第75話 Aランクになる為に必要な事
75.Aランクになる為に必要な事
「うーん、よくわからないなこれ」
夜の寝る前の現在、お布団に入りながら空中投影のディスプレイを出してAランクになる条件を検索していたのだが。
Bランク試験の時はレベルが50以上でどこかしらのクランへと入っていれば試験を受けることが出来た、だけどAランクの試験を受ける条件が最低でもレベル90以上、そしていまいちよくわからない部分なのが何かしらの実績が無いといけないという事。
レベルは単純な目標だから分かりやすいが何かしらの実績って何なんだ………
今見ているのはダンジョン協会の公式ホームページだが他のサイトを見ても似たような事しか書いてなくよくわからない。
「明日花井さんに聞いてみようかな」
花井さんの前職はダンジョン協会の職員だったと聞いている、なので俺よりもこういう話には詳しいだろう。
明日クランハウスへ行って話しをしてみよう。
取り合えず今日はおやすみなさい。
◇ ◇ ◇ ◇
「そうですね、Aランク試験を受ける条件である実績と言うのは実はかなり曖昧な部分があるんです」
「曖昧?」
「はい、私も受付嬢をしていただけなので詳しい内容は分からないんですけど覚えている内容で言うとネームドを何体も倒しただとか、未踏破領域の攻略だったり、災害時の救助に大きく貢献したり、後は単純に大量の素材をダンジョン協会へと売却して利益を出していたりだとかそういった感じですね」
「へぇ、色々あるんですね」
「そうなんですよ、これといった何かと言うのは難しいのですがそうですねぇ現実的なので言えば素材を大量に卸すのが時間はかかりますが確実ですかね」
「確かにそれなら時間はかかるけど確実なのかな」
「はい」
Aランクの条件を調べた次の日、クランハウスへきて花井さんに話を聞いてみているのだが聞けば聞くほどこの条件って広いようで狭い範囲の条件なんだな。
一番簡単そうな素材を大量にダンジョン協会へと売却して利益を出すって言うのも言葉にすれば簡単に見えるがどれだけ利益だしたら、みたいな明確な条件があるわけでもないのできつそう。
それに素材を多く売却するって言うのは【GunSHOP】スキルとの相性がよくないから無しだな。
他のネームドの討伐は相性のいいやつなら倒せそうだけど正直不安要素が大きいし未踏破領域の攻略と言うのもリスクがありすぎる。
災害時の救助なんて狙ってできる物でもないしそもそも災害は起きて欲しくないからこれも無し。
こう考えると結構難しいな。
「中々難しいですね」
「はい、神薙さんはどうしてAランクの条件が厳しい物かその理由は知っていますか?」
「ん?そういえば何でだろう、簡単になられると悔しいからとか?」
「あはは、確かにそれも少しはありそうですけどね。本当の理由としてはAランクになると特権が増えるからなんです」
「特権?」
「はい、Aランクと言うのは実質探索者のトップですそういった人達が快適にダンジョン探索できるように協会側としてもある程度融通を利かせなくてはいけないんです」
「それはAランクの探索者がもたらす利益が大きいからとかそういうアレですか?」
「そうですね、ランクの高いダンジョンほどその素材は高くなっていきますから当然協会側の利益も大きくなります。なので自然とそうなっていくんですよ」
「ふむふむ、例えばどういった特権があるんですか?」
「例えば………、税金関係などがありますがこちらは少し難しい話しなので置いといて。探索者として一番大きいのは国家指定された特別なダンジョンへの入場許可が取れるとかですかね?」
「国家指定ってあれですか危険すぎて国が封鎖しているっていうダンジョンですか?」
「そうです、と言っても封鎖されているダンジョンの全てが危険な所というわけでは無いんですけどね」
「そうなんですか?」
「はい、神薙さんは回復薬、所謂ポーションがどこから供給されているかしっていますか?」
「どこからってダンジョン協会から?」
「はい、ダンジョン協会からポーションは販売されているわけですがその数は毎日何万本と莫大な数になります。ですがその素材はどこからだと思いますか?」
「素材は探索者のみんながとってきているんじゃないんですか?」
「ダンジョン内や協会内で薬草をとってたり売ったりしている人を見かけた事ってあります?」
「ん………?そういえば見たことないかも?」
いわれてみればダンジョン内で誰かが薬草採取している姿とか一度も見たことが無いな、何かのついでにとってて収納袋とかにしまってたらわからないが協会で素材を売る時とかも薬草を卸している人とか見たことないかも。
「そこで先ほど出てきた国が封鎖しているダンジョンの存在が出てくるんです、封鎖しているダンジョンの中には薬草しか生えていない1層だけのフィールド型ダンジョンなどがありそこで探索者の必須になるアイテムなどの素材を国が採取しているんです」
「国がそんなことしてたんだ」
「はい、ポーションなどの薬に使われる薬草は需要がとても大きいです。しかしその分大量にとってきたとしてもどうしても普通の魔物の素材などに比べると安くなってしまいます。それに探索者になる人のほとんどは戦う事の方が好きで採取などの地味なのは好みません」
「まぁそうだと思う」
俺も薬草採取するより普通に戦っていたい。
「なのでそういった地味な所は国が主導で行っているんですよ、他にも初心者用装備の素材がでるダンジョンだったり封鎖していると言っても危険なだけじゃないんですよ」
「なるほどなぁ」
考えてみれば当然の話しだった、ランクの低いポーションなどの素材や初心者用の装備である安い素材、そういった物は当然需要があるが今現在探索者でダンジョンに籠っている人がわざわざとってくるかと言われたらそうはしないだろう。
「もちろん危険なダンジョンもあるんですけどね、そういった所は危険な代わりにとてもいい素材がとれるそうですよ。Aランクになるとそういった場所への入場許可が出るんです」
「それはちょっと興味ありますね」
危険な代わりにレアな素材がとれるって事か、どんな所なのか凄い気になるな。
「でも、そのAランク受けれるようになる条件ってどうやったらわかるんですか?」
条件の内容は分かったがその条件を満たした時にどうやって知ることが出来るのかがわからない。
「それならダンジョン協会から通知がくると思いますよ、Aランクが近いとなると協会側も流石に放っておけないですからね、何かしらの形で連絡がくるとは思いますよ」
Aランクはそれだけ重要な存在になってしまうという事か。
「うーん、今すぐどうこうできるような感じではないかぁ」
「こればかりはしょうがないですね」
ランクを上げるのはそう簡単にはいかないか。
◇ ◇ ◇ ◇
「1匹、2匹、3………は逃げられたか」
花井さんにAランク試験の条件を聞いてから翌日、俺は取り合えずレベル上げをすることにした。
今はBランクダンジョンの【魔のサファリパーク】へと来ている、ここはフィールド型のダンジョンで広大なエリアで3層しかない。
出てくる魔物は現実に存在する様々な肉食動物をベースにそこから毛色が違ったり角などが生えていたりと見た目が変わっている。
どうしてこのダンジョンへ来たかと言うとネット情報だがここは経験値が美味しい魔物がいるらしい。
色が金色か銀色の魔物がいるらしくそれが経験値が美味しいらしい。どこかの某ゲームみたいだが実際にそういう情報なので納得するしかない。
そんなわけで今はそれを探しつつバイクで移動しながら普通に狩りをしている感じだ。
回収用ドローンもあるし荷物持ち君もいるのでバイクから降りもせずに〝スナイパーライフルFoxtrot〟で倒しては移動を繰り返している。
「この方法だと凄い楽だなぁ」
『私がすることがありません』
楽な狩りだなぁと思っているとそれが不満なのかヘレナがちょっとムッとした声で言ってくる。
「うーん、ヘレナが倒した場合って俺に経験値的な物って入るんだろうか?」
そうだとしたらヘレナにも狩ってもらうんだけど。
『どうなんでしょう、確認のしようがないですから難しいですね』
「まぁそれもそうか」
ヘレナと会話しつつスナイパーライフルでどんどん倒していく。
因みに今倒しているのはライオンに似た魔物で1匹あたり12万GPほど稼げている。スナイパーライフルの1発で倒せるのでかなりのプラスだ。
素材としてダンジョン協会へおろす場合は本当なら解体した方がいいんだろうけどめんどくさいのでそのまま渡す、解体費用が引かれるが気にはならない程度だ。
Aランクの特権について花井さんに聞いたときついでにBランクの特権についても教えてもらった。
俺は知らなかったが実はBランクになった人にも少しだが特権があるらしい。
その中の一つに素材を卸した際の手数料がちょっと割り引かれるってのがある、解体料もその中に含まれるのだが手数料がちょっとだけだとはいえそこは塵も積もればというやつで思ったよりも割り引かれるみたいだ。
他にもダンジョン協会の施設の利用料金がかからなくなったり色々あるみたいだが俺にはほとんど関係ない事ばかりだった。
「お?アレ金色じゃない?」
『どれですか?』
「あそこ、俺の見ている方」
『あれですか、あれは………光りでそう見えているだけで茶色ですね』
「茶色か………」
【魔のサファリパーク】は夕方の時間帯になっており空がオレンジ色になっている、そのせいで魔物が時々金色に見えるのだ。
「もうちょい探すか、まだ昼過ぎたぐらいだし」
『はい』
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
あとがき
VCRGTAという配信者が多く集まるイベントの配信を見ていたら執筆が中々進まず更新が遅くなってしまいました。
ついついみちゃうんですよね………
そういうわけで出来るだけ早く更新できるように頑張ります。
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