第76話 金さん銀さん
76.金さん銀さん
「いないなぁ金色のやつ」
Bランクダンジョンの【魔のサファリパーク】へ通い始めて3日が経ったが未だにレア魔物である金色と銀色のやつには出会っていない。
毎日100匹ほど倒しているがそのほとんどはダンジョン協会へと売却してGPには換えていない、理由としては大きくGPを使う機会が無くちょっと余り気味になって来たからというのとAランク試験を受ける条件の協会側の利益を出すというやつを少し意識しているからだ。
多分この程度じゃ全然条件には足りないとは思うがやらないよりましだ。因みにGPは今1500万を超えている。
GPがいっぱいあるし新しい機体でも、と思ったがここぞという場面で新しく作れない方が怖いので貯蓄しておくことにした。
そんな感じの3日間を過ごしてレベルもちょっと上がった。
名前:神薙 響 年齢:15
レベル:71 → 74
STR:170 → 181
VIT:125 → 130
AGI:179 → 190
DEX:775 → 795
INT:8
MND:7
≪スキル≫
<ユニーク>【GunSHOP】Lv:6
<上級>【空間庫】Lv:6
<スキルリンク>【野営地】Lv:2 → 3
<特級>【射撃】Lv:3 → 4
<中級>【銃術】Lv:10
<上級>【堅忍不抜】Lv:─
<上級>【気配感知】Lv:3 → 4
<中級>【遠目】Lv:─
<スキルリンク>【イーグルアイ】Lv:9
<ユニーク>【風読み】Lv:─
<中級>【計算】Lv:9
<中級>【体術】Lv:5
<ユニーク>【制御:機械種マギア】Lv:─
<スキルリンク>【格納庫】Lv:─
レベルが1日1つのペースで上がっていて、スキルもちょびっとだが上がっていた。
【野営地】がレベル3になって範囲が広くなり建物も建材が増えていたが詳しくないのでどう違うのかがわからず持てあましている。
他には新しく自販機が増えてカップラーメンの自販機を置いた、プールなどによくあるアレだ。【野営地】は意識して使わないと中々レベルが上がらないが現状困っていないのでどうしたものか。
スキルレベルが上がると何が増えるかとかがわかれば目標にしたりしていけるが何もわからないしな、まぁそれが面白いっちゃ面白いんだけれども。
「3層にきてはみたものの、アレってデカすぎない?」
『少なくとも体高だけで4メートルはありますね』
【魔のサファリパーク】の3層、その中間あたりで次の獲物を探していたのだがこの辺りから魔物が強くなるのかサイズがでかくなっていた。
今見ているのはライオンに似た魔物で盛り上がった筋肉に額に角を生やし尻尾の先がとげとげになっている感じだ。
敵との距離は2キロもあるはずなのだがこちらに気づいているのかさっきから視線があっている。
こちらは【イーグルアイ】を使ってやっと見えるぐらいなのに向こうからすれば普通に見える範囲みたいだ。ただ警戒しているだけでこちらにやってくる様子はない。
こっちに来ないなら既にこちらの勝ちは決まったようなものだ。【忘失の外套】を起動する、すると敵はこちらの姿を見失い目をぱちぱちとさせキョロキョロと周りを見ている。
乗っていたバイクの姿は隠せないので一時的に【格納庫】へと戻しておく。
ライオンに似た魔物がこちらの姿を見失い、警戒を続けるのをやめて伏せたのを見てこちらもゆっくり射撃体勢にはいる。地べたに座り〝スナイパーライフルFoxtrot〟を抱きしめるように構える。
使用する弾丸は徹甲榴弾、これなら一撃で倒せるだろう。
魔法転換した銃弾でもよかったが適当なのが思いつかなかったのでいつも通り普通に倒す。
ゆっくりと息を吐き、浅く息を吸ってから止める。
撃つ。
放たれた弾丸は狙い通りライオンに似た魔物の額へと吸い込まれていった。
魔物は大きく目を開きビクッとしてからそのまま動かなくなった。
徹甲榴弾を使ったが相手がでかすぎて頭が破裂するということもなかったみたいだ、グロくならなくてよかった。
倒し終わったので【格納庫】から回収用ドローンと荷物持ち君を呼び出して2キロ先の倒したやつを回収してもらう。
最後にバイクを取り出し乗り込む。
「色々射撃体勢調べて試してみてるけど、これだ!っていうのが中々ないなぁ」
『マスター的にはどれが撃ちやすいとか無いんですか?』
「うーん、どれも一緒かなぁ。正直器用値が高すぎてどんな体勢でも外す気がしないんだよね」
寝転がってみたり膝立ちでやってみたり立ったまま撃ったり、色んな射撃体勢を調べては試してみて撃ちやすいのを探しているのだがDEXのステータスが高すぎてバイクで走りながらだろうと2キロ先の的を外さない気がする。何かそういう感じがするんだよね。
もちろん楽な姿勢とかはあるが基本そんなにかわらない。
「それにしても金色の奴いないかなぁって、ん………?」
『どうかしましたか?マスター』
「アレって金色じゃない?」
『またですか?さっきもそう言って普通のじゃなかったでしたっけ?』
「いやいやいや、今度こそほんとに金色だよ!ほら、あそこ!」
これから進もうとしていた方向に恐らく金色に見える魔物の姿が見える。
『あれは………確かに金色に見えますね、それに銀色のもいませんか?』
「まじ?ほんとだ。やべぇ金さん銀さんか」
金色のヘラジカに似た魔物の陰から銀色のヘラジカがぬっとあらわれた、体高は6メートル、角の大きさは3メートルはあるだろう。さらに異常に発達した脚に体には変な模様までついている。
金色と銀色のペアの様に見えるヘラジカの魔物はこちらに気づいた様子もなく呑気に葉っぱを食べている。
「あれが金色と銀色の魔物か、ほんとにあの色なんだな」
『かなり目立つはずですがここまで見なかったという事はそれだけレアなんでしょうね』
夕焼けの光りを浴びてぎんぎらぎんに輝いて目立っている金さん銀さん、あれだけ目立っているのに何かに襲われることも無く存在しているって事は強いんだろうな。
「何か年寄りっぽい?」
『そういう見た目なだけでしょうか?』
金さん銀さんはどこか老練な雰囲気を感じる、魔物の年齢なんてわからないが老けて見えるんだよな。
「まぁいいか、倒してみよう」
『はい』
魔物との距離は5キロほど離れているのでまずは近づく所からだ、バイクを起動してゆっくりと近づいていく。
「ん、もう気づくのか」
まだ4キロは離れているはずなのに既にこちらに気づいた様子でばっちりこちらを見ている。
動物というのは元々何かを察知する範囲が人のそれとは比べ物にもならないがそれが魔物にもなるとさらに強化されるのかとんでもない距離からこちらに気づいてくる。
「流石にこの距離は届かないしもうちょっと近づくしかないんだが、どうするか」
4キロ射撃はまだした事がない、多分恐らくメイビーな感覚でいうなら【GunSHOP】スキルの銃なら届くとは思うしあてる自信もあるが試すのは今度にしよう。
こちらを見ている状態の敵に近づくのは中々勇気がいるがちょっとずつバイクを進めていく。
「あっまずい」
1キロほどバイクを進めて敵まで残り3キロという地点まで来た時に金さん銀さんに動きがあった。
頭を下げ角をこちらに向けて後ろ足をガッガッと踏む動きをしている。
あれって突進する前兆だよな?やばくね?っていうかこの距離から突進してくるの?
何となくやばい雰囲気を感じてバイクを飛行モードに移行して飛ぶ準備に入りそのまま少し浮上すると同時に【格納庫】から【不壊】を出しておく。
「ヘレナ防御モードで」
『了解』
【不壊】に取り付けてある盾を出して防御体勢に入ってもらい俺はバイクで上空から〝アサルトライフルFoxtrot〟を構える。
「わぁお」
金色のヘラジカの姿が一瞬消えドォンという衝撃音が響き【不壊】の機体が大きく浮き上がる。
金色のヘラジカがまばたきをする一瞬の隙に【不壊】へと突進したようだ。
「大丈夫か!?」
『損傷率2%、軽微です』
軽く5メートルは飛んだように見えたがそれでも損傷率2%なのか、おもったより硬いな。
「そのまま取り押さえておいてくれ」
『はい』
ヘレナの操る【不壊】が盾を使い金色のヘラジカを抑え込むように動いたのを見てアサルトライフルを構え撃つ、弾は徹甲榴弾だ。
「あらま」
撃った弾がキィンと甲高い音を立てて弾かれた。
ここにきて攻撃を弾く敵の出現だ。
徹甲榴弾が効かないという事は普通の弾も効かないだろうし取り合えず時間稼ぎにスキルアーツの【精霊の弾丸】を撃ち込む。
「無理か」
久しぶりに登場したスキルアーツだが樹のつるが金のヘラジカを絡めとった瞬間その拘束がはじけ飛んだ。
時間稼ぎにもならなかった。
次に取り出したのは【魔法転換:銃弾(雷)】を装填してあるマガジン、それをアサルトライフルに取り付け撃つ。
「ちょっと効いてるか?」
雷の銃弾が当たった金のヘラジカはビクッとなって動きが止まるが少しするとまた動き出す。
『マスター!それは私にも効くので注意してください!』
「あ、そうだった」
【魔法転換:銃弾(雷)】は機械系に特攻が付いているのを忘れていた【不壊】にあたったらフレンドリーファイアになるところだった。
どうしようか、あの様子だと他の属性の炎とか水とか風なんかは効きそうにない。
「そういえば【魔法転換:銃弾(闇)】を使ってみるか」
スキルアーツを覚えたときに一通り試したが闇や毒などいくつかよく効果がわからないのがあった目に見えて現れない効果のやつならあの硬いやつにも効くんじゃないんだろうか?
【空間庫】から【魔法転換:銃弾(闇)】を装填してあるマガジンを取り出してリロードを済ませそのまま狙い撃つ。
「お?」
【魔法転換:銃弾(闇)】を食らった金色のヘラジカは突然その場でぐるぐると回りだした。
「見た感じ目が見えていないって事か?」
『そのようですね』
「銀色のも動き出したか」
金色のヘラジカが劣勢だと気づいたのか銀色のヘラジカも動き出した、こちらは普通に走って近づいてきている。
【魔法転換:銃弾(闇)】の目くらまし効果がどれぐらい続くかわからないから先に金色のヘラジカを倒す。
「ヘレナ、パイルバンカーだ」
『了解、パイルバンカーセット………撃ちます』
【不壊】からパイルバンカーが飛び出してきて金色のヘラジカへと攻撃を加える。横から頭にパイルバンカーを食らったヘラジカはその顔の半分ほどを吹き飛ばし動かなくなった。
「これなら通じるのか、次のも同じ様に倒すよ」
『はい』
こちらへと走って向かってきている銀色のヘラジカが射程圏内にはいった瞬間【魔法転換:銃弾(闇)】を撃ち込む。
「ヘレナ」
『パイルバンカーセット………撃ちます』
【魔法転換:銃弾(闇)】を食らった銀色のヘラジカがその場で動きを止めキョロキョロとしだした瞬間ヘレナの操る【不壊】の一撃が炸裂する。
「何とか倒せたな」
徹甲榴弾と【魔法転換:銃弾(雷)】が効かなかった時は一瞬焦ったが何とかなった。
『経験値が一定値に達しました、レベルが74から86に上がりました』
「あれ?めっちゃレベル上がった!?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます