第53話 防御手段と【野営地】Lv:2

53.防御手段と【野営地】Lv:2








夕方、一日中探索して疲れたので今日は【野営地】で休む事にした。


犬型の『機械種マギア』との戦闘の後も数回犬型と戦ったのだがこれがなかなかに厄介だった。

最初の戦闘の時はいつも通り遠くから一方的に倒しきったから余裕だったから、これぐらいなら普通に戦っても平気だなって思って今度は正面から普通に相対して戦ったのだが、相手が機械だって事を完全に忘れてた。


今までの魔物は大体が見た目通りの、言ってしまえば予想通りの攻撃しかしてこなかった。

だけど犬型の『機械種マギア』は予想外の攻撃をしてきた、手がドリルに変形したり口からドリルを発射してきたり。

背中からブレードが生えてきてそれで攻撃してきたり。


体が変形するのなんて当たり前のように動いてきて次にどう動くかわからなかった、そのせいで久しぶりにちゃんとした怪我をした。

主に打撲と切り傷だが【再生の腕輪】で怪我は既に治りきっている。


「こうなると防御手段が必要になるなぁ」


『一角兎』の巣を攻略した時みたいに盾を買おうかな?今なら商品も増えているだろうし。

そうと決まれば早速【GunSHOP】スキルを開いてみていく、以前つかった〝ライオットシールド〟以外にも鉄製の重そうな盾とかも増えていた。

この辺は使う事が無かったしあんまり見てなかったけどやっぱりちゃんと商品増えてたんだな。

そして盾とかも銃と一緒でシリーズ化していた、なので一番いいのは〝Foxtrot〟シリーズになるだろう。

〝ライオットシールドFoxtrot〟でもいいかもしれないが以前と同じっていうのも味気ないしなぁ。


お?盾にも展開型とかあるんだ、これいいんじゃないか?買ってみよう。


ふむ、盾にも大きさとか形とか種類があるのか。んー、身を隠したいし大きいのがいいけど取り回しを考えると小さい方が扱いやすそうだしな、悩みどころ。

こう、大きい盾を振り回して敵にタックルを決めるとかちょっと憧れるけど、俺のキャラじゃないしな………


いや、まてよ?常に付けているのは小さいのにして身を隠せるほどの大きなやつは【空間庫】に入れておくってのもありだな。

【空間庫】から物を取り出すのって実は結構一瞬で出来たりする、パッパッて感じで。

よし、展開型のは普通の大きさの盾にして常に装備しておいて体を隠せるほど大きいのは【空間庫】へと入れておこう。そうと決まればそれぞれ買っていってっと。


早速買った〝展開型盾Foxtrot〟を装備する、見た目は腕時計みたいな感じでベルトに金物がちょこんと付いてる感じだ。



〝展開型盾Foxtrot〟 耐久値:5000

展開型の片手持ちの盾、逆三角形の見た目をしている普通の盾。

人差し指の第二関節に取り付けるスイッチがありそれで【展開】【解除】する。



手をグーにしたときに親指で押せる位置の人差し指第二関節にスイッチがあるのでそれを押して盾を展開してみる。


「おぉ、かっこいいなこれ」


カションっと音がして盾が展開される、展開されるまでにかかった時間はコンマ秒って所だろうまさに一瞬だった。見た目はカイトシールドと呼ばれる物だろうか?逆三角形になっていて大きさは小さいといえども1メートルぐらいはありそうだ。

色は黒くマットな仕上げになっていて暗がりでこれを展開させたら隠れることが出来そうな感じだ。


腕を曲げて手前に寄せると盾が立つ形になる、重さはほぼ感じない腕を軽く振ってもなんの支障もない感じだ。これがステータスのお陰なのかスキルで買った盾だからなのかわからないが扱いやすい分には文句はない。


次に大きな盾を買う、少しかがめば全身をすっぽり隠す事の出来るぐらいでかい盾だ。

使う機会があるかわからないが遮蔽物として使いやすそうだし買ってみる。


大きさは俺が立った状態で盾を置くと顎下ぐらいに盾のてっぺんが来る感じ、これなら少しかがめば全身を隠せそうだ。

色は黒くこちらもマットな仕上がり、色は選ばずにこれって事はこの色がデフォなんだろうな。

形は長方形でスクトゥムと呼ばれる物だろう、警察官などが持っているライオットシールドとかと同じ形だ。


さて、防御手段はこれで大丈夫だと思う。後はうまく戦闘で使えるかどうかって所だろう。


次に【野営地】Lv:2だ。


レベルが上がった時に【野営地】スキルのレベルも上がったのだが今まで放置していたのは単純に優先順位が低かったからだ。

なぜならダンジョンへいけば必然的に【野営地】を使う事になるだろうし確認とかもその時でいいんじゃないかな?って思ったりしていた。


俺的な予想では多分【野営地】の敷地が広くなって建てる事にできる建物が増えるとかそんなもんだろうって思ってた。

そう思ってたのだが【野営地】スキルは俺の想像を余裕で越えてきた。


「まさか自販機を設置できるとはな………」


俺の目の前にあるのはジュースなどを売っているよくある自販機、とはいっても自販機もメーカーによっては売っている物が違ってくる。

目の前にあるのは他の自販機よりも安く買う事のできるチェ〇オの自販機だ、しかもこれ今までのシリーズが全部あるのか同じ味の物でも入れ物が違ったやつとかある。


このでこぼこした瓶とか、かなり昔のやつじゃないのか?映像でしか見たことが無いぞこんなの。


ちなみに値段は全部100GP。


そう、GP払いで飲める。この辺もスキルリンクである事が影響してそうだが下手に現実のお金とかじゃなくて助かる、もしちゃんとしたお金じゃないとダメってなったら現実からお金がどんどんどこかへ消えていくところだった。

ってそれは【GunSHOP】とかでも一緒か………とにかくGPで買える様で安心した。


今の俺のGPの稼ぎ方だとこの自販機で売ってるぐらいの値段じゃ痛くもかゆくもないが飲みすぎには注意しないとな。

技術の進歩とファンタジー的な力でほとんどの病気が治る現代とはなったけれど、それでも治せない病気はある程度残っている。

一応ありとあらゆる病気や怪我など全てを治せるというエリクサーやアムリタとか呼ばれるような物は有るとのことだが実際にそれを使ったって話しは聞かないし多分本当にただの伝説的な話なんだろう。

あ、ちなみに自販機はなぜかこのチェ〇オのしか選択できなかったけど。もしかしたら今後レベルアップで他のも増えるかも?っていう予想はしている。今までの感じから多分そうだろうとは思う。


そんな感じで自販機が設置されるようになった【野営地】だが、その他は俺の想像通りだった。

敷地が直径50メートルから倍の100メートルになっていたのと建てられる建物の材質が高くなったのと内装も種類が増えたぐらい。


そこまで劇的な変化はない、自販機以外。


なので特に【野営地】内に新しく建物を建てたりとかはせずにそのままだ。


というわけで今日はご飯たべてお風呂入って寝る、明日は目的地手前ぐらいにまでいきたいな。


おやすみなさい。





◇  ◇  ◇  ◇






おはようございます、朝です。


軽くストレッチしてから朝シャワーしてご飯食べて、探索をする準備が出来たのでいつもの装備と昨日買った展開型盾を装備して用意万端になった。


【野営地】から外へと出るとまずは【気配感知】で近くに敵がいないかを探る。

んー割と近くに敵がいるな、この感じは犬型か。距離は100メートル、ならあえておびき寄せるか。


落ちている拳大の瓦礫を拾い上げ敵がいる方向へと投げる、ゴツッと音がしてそれに気がついたのか【気配感知】にうつっていた敵がこっちへと近づいてくる。


『機械種マギア』は機械なのに聴覚があり視覚がある、味覚と嗅覚は流石に無いとおもうがそれを補うかのように仲間同士での通信網がある。

ただそれはリーダーがいてそこから指令が飛んでいるとかでは無くて3~6匹の群れの中でしか機能していない。そう思うのはそのことを示すかのように毎回3~6体の群れというかパーティというかそんなのと戦った後にさらに追加で来ることってのがないからだ。

後はたまに単独でいる奴がいるが速攻で倒せば追加が来ないが、仲間を呼ぶ隙を与えると追加で何匹かくる。


って言っても今までの感じからそう思っているだけでもしかしたら司令塔とかあるのかもしれないけれど、確かめようがないのでそう思っているって感じだ。


「来たか」


建物の陰から勢いよく飛び出してきた3匹の犬型に向けて先制攻撃で撃っていく。


「ッ!」


「硬いなぁ」


まずは先頭を走っていたのを倒したが、通常弾では1匹倒しきるのに結構な数を撃ちこまないといけない、これじゃぁちょっと厳しいかもな。

やっぱりあれを使うしかないか。


昨日買った展開型盾の早速の出番だ、〝アサルトライフルFoxtrot〟を手放し【空間庫】から〝ショットガンFoxtrot〟AA-12を取り出してから盾を展開する。


「む、構えにくいなこれ」


展開した盾が邪魔で銃が持ちにくいがこの辺は慣れなのかな?構えにくいといってもなんとか狙えるのでこのまま撃つ。犬型の『機械種マギア』が既に24メートルと近くまで来ている。


まずは1発。


「ッ!!」


残っていた2匹のうち後方にいたほうへSlug弾のショットガンを3発連続で放つ。

ドッドッドッと音がなりそこそこの衝撃が体を揺さぶる、フルオートになったからか物凄く撃ちやすい。


「っとあぶない」


最後の1匹が手をドリルに変形させてとびかかってきたので展開型盾で受け止める、盾がドリルでガリガリと削られる音がするが気にせずそのまま押し返して弾き飛ばす。

体勢を崩した犬型へとショットガンを向けて撃つ。


「よし、お終いかな」


やってきた3匹の犬型を倒し終わった後【気配感知】で再び周囲を探るが追加の敵はこなさそうだ。

やっぱりパーティの中だけで通信網があるのかな?別の群れとは繋がっていないとしか思えない。


周囲の確認が終わったら倒したやつを回収してGPへと換えていく。


「あーこれはダメなのか」


ショットガンで倒したやつの片方が破壊しすぎたのか5000GP、そこまで損傷がないやつ2体が合わせて3万GP。

ショットガンでもうまい事倒せば十分稼げそうだな、前のは〝グレネードランチャー〟でバラバラだったから安かったが………


「さて、先に進もう」


今日のうちにリーダー格がいるところまで行きたい。





◇  ◇  ◇  ◇





「あれはまずいな」


途中で犬型をまた倒したり、箱から四つ足が生えたやつを倒したり、まぁ雑魚っぽいのを倒して奥の方のビルが沢山生えている都市の中心地近くまでやってきたのだが。

突然出てくる敵の大きさが変わった。


今までは大きくても1メートルちょっとぐらい、だけど目の前にいるのは戦車ぐらいでかい。

しかもあれはタンク型なのかキャタピラの足に上半身は人型が生えていて手には明らかに銃器を持っている。


神宮寺さんに映像では見せてもらったけど実物を目の前で見るとその迫力の差が凄まじい。あれがリーダ格の『機械種マギア』だろう。

これはちょっと戦い方を考えないとまずいかもしれない。


しかも問題はリーダー格の周りにいる今まで戦ってきた雑魚どもが何匹がいる事だ、見える範囲でも3匹はいる。


倒すだけなら爆発物とかで一気に倒せるのだがGPに換える事も考えると出来るだけ綺麗に倒したいし、倒すにしても弱点を見つけたい。

相手は機械だから普通の生物と違って首が飛んで行ったぐらいでは死なない。動けなくなるほど破壊するか、弱点であろうコアを壊すしかない。


ここで問題になるのが恐らくそのコアが【ラドナクリスタル】って事だ。


つまりコアを壊さず綺麗に倒す………無理じゃね?ここはもうあきらめてコアだけ取るか?


一つこちらにとって都合がいいのはリーダー格が自分から動いて何かしているってわけじゃないって所だな。一か所にとどまってさっきからずっと動いていない。


多分あの周りにいる雑魚が子機になっているんだろう、敵をみつけて初めて動くって感じかな?


まぁどっちにしろ一旦【野営地】に引っ込んで作戦を考えないとかな、無策で正面からごり押しは無理そう。

そうと決まればまずは安全に【野営地】へ出入りできる所を探そう。






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