第90話 事故処理と諸々の確認
90.事後処理と諸々の確認
「終わってみれば意外とあっさりだったな」
『あっさりですか』
「何だよ、その含みのある言い方は」
『いえ、マスターにはどうやら周囲がどうなっているか見えていないようで』
「周囲って言っても………まぁアレだよ。ダンジョンだしその内いつの間にか戻ってるでしょ?」
『それはそうですが………』
ネームドであるゴブリンキングを倒し終わった後、回収用のドローンを呼び出し後始末は任せているのだが中々思うように作業が進んでいない。
なぜか。
ダンジョン内にあるゴブリン達の王国、ゴランデル。そこが建物一つとして建っていない瓦礫の国へと変わったからだ。
あちこちで起こした爆発のお陰でお金とGPになる素材が瓦礫の下敷きになったままだ、クモ型の偵察機が瓦礫の隙間へと入っていきどこに素材があるのかマッピングしていく、そこへ回収用ドローンが近づいていき山になっている瓦礫をどかして初めて回収できるのだ、それで時間がかかっているので俺はそのへんの適当な所に座り休憩している。
「まぁ爆弾いっぱい使ったお陰で残党はいないようだし、そこはよかったんじゃないか」
『そうですね、上手くいきすぎな気もしますが結果は良かったです』
C4だけで1000万近くもGPを消費したんだ、これぐらいの成果は出してもらわないと困る。
困る………が、少しやりすぎたと感じてもいる。
正直に言うとここまで全部を破壊しつくすという所までやるつもりはなかった、爆薬の起爆はヘレナに任せていたが俺が爆発量を調整する事も出来た。
そうしなかったのは途中でテンションが上がってしまってやっちゃえ!ってなってしまったからだ。
今後の課題だな、戦闘中は気持ちが昂る、だけど冷静に物事を考えないと危ない。
『マスター』
「ん?」
『どうやらゴブリンキングのドロップのようです』
「お?やっぱりあったかドロップ品」
最後には【不壊】と同じぐらいまで大きくなっていたゴブリンキングだが死んだあと体がしぼんでいって最終的には初めて見たときと同じ姿になっていた。
戦闘が終わった後すぐに回収用ドローンを呼び出して休憩に入ったのでドロップ品とかの確認をしていなかった。
どうせ回収するのでそれが後か先かでしかない、だからドローンに任せておいた。
「これは、王冠?にしてはシンプルだな」
『そうですね』
ドローンが持って来てくれたのはシンプルな王冠、金色ではあるが装飾などもなく1枚板の金をただ王冠にした。そんな感じだ。
「これは鑑定行きかな、それでこれだけ?他には無かったのか」
『まだ探している途中ですが、見つかったのは王冠だけの様です』
スキルオーブ出ないかなって思っていたけど残念だ。
「素材の回収はまだまだかかりそうだし先に本命を確認しちゃうか」
本命というか気になる事、ステータスと追加された新商品だ。
まずはステータスから。
名前:神薙 響 年齢:16
レベル:93 → 98
STR:231 → 246
VIT:183 → 195
AGI:240 → 251
DEX:1005 → 1035
INT:8
MND:7
≪スキル≫
<ユニーク>【GunSHOP】Lv:7
<上級>【空間庫】Lv:7
<スキルリンク>【野営地】Lv:4
<特級>【射撃】Lv:8 → 10
<上級>【銃術】Lv:5 → 6
<上級>【堅忍不抜】Lv:─
<上級>【気配感知】Lv:6 → 7
<中級>【遠目】Lv:─
<スキルリンク>【イーグルアイ】Lv:10
<ユニーク>【風読み】Lv:─
<上級>【計算】Lv:3 → 4
<中級>【体術】Lv:10 → <上級>【体術】Lv:2
<ユニーク>【制御:機械種マギア】Lv:─
<スキルリンク>【格納庫】Lv:─
<上級>【水中呼吸】Lv:3
レベルが98になり大台である100までもう少しとなった、なんだか実感がないがもうそんなにレベルが上がっていたんだなぁって感じだ。
後はステータスとスキルが順調に上がってきている、うん。正直言う事は無い。
では本命の本命である追加された新商品を見て行こう。
<ユニーク>【GunSHOP】Lv:7 ▼
LV:1 <GunSHOPを開いて売買が出来る> ▼
武器:▽
外装:▼
〝サイト〟5GP~▽
〝スコープ〟10GP~▽
〝サイレンサー〟10GP~▽
〝ライト〟5GP~▽
〝ストック〟5GP~▽
〝グリップ〟5GP~▽
〝マズル〟10GP~▽
〝ウェポンライト〟500GP~▽
〝ハンドガード〟30GP~▽
〝グレネードランチャー〟300GP~▽
〝拡張マガジン〟500GP~▽
・
・
・
防具:▽
消耗品:▽
特殊:▼
〝龍殺しの一撃〟100万GP
<NEW>〝拡張パーツ〟1200万GP
うん………うん、見間違いじゃないか。〝拡張パーツ〟という謎の物が1200万GPで売ってある、高い。桁がおかしいんじゃないか?
そして新商品って全く新しい何かじゃなくて〝龍殺しの一撃〟の追加パーツなのか。
う~ん、まぁ買わないっていう選択肢はないから買うんだけども。幸いにしてまだ残っているGPには余裕がある。
「というわけでぽちっとな」
『何を買ったのですか………?板?』
「何だこれ、板じゃん」
〝拡張パーツ〟を購入すると出てきたのは黒いブロック状の板っぽい何かだった。
大きさは片手で持てるが手のひらからは少しはみ出す程度、これがどういうパーツなのかよくわからない。
『それが新商品ですか?』
「うん、〝拡張パーツ〟らしいんだがどうやって使うんだろう?」
『ふむ、予想になりますが何となくわかります』
「本当?どうすればいいんだ?」
『まずは〝龍殺しの一撃〟を手にもってください』
「はい、持ったよ」
ヘレナに言われた通り〝龍殺しの一撃〟を【空間庫】から取り出し手に持つ。
四角く角ばっていて黒の艶の無い色に銃口から十字に白い線が入っている、普通のハンドガンよりも少し大きめだろうか?無骨な感じでこれはこれで映画とかで描かれる近未来っぽいデザインで好きだ。
『それでは先ほど購入した〝拡張パーツ〟を左手に、〝龍殺しの一撃〟を右手に持ち銃口へと〝拡張パーツ〟を合わせて見て下さい』
「ふむ」
サイレンサーを取り付けるときみたいにして〝拡張パーツ〟を〝龍殺しの一撃〟の銃口へと近づけていく。
「お、おぉ?おー!」
〝拡張パーツ〟を銃口へと近づけた瞬間にゅっと吸い付いて銃口へとピタッとついたかと思うと今度は銃が変形していった。
銃身が伸びてストックも伸びて形と大きさが随分と変わっていった。
「これはアサルトライフルか?」
『大きさ的にはそのようですね』
〝龍殺しの一撃〟が変形し終わると普段使っているアサルトライフルほどの大きさの銃になった、デザイン的にはレーザーがでそうな宇宙っぽいと言えばいいのか何て言ったらいいのかわからないが宇宙が舞台の映画とかで出てきそうな見た目だ。
色とかは変わらず艶消しの黒に装飾らしい装飾といえばハンドガンの時にもあった銃口からのびる十字の白い線ぐらいか。
「ん、表示が増えている」
ハンドガンの時に残弾数として表示されていた花びらの部分の下が液晶っぽくなっておりそこに1000と書いてある。
「数字………これも残弾数か?」
こんなところに数字が表示されるなんて理由は一つしか思いつかない。
座っていた瓦礫から立ち上がり偵察機とドローンのいない方へ向けて1発だけ撃てるようにトリガーを引く。
「青白い光の弾丸………。そしてやっぱりこの数字は残弾数か」
アサルトライフルへと変形した〝龍殺しの一撃〟から放たれた弾丸は青白いエネルギー弾っぽい物だった、そして先ほど数字が書いてあった所をみると999となっている、やはり残弾数だったようだ。
問題はこれが1000発しか撃てない物なのかどうかだ、試してみるしかないか。
先ほどと同じ様に何もいない方向へと向けて銃をフルオートで撃っていく。
映画とかでよく聞くエネルギー弾を撃った時のような音が連続で流れていく。
「威力がすごいな」
『かなり威力がありますね』
何もいない瓦礫へと向かって撃っているのだが弾が当たったところから消滅していきどんどん瓦礫が消えていく。
貫通力も高いのか奥にある物まで全て破壊していっている。
射程距離は1キロほどか、間にあった全ての物が等しく消滅していっている。
弾がエネルギーだからか重力に引っ張られて弾道が落ちるという事も無くただひたすら真っすぐ飛んで行く。
「お、千発終わったか」
『撃ち終わりまで1分ほどですから通常のアサルトライフルと同じぐらいですね、ただし射程距離がかなり長いですそれに威力もかなり強い』
連射性能は普通のと変わらずだけど射程距離と威力が段違いか。
「花びらが1枚消えているな」
残弾数のところを見ると花びらが1枚消えていて再び1000という表示がついている。
「24時間で1000発か」
24時間で1000発まで元手無しで敵を倒せると考えればかなりいい武器になるな。
普段〝龍殺しの一撃〟を気軽に使えないのは威力がありすぎるからだ、だけれどこれなら普段からある程度使えるかもしれない。
普段から使う必要あるのか?と聞かれれば無いとしか言えない、だって普通のアサルトライフルでも十分だもの。
でもやっぱり折角手に入れた物なら使っていきたい。
「ところでヘレナ」
『はい、何でしょうか』
「どうしてこの〝拡張パーツ〟の使い方がわかったの?」
ヘレナのお陰でこの使い方がわかったのだが何故分かったのかがわからない。
『映画で見ました』
「………映画で見た?」
『はい、映画でそういった演出があるのを見ていて覚えていました』
「そうか、うん。色々言いたい事はあるが、ヘレナって映画を見るんだな?」
『はい』
そうか、ヘレナって映画とか見てたんだ………知らなかったな。今度最新の映画でも一緒に見るかな?
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