第33話 2つ目のスキルリンク
33.2つ目のスキルリンク
「1、2、3、4……うん、スムーズになってきた」
狙いを定めて1匹づつ順番に倒していく、動く的はまだまだいっぱいいる。
今日も今日とてレベル上げ【世界樹の花園】に籠る様になって今日で5日目だ。
レベルは順調に上がってきていて今は45になった所だ。
レベルを効率的に上げるには基本的には自分よりも強い魔物を倒せばいいと言われている、ただし戦う相手が自分より強いかどうかなんて【鑑定】スキルなどがないと分からないので普通はみんな気にせずこれぐらいかな?って感じでダンジョン協会が出している情報を見て選んでいる。
後はやっぱりソロの方がレベルは上がりやすくなっているのでこんなにもレベルの上りが早い。
〝スナイパーライフルDelta〟で狙っていた『ピクシー』を撃ち抜き一息吐いて照準器から顔を上げる。
見える範囲の『ピクシー』は倒しきったかな?リポップする前にドロップ品を拾っておかないと。
【気配感知】で一応周囲を警戒しながらドロップ品を拾っていく、こういった行動にも慣れてきたが慣れてきたところから油断が生まれ危険に陥る事があるので気を付けないとな。
近い所からドロップ品を拾っていく、瓶に入った妖精の粉と呼ばれるものに羽……
「これはジュースか?」
いつものドロップ品と一緒に落ちていたレアドロップは外で売っているような普通の炭酸飲料だった。
いくらドロップ品でもこれは飲む気が起きないが、よくよく考えれば回復薬もドロップするんだよな………そっちは普通に飲んだりして使うのにジュースだと飲みたくならないのはなぜだろう?気持ちの問題?
「おっと危ない」
この間手に入れた【罠感知の指輪】が足元にある罠の存在を教えてくれる。
「ほんと地味にいやらしい罠だよなこれ」
足元に見えるのは草が輪っか状に括られただけの罠と言えるのかどうか子供のいたずらのような物だった、もしこの罠にかかったとしても足を引っ掛けて転ぶ程度だろう。
もしかしたら転んだ時に打ち所が悪くてってのはあるかもしれないがほとんどそんなことは起きないからやっぱり地味な嫌がらせのような罠にみえる。
しかし、この小さな罠を甘く見てはいけない。
もし、戦闘中に足を引っ掛けてしまったら?ここはダンジョン内で魔物という敵が存在する場所だ。
それだけでこの小さな罠の脅威度がぐんっとあがる。
【罠感知の指輪】を手に入れたときは微妙だなと思っていたが、罠があるとわかるだけでもこれだけ楽になるのかと実感している。
「お!これはスキルオーブか!」
あっち行ってこっち行って『ピクシー』のドロップ品を拾っているとレアドロップのスキルオーブが落ちていた。
「ほんとに出るんだなぁ」
一応事前情報で出るかもってのあったけど報告数が1とかで眉唾物だったんだけれど本当だったとはな。
多分俺みたいに一方的に『ピクシー』だけを狩り続けるって事をしている人がいないから報告数が少ないんだろうな。
既に俺が倒した『ピクシー』は数千もしくは万は行っているかもしれない。数えていないからわかんないけどそれぐらいたおしたんじゃないかな?ってぐらい。
もしかしたら今まで遠いからと放置していたドロップ品の中にもいい物があったかもなぁちょっともったいなかったかも。
「さて、どこで使うか」
今の時刻はお昼をちょっと過ぎたぐらいでまだまだ狩り続けれる時間帯だ。
いつも通りに夕方ぐらいまで狩ってから家に帰ってスキルオーブを使うか、【野営地】に入って使うか。
「ここで使っちゃうか!」
一瞬考えたが新しく手に入るスキルが凄く気になる我慢できない。
まぁ使うにしても多少安全な所へ、さっきまでいた定位置に戻り【気配感知】を切らさないようにしておく。
「なんかいいやつこい!」
何となくスキルオーブを天に掲げて大きく叫んで気合を入れてから使用を念じる。
『スキルを獲得しました』
名前:神薙 響 年齢:15
レベル:36 → 45
STR:55 → 62
VIT:23
AGI:55 → 60
DEX:398 → 487
INT:8
MND:7
≪スキル≫
<ユニーク>【GunSHOP】Lv:4
<上級>【空間庫】Lv:3
<スキルリンク>【野営地】Lv:1
<上級>【射撃】Lv:2 → 4
<初級>【銃術】Lv:8 → 9
<上級>【堅忍不抜】Lv:─
<中級>【気配感知】Lv:4 → 5
New<中級>【遠目】Lv:─
「【遠目】?遠くを見れるとかそういうやつか?しかもこれスキルレベル無しなのか」
スキルレベルが無いという事は成長しないという事それがいい事なのか悪い事なのか分からないが性能次第かな?
『スキル【射撃】とスキル【気配感知】とスキル【遠目】が共鳴し、スキルリンクが発生しました。スキル【イーグルアイ】を獲得しました』
「はっ!?なんかめっちゃ共鳴してスキルリンク手に入った!」
名前:神薙 響 年齢:15
レベル:45
STR:62
VIT:23
AGI:60
DEX:487
INT:8
MND:7
≪スキル≫
<ユニーク>【GunSHOP】Lv:4
<上級>【空間庫】Lv:3
<スキルリンク>【野営地】Lv:1
<上級>【射撃】Lv:4
<初級>【銃術】Lv:9
<上級>【堅忍不抜】Lv:─
<中級>【気配感知】Lv:5
<中級>【遠目】Lv:─
New<スキルリンク>【イーグルアイ】Lv:1
「【イーグルアイ】………鷲の目?」
まぁいいや取り合えず新しく手に入れたスキルを見て行こう、まずは【遠目】から。
<中級>【遠目】Lv:─
<普通の人より少し遠くを見る事が出来るようになる>
「これだけ………?なんかいまいちだな」
所謂はずれスキルってやつだろうスキルオーブから手に入ったスキルだが悲しいなぁ。
しかもこれパッシブスキルで常に発動しているようだ。
「まぁ気を取り直して本題のスキルリンクを見ていくか」
<スキルリンク>【イーグルアイ】Lv:1
<どのような環境でも視界を確保し見えるようになる、生物の状態により色分けされて視界に表示されるようになる、スキル使用時視力が強化され遥か遠くまで見る事が可能になる>
「ふむ?ちょっと【遠目】と効果が被っているというか、これ完全に上位互換では?折角手に入れたスキルなのに速攻で要らない子になってしまった………」
可哀想な【遠目】………けどまぁスキルリンクの素材?となったと思えば……
「まぁとにかく使ってみよう【イーグルアイ】」
ふむ、とくに視界にこれといった変化はないが………お?
遠く、300メートルほどだろうか?先に『ピクシー』が飛んでいるのが見える、しかも視界には『ピクシー』の輪郭が青くハッキリと見える。
「ん?なんかおかしくないか?なんであんな遠くの『ピクシー』がこんなにもハッキリと見えるんだ?」
普通の人間の裸眼ではあんなに遠くの標的は見えないはずだ、しかも『ピクシー』は大きさが30センチほどで小さい、だというのにハッキリと近く見える。
「何て言うか遠くの物に一瞬でピントが合うと言えばいいのかなんか不思議な感じ」
そしてあの青いのはなんだろう?無警戒状態とか?何となくそんな感じがする。
さらに遠くにも青い『ピクシー』の輪郭が見えるのでそっちにピントを合わせて見るとハッキリとその姿が見えてくる。
「これはすごいスキルだな」
輪郭に色がついて見えるってだけでこんなにも敵を発見しやすいとは思ってもいなかった。
「あ、切れた」
暫くすると効果が切れたのかいつもの普通の視界にもどる。効果時間は5分ぐらいだろうか?レベル1でこれなら十分だな。
「【イーグルアイ】を使ってちょっと戦ってみよう」
〝スナイパーライフルDelta〟を用意して狩りに戻る。
◇ ◇ ◇ ◇
「おや?おはよう神薙君」
「おはようでーす」
やってきたのは以前クラン設立のための依頼の話しをした新井さんのプライベート空間。
どうやらここをオンライン上のクランメンバーの集まる部屋にするらしく長い時間ここに居る事になるから何かあればここにきてねと新井さんに事前にいわれていた。
「今日はどうしたの?」
「いやー何となく息抜きに来ました」
「なるほど?それならゆっくりしていくといいよ」
和の空間になっている新井さんの部屋の縁側に寝そべりボーっとする、ここ最近のレベルあげでちょっと根をつめすぎたのか疲れてしまった。
「そういえば新井さん、クラン設立の話しはどうなったんですか?許可おりたんです?」
「あぁ、それなら………」
「修二さーん!来ましたよー!クラン設立の許可ですよー!」
新井さんにクランの事を聞いて話し始めようとした瞬間、部屋に花井さんがやってきた。
彼女と会うのは新井さんにクランへと誘われた打ち上げの日【花咲】であったきりで久しぶりになる。
「あっ神薙君もいたのね、おはようございます」
「おはようございます」
「香織さん、クランの許可おりたんですか?」
「あっ!そうそう!おりましたよーはいこれ!」
そういって花井さんが新井さんに何かを表示させた画面を見せている、あそこに許可書の写しでも表示させてあるのかな?
「なるほどたしかに。神薙君このあいだの『幻想鳥』の捕獲の査定も出ているよ見るかい?」
「お?見たいです」
やっと『幻想鳥』の査定が終わったのか長かったな果たしていくらになったのか。
新井さんから表示させた画面がスーッと飛んできたので掴んで目の前で固定する。
「おぉ?高いなぁ」
Bランク依頼:《『幻想鳥』の捕獲》
Cランクダンジョンの【世界樹の花園】にいる『幻想鳥』を生きたまま捕獲してください。達成報酬は500万に生け捕り時の状態によりボーナスを追加します。
成功報酬:500万 +状態によりボーナス(査定結果+300万)
まずは成功報酬の500万、それにボーナスで300万がついてきており合計で800万になったみたいだ。
「結構ボーナスつくんですねぇ」
「状態がかなり良かったみたいだね」
「そうなんですよ!満点評価だったみたいですよ?」
「ほへぇ」
「報酬は神薙君の口座へ入れておくよ」
「あ、はい。ありがとうございます」
クランへの依頼だし多少なりとも引かれるかとおもったけどそうでもないんだな?
「ん?あぁ満額貰えるのがどうしてか気になるんだね?」
「あれ?顔に出てました?」
「ふふ、思いっきり不思議だなぁって顔をしていたよ。満額貰える理由だけれど、これとは別にクランには達成報酬があるからね気にしなくていいんだよ」
「そうなんですか?」
「うん、クランにとってお金も大事だけれど他の物も必要なんだよ」
お金以外の物………考えられるのはクランとしての評価とかかな?今回はクランを設立するための試験として依頼を受けたけど今後いい依頼を受けるにはダンジョン協会からの心象がよくないとダメだろうしなぁ。
「まぁそういうわけだからどんどん達成できそうな依頼は受けてもらっていいよ」
「了解です」
それなら何か面白い依頼がないか見てみようかな?他の面白そうなダンジョンにもいってみたい。
そう思って俺はクラン用の依頼掲示板を眺め始める、次のダンジョンを求めて。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます