいつもより安いですよとか。
他にも職員だからこそできる裏技的な物もある、いつもはダンジョンへと入る際には受付でダンジョンへ入る申請をしたりする手続きがある。
しかし山田さんがいる事でその手続きをオンライン上で可能になったのだ。
これは彼女がダンジョン協会の職員だからこそ許可が出せる事であり今だけの限定的な手助けだがそれでも楽になるからたすかる。
その他にも細かい所でサポートしてくれるので大助かりだ。
「マスター、お肉が焼けました」
「お、出来たか。ありがとうヘレナ」
焼きあがったお肉を受け取り焼肉のたれをつけて食べる、炭火の香りがついていていつものお肉が何倍もうまい。
口の中に残ったお肉の油を炭酸ジュースで流す。大人ならここでお酒なんだろうけど俺はまだ高校生だからね、飲めない。
「あー、うまい」
◇ ◇ ◇ ◇
「出てくる魔物の種類が変わってきたな」
放棄ダンジョン【管理番号5061】の制圧を開始してから3日目、今は30階層へと来ているのだが出てきている魔物がさっきまでとは違う物になってきている。
エリアは変わらずフィールド型、森林エリアで植物型の魔物に妖精型の魔物の姿が見える。
「実弾系はあまり効果が無いか」
【機銃】が植物型の魔物を囲んで撃っているのだがさっきまでのオークなどと違いかなり多めに弾を撃ち込まないと倒せていないようだ。
それに比べてエネルギー系である【赤雷】シリーズの攻撃は普通に効いているように見える。
「ヘレナ【機銃】の操作を頼む、効果的に攻撃するように」
「了解」
【機銃】や【赤雷】などはヘレナが操作しているとはいっても細かい所までは動かしておらずほとんどオートで戦闘を行っている。
だけど今のままだと【機銃】の攻撃は適当に撃っているだけで効果的ではないのでヘレナに操作を頼みうまい事倒してもらう。
ヘレナが操作に集中するからといって本体?である専用人型機の動きが止まると言う事も無く普通に動いている、ただやはり処理能力は落ちているようだ。
操作モードへと移ったヘレナを見て【白雷】と【黒雷】を護衛として近くへと戻す。ある程度単純な命令ならヘレナを通さなくても俺が指示を出せる。
【白雷】と【黒雷】が戻ってきたのを見て俺も使っていたマガジンを〝焼夷弾〟の物へと変更する。
【機銃】が扱う弾も全て変更できたらいいのだけれど流石にGPが勿体ない。
あ、因みにだけれど。2週間のGP集めで2億近くGPを集めたのだが今は3050万しかない、色々と使いまくった。
たまに出てくる魔物と戦いながらも回収用ドローンが持ってくる素材をGPへと換えていったり山田さんに助言してもらって高く売れそうな物は【空間庫】へとしまっていく。
「マスター、あそこに薬草があります」
「お?山田さん拾っていきます?」
「お願いしてもいいですか?」
「はい、それじゃ行きましょうか」
なぜわざわざ山田さんに聞くのかと言うと、ここが放棄ダンジョンで再開発予定という事が関係してくる。
前もって言っていたかもしれないがここは再開発をする、そのために試験で制圧するんだがそのついでと言ってはなんだけれどダンジョン協会から出来るだけどういった素材が採取できるかなども調査して欲しいと言われている。
あくまでも、出来るだけ。無理のない範囲でだ。
まぁ今のところ余裕があるし少しの寄り道程度なら構わない。がっつりとどの階層でなんの魔物がでてなんの薬草が取れるとかは調べるのは無理だが。
山田さんは何やらメモをずっとしているがあれに色々書いているのだろう。
「お待たせしました、もう大丈夫です!」
「はい」
書き終わった山田さんが戻ってきたので移動を再開する。
事前にダンジョン協会が行った調査でここは恐らく80階層ほどあるだろうと聞いている。
どういった調査方法かは知らないが結構あてにはなるらしい。
今のところ1日で10層のペースだが日が経つにつれてエリアが広くなり1階層ごとの時間がかかってくるようになってきている。
まだまだ試験期間に余裕はあるがはやく終わらせれるならそれに越したことは無い。
そんな感じで今後のスケジュールを考えながら木の陰から出てくる魔物を撃ち続ける。
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