第100話 次は放棄ダンジョンへ
100.次は放棄ダンジョンへ
【資格の塔】100階を攻略し終わって、次は放棄ダンジョンへと行くのだがその前に準備期間を設ける事にした。
そもそも放棄ダンジョンの制圧ってどこまですればいいのかどうなれば制圧なのかどれぐらいの時間がかかるものなのか何も情報が無かったのでまずはそれを調べる事にした。
それによるとまず制圧の条件だが山田さんによると最下層まで行きダンジョンのボスを倒す所まで行けばいいらしい、道中の魔物は積極的に狩っていくようにすれば最下層までいくまでにある程度間引き出来ているだろうとのことだ。
全滅させるだとか隅から隅まで調査すると言うのは特にしなくてもいいらしい。
制圧というよりはむしろ間引きって感じだな。
次にどのぐらいの時間がかかる物なのかという事なのだが、これにははっきりとこれだけかかるというのは言えないのだが大体1つの放棄ダンジョンを制圧するのに3ヵ月はかかるとのことだ。
放棄ダンジョンの制圧と言うのは基本的にダンジョン協会側がBからAランクの探索者を指名して依頼として出す事が多いらしい、その時にはパーティだったりソロだったりと探索者側の実力をある程度把握しているダンジョン協会が放棄ダンジョンに合わせて選んでいるみたいだ。
ではなぜ放棄ダンジョンの制圧をわざわざするのか、物語などでよくあるスタンピードが起きるわけでもなく放置できるなら放置しておけばいいのにと思うだろう。
理由はいくつかあるがもっとも多いのが再開発だ。
そもそも放棄されたダンジョン周辺は何もない所か、元々村があったが限界集落でそんなところにわざわざ設備を投資するほどでもないだとか、ダンジョン自体にうまみが無いだとか理由が色々とある。人はだれしも便利な場所に現れたダンジョンから開発していきたがるものだ。
その中でもダンジョンとしてはうまみがあるのだが当時は人手が足りず放棄せざるを得なかったダンジョンを後になってから余裕が出来たときに再開発するという事がある。今回のAランク試験であてがわれた放棄ダンジョン【管理番号5061】はそういったうまみがあるが当時は放棄されたダンジョンだ。
【資格の塔】100階の攻略に1ヵ月、試験の期限である半年まで残り5ヵ月あり放棄ダンジョンに3ヵ月、多く見積もって4ヵ月かかるとして1か月ぐらいは余裕がある。
というわけで準備期間を2週間とることにした。
「ヘレナ、次はそろそろ東門が湧くはずだからそっちへ行こう」
「はい」
準備期間で何をするかと言うと大きく二つ、GPの確保と戦力の拡充だ。
放棄ダンジョンの制圧と言う事はかなりの量の魔物と戦闘になると思うのだが今のところこちらの戦力と言えば俺とヘレナ専用人型機と【不壊】【赤雷】【蒼雷】になる、これでは少ない。
そこで【不壊】や【赤雷】と同じ機体をシリーズ化して増やそうと思ったのだが問題になるのが素材とGPだ、その二つを満たすために今俺とヘレナ、そしてなぜかついてきている山田さんの3人でいつもお世話になっている【アルミーシュ】ダンジョンへときている。
山田さんには2週間の間準備するだけだから休んでいてくださいと話したのだがなぜかついていきますと言われてこうなっている。
ついてくるだけなら今までと変わらないしいいかと思って好きにしてもらっている。
「よしよし、ちゃんと湧いてたか。それじゃぁ同じ様にいくよ」
「はい」
今周回しているのは【アルミーシュ】ダンジョンの都心部手前にある大きな門のところにいた大隊だ。
まずは偵察用ドローンとは別に今回新しく作ったドローン部隊を発進させる、このドローン部隊は空中から積載した何かしらを投下する専用のドローン部隊だ。
「チャフグレネード投下します」
ドローンからチャフグレネードが投下されていく、かなり上空から投下しているので敵が気づいたときにはすでに手遅れだ。
混乱している敵を確認してから攻撃を開始する、基本的にスナイパーライフルを使い遠距離からまずは大物を【魔法転換:銃弾(雷)】で無力化していき細かいのは実弾を使い破壊していく。
使い勝手がよくていつも使う【魔法転換:銃弾(雷)】は毎日限界まで生成している、それでも常に使っていてはすぐになくなってしまうので効果的に使う必要がある。
周回を繰り返すうちにどんどんと倒し方も最適化されていき今ではかなり楽になってきている。
門前にドンっと構えている『機械種マギア(基地)』だがこれは基本的に防衛施設である砲台などを壊せば他に出来ることは無く簡単に無力化できる。
残りはさっきも言った通り無力化していって倒しきったら素材の回収だ。
回収用の機体を出していき俺はその辺の瓦礫へと座り込む。
「え~っと今のGPは1億3千万か結構かせげてるな」
GPだけを稼ぐなら別の場所の方が1匹あたりのGP量が多いのだがここには素材も一緒にとりに来ている。
素材はほとんどがこれから作る予定の機体に使うのだがそれでも使わない部分やコアも使わないのが出てくる。
特に『機械種マギア(基地)』のコアなんて軽自動車ぐらいあるから普通には使えないのでそれはGPに換えている。
「お、レベル上がってる」
【資格の塔】ではある程度魔物を倒していたがそこまで数を倒したわけじゃなかったのでレベルは1つしか上がっていなかった、だがここにきて大量に魔物を倒したことでさらにレベルが上がっていたようだ。
名前:神薙 響 年齢:16
レベル:98 → 100
STR:246 → 260
VIT:195 → 210
AGI:251 → 268
DEX:1035 → 1105
INT:8
MND:7 → 23
≪スキル≫
<ユニーク>【GunSHOP】Lv:7 → 8
<上級>【空間庫】Lv:7 → 8
<スキルリンク>【野営地】Lv:4 → 5
<特級>【射撃】Lv:10 → <極級>【射撃】Lv:2
<上級>【銃術】Lv:6 → 7
<上級>【堅忍不抜】Lv:─
<上級>【気配感知】Lv:7 → 9
<中級>【遠目】Lv:─
<スキルリンク>【イーグルアイ】Lv:10
<ユニーク>【風読み】Lv:─
<上級>【計算】Lv:4 → 6
<上級>【体術】Lv:2 → 4
<ユニーク>【制御:機械種マギア】Lv:─
<スキルリンク>【格納庫】Lv:─
<上級>【水中呼吸】Lv:3
「おおぅ、なんかいっぱい上がってる………」
経験値が溜まっていたのか同時に色んな物がレベルアップしている。
というか遂に100レベルか、なんだか実感がないけれど100って相当凄いはずだ。
ステータスはいつも通り……じゃない!?MNDの数値が上がっている?
あー、そういえば【資格の塔】で魔法攻撃を受けたっけ、それでか。でもあれだけでこんなにも上がる物なのか、元々低すぎるって言うのもあるのかな?
魔法攻撃自体は防具のお陰で攻撃性皆無だったのだがあれでもステータスってあがるんだな。
次はスキルだが【GunSHOP】は商品が追加されているだろうし後で確認するとして、【空間庫】は容量が増えたのと【野営地】はエリアが広くなったのとまた建築物何か増えたかな?後で見てみよう。
そして【射撃】が<極級>か、たしかスキルレベルはこれが最高なんだっけ?<初級>→<中級>→<上級>→<特級>→<極級>の順だったか、正直ここまで育つと思っていなかったから気にしてなかったけど改めて考えると俺って結構スキル育ってるんだな。
【銃術】はレベルが上がっただけで特に何かスキルアーツが増えてはいないか、残りのレベルアップしたスキルはそれぞれ順調に強化されただけな感じだな。
ではお楽しみの【GunSHOP】スキルの新商品見ていくか。
<ユニーク>【GunSHOP】Lv:8 ▼
LV:1 <GunSHOPを開いて売買が出来る> ▼
武器:▼
〝ハンドガン〟50GP~▽
〝サブマシンガン〟75GP~▽
〝ショットガン〟80GP~▽
〝アサルトライフル〟100GP~▽
〝スナイパーライフル〟200GP~▽
〝グレネードランチャー〟3000GP~▽
〝ロケットランチャー〟5000GP~▽
〝爆発物〟500GP~▽
<New>〝光線銃〟20万GP~▽
・
・
・
外装:▽
防具:▽
消耗品:▽
光線銃…………?突然ダサい名前が出てきたな、何となく言わんとしている事は字面から分かるが。
取り合えず▽の部分を押してさらに表示していく。
なるほどな、光線型とついてはいるがその他は既にある物と同じ種類しかない、アサルトライフル(光線型)とかハンドガン(光線型)とかそういう感じだ。
要するにビーム兵器って事か。
試しに一番安い〝ハンドガン(光線型)〟を買ってみる、これでも20万GPもする。
「ほほぅ、なるほどそういう見た目のを選べるのか」
今まで銃の見た目と言えば過去に実在した物をベースに似たような形のしかなかった、だけれど今回の光線銃は過去にも実在しない映画などで表現される誇張された近未来の武器という形をしている。
幾つか形に種類がありその中から選ぶのは今までと変わらないようだ。
取り合えずシンプルな物を選び購入を完了する。
「マスター、光線銃ですか?」
「そうだね、取り合えず試してみようかと思って」
ヘレナがこちらに気づいて声をかけてくる、彼女は俺のスキルから発生している存在なので俺のスキルを把握している、光線銃の事も既に知っていたようだ。
〝ハンドガン(光線型)〟を眺める、普通の銃ならマガジンを入れる所がある場所には何もなく見た目から玩具のように見える。
もう一度【GunSHOP】スキルを開き今度は消耗品の欄を見ていくとそこにはやはり〝光線銃〟用の弾が売っていた。一つ買ってみる。
「カートリッジ?」
小さい四角い黒い箱のような物が手元に出てきた、どうやらこれがマガジンのようだ。見た目はプリンターのインクが入っているカートリッジのような感じだ。
「これを………ここか、ここに入れてコッキングをして安全装置はここね」
普通の銃で言うところのチャンバー内、薬室の場所へとこのカートリッジを入れるようだ、その他の部分は普通の銃と同じで安全装置とかもついている。
誰もいない方へ向かって瓦礫を狙い〝ハンドガン(光線型)〟を撃つ。
「あー、なるほど。うん、使う事は無いな」
すぐに使う事は無いだろうなと判断した。理由としてはまず撃つ感覚がなさすぎる事。
反動が無いし銃を撃っているという実感が〝光線銃〟には無い。
何て言うかビームがハンドガンからチュンって飛んで行くだけだ。近未来っぽいデザインと映画でみたような現象は面白いが好きかと言われるとそうでもない。
使い道はどこかにありそうだが常用はしないかな、せっかくの新商品だが仕方ないスキルには毎度使えるような物が増える保証もないからな。
取り合えずいつも使っている銃をアップグレードしておこう。
次のは〝アサルトライフルHotel〟シリーズか。あ、こっちでも近未来っぽいデザインの銃を選べるようになっている。
悩む、見た目は好きなんだよね近未来系のデザインって。
うーん、後で欲しくなったら買えばいいか、今はいつも通りの形のを買っておこう。
「マスター、素材の回収が終わりました」
「了解、そろそろ機体を同時進行で作り始める?」
「そうですね、作業員ロボットを増やしてほしいです」
「おっけい、それじゃ一度【格納庫】に行って色々と作業をするか」
そろそろ集めた素材もいっぱいになってきたころだ機体を作り始めていいかもしれない、そう決めたら早速行動だ。ヘレナに声をかけ後ろで待機していた山田さんにも声をかけ【格納庫】へと入っていく。
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