第24話 15階のボスと防具を新調
24.15階のボスと防具を新調
「イヤア゛ァァァァァ!ドウシテ゛カミ゛サマ!」
パシュパシュと気の抜けた〝アサルトライフルCharlie〟の発射音が響く。
「ぎゅぉぉぉぅ!」
「アァ………ユリアン……ゴメンナ゛サイ」
「ふぅ、結構余裕だったな」
現在地は【悲愴の洋館】の15階のボス戦部屋、初めて『悲愴の伯爵』を倒した日から5日ほどが経っている。2日ほど5層のボスを周回したのだが余裕だし宝箱から出るのは回復薬ばかりで銀食器は5回倒したうちの1回だけしかでなかったから先に進む事にしたのだ。
そうしてたどり着いた15層なんだけれど、10層はどうしたんだって?もちろん同じ様にボスを倒して進んできたけど特に言うべきことは起きなかった、ボスは『悲愴の伯爵』だったし、宝箱の中身も変わり映えの無い回復薬だった。
そして今回のやっと新しいボスに出会ったのだ。相手は『狂信のアマリア』と『肉塊のユリアン』という伯爵夫人とその息子のタッグだな。
ストーリー的にはこうだ、一人息子であるユリアンを亡くした夫人が狂い、息子を亡くした悲しみから神を頼るようになった。
どんどん狂う夫人に嫌気がさした伯爵は家を出ていきアマリアは独り身となった、そしてその行動を止めるものがいなくなりさらにのめり込む事になったのだが頼っている神がまずかった。
生命の神『カラティリート』生きとし生けるもの全ての母となる神だ、そんな神に祈ってしまった。一人息子であるユリアンをどうか生き返らせて下さいと、どんな形でもいい私の全てを捧げますと。
その願いは最悪な形で叶ってしまった。
蘇ったユリアンは傍目にはただの肉塊にしか見えずそれからは触手も生えていてとてもじゃないが人には見えなかった。しかしアマリアにはそれが息子に見えてしまっていたのだ。
見た目はおぞましい肉塊、それを息子であるユリアンと呼ぶアマリア。屋敷に住む使用人達は流石に見ていられず進言したが物申した者達が一人、また一人と消えていき気づけば屋敷にいる全員が消えていた。
そういう感じのストーリーになっており今回のボスは『狂信のアマリア』と『肉塊のユリアン』の二体だけだった。
『狂信のアマリア』は攻撃手段が無くただ立っているだけで本命は『肉塊のユリアン』なんだろうけど、俺からすれば大きいただの的にしかならず何もさせる事なく倒しきった。
「よかった流石にドロップ品は肉塊じゃないか」
『肉塊のユリアン』からは魔石が5つほど『狂信のアマリア』からは着ていたドレスと魔石がドロップした。
そしてお待ちかねの宝箱からは回復薬と指輪のアクセサリーが2つ、多分なにかしらの効果付きだとおもうのでこれは鑑定行きだ。
「このボス戦ってどれぐらいの種類があるんだろうか?」
今回は夫人と息子のタッグだったが他のパターンもあるんだろうか?伯爵と息子とか伯爵と夫人とか。
「20階層行ってみるか?」
正直敵の強さがいきなりインフレとかしない限りわりと余裕だと思う。
「目指せ30階層!オー」
◇ ◇ ◇ ◇
──16階層──
「ぬ?『彷徨う騎士』3体に『狂人メイド』が5体か、いけるかな?」
廊下の奥からやって来たのを見て考えるが多分【マハト】を使えばそこまで苦戦することなく倒せるだろう。
「【マハト】」
「───!!」
「ぎゅぉう!」
【銃術】のスキルアーツを唱えた瞬間こっちに気づいた敵の群れが走り出してきた。
ずっと撃ち続けるのではなく数発撃って止めて、狙いを再度定めて撃ってまた撃ってと出来るだけ綺麗に倒せるように攻撃していく。
「最後の一体!」
「ぎゅぉう!」
「あ痛ぁっ!」
最後の『狂人メイド』を倒す際におぼんを投げつけられた。突然の事だったし、今までそんな攻撃なかったから油断していたってのもあるけど当たってしまった。
一応防具を付けてはいるのだがおぼんが当たった個所のプロテクターは弾けて飛んで行ってしまった。
ぴっ『経験値が一定に達しました、レベルが24から25に上がりました』
「レベルが上がったけれど……お盆の当たった個所が痛いなぁ………あれ?治まって来たかも?」
切り傷はなかったが打撲ぐらいの怪我はしていただろうし青タンとかできるレベルの痛さだったがすぐに傷みは治まっていった。
「今まで怪我してなかったから知らなかったけど、すごい効果だな【再生の腕輪】」
そういってみるのは左腕につけられたアクセサリー、黒色でマットな仕上げになっている腕輪。
この間の【ダンジョンウォーカー】のトロールを倒した際に手に入れた【再生の腕輪】だ。ドローン配達を頼んでいて2日ほどできた、それから一応装備してダンジョン探索しているのだが今まで怪我する事がなかったのでその効果を確かめられずにいた。
わざと怪我するなんて嫌だからね………
「取り合えず拾おう」
倒した『彷徨う騎士』と『狂人メイド』のドロップ品を拾いGPに換えていく。
防具が壊れたし今日は探索をやめにして帰るか。
◇ ◇ ◇ ◇
「ん~」
大きく伸びをして草原に寝転がる、今いるのは【野営地】内だ。
家に帰ってきてから家の中でのんびりしてもいいんだけど気分的な解放感のあるとことにいたかったので【野営地】内にきた。
【野営地】の素晴らしい所は虫がいないところだ。なので気兼ねなく寝転がっていられる。
草原に寝転がりながら【悲愴の洋館】に通うようになってからの成果を確認する。
まずはGP、9355だったのが今では20165GPになった。
『彷徨う騎士』と『狂人メイド』に宝箱から出る銀食器に今日たおした『肉塊のユリアン』と『狂信のアマリア』のドロップ品全部で結構な稼ぎになった。
次にレベルアップしたステータス。
名前:神薙 響 年齢:15
レベル:22 → 25
STR:38 → 42
VIT:10 → 13
AGI:40 → 43
DEX:258 → 282
INT:8
MND:7
≪スキル≫
<ユニーク>【GunSHOP】Lv:3 ▽
<上級>【空間庫】Lv:3
<スキルリンク>【野営地】Lv:1
<中級>【射撃】Lv:5 → 7
<初級>【銃術】Lv:3 → 5
<上級>【堅忍不抜】Lv:─
<中級>【気配感知】Lv:1 → 2
いつも通りな感じだが今回ダメージを受けたことによってちょっとだけVITが伸びているが素直に喜べないな。
後は【銃術】のスキルレベルが上がって【マハト】の効果時間が伸びて【気配感知】がレベル2になり感知範囲が30メートルから50メートルに伸びたぐらいか。
他には特に何もないな………
因みに15層の宝箱から出た指輪2個はちゃんとダンジョン協会へと鑑定してもらうように提出している。
なので鑑定結果待ちだ。
次に今回壊れてしまった防具。
肩にあるプロテクターの部分が砕けている。
この防具は初心者用の安いやつだし流石にDランクの魔物の攻撃は防げなかったみたいだ。むしろもっと大怪我する可能性があったし銃の更新したときに防具も購入する事を考えておけばよかった。
今まで銃による遠距離攻撃で相手が行動を起こす前に一方的に倒すスタイルだったから防具の事を失念していた。
まずは【GunSHOP】の防具の欄を開いてみる。
<ユニーク>【GunSHOP】Lv:3 ▼
LV:1 <GunSHOPを開いて売買が出来る> ▼
武器:▽
防具:▼
〝下着〟3GP~▽
〝インナー〟5GP~▽
〝プロテクター〟10GP~▽
〝防弾装備〟20GP~▽
〝防刃装備〟25GP~▽
・
・
・
「ふむ、特に新しいのは増えていないのか」
防具の欄はずっと前に見たときと何も変わっていなかった。
この中で装備するとしたら何がいいだろうか?汎用性があるのはプロテクターだと思うけれど。そもそも防弾とか使うところあるのか?魔物が銃使ってくるわけでもないし。
それならまだ防刃のほうが使えそうだが、そもそも切られるような距離まで近づかれる前に倒す感じだし。
今回プロテクターが壊れたのは『狂人メイド』のおぼんのせいだしな。
「大人しくプロテクターにしておくか」
<ユニーク>【GunSHOP】Lv:3 ▼
LV:1 <GunSHOPを開いて売買が出来る> ▼
武器:▽
防具:▼
〝下着〟3GP~▽
〝インナー〟5GP~▽
〝プロテクター〟10GP~▽
〝プロテクター(頭)〟10GP~▽
〝プロテクター(胴)〟30GP~▽
〝プロテクター(手)〟10GP~▽
〝プロテクター(脚)〟20GP~▽
〝プロテクター(足)〟10GP~▽
〝プロテクター(全身)〟1000GP~▽
・
・
・
「細かく分かれてるな~って全身だけやたらと高いな何だこれ」
〝プロテクター(全身)〟の部分を開いてみるが一番安いので1000GP、一番高いので〝プロテクターCharlie(全身)〟で7000GPだった。
「気になる………安いの買ってみるか?」
1000GPぐらいならすぐに貯まるし買ってみよう。
〝プロテクター(全身)〟を1000GP払って購入する、いつものように光が目の前に集まっていき晴れるとそこには───
「なんだこれ?ネックレス?」
目の前に現れた物を手に取ってみてみると防具などでは無くアクセサリーのネックレスだった。
〝プロテクター(全身)〟 防御力:150 耐久:500
普段はネックレス状になっており装備した状態で【装着】と声に出す又は装着したいと念じる事で全身にプロテクターが展開され装備される。
装備を解除したい場合は【解除】と声に出す又は解除したいと念じる事で装備を解除する事ができる。
「説明見ても意味わからないな………ならやる事は一つ!ネックレスを装備して【装着】!!」
ネックレスを首にかけて合言葉である【装着】と言うと一瞬全身がブレて見えなくなる。
「おぉ!?何だこれかっこいい!」
ブレがおさまり姿がはっきりするとバットマンが着ているようなと言えばいいのかロボットスーツみたいな、ぴちっとした全身プロテクターの防具を着ている状態になっていた。
「動きは………普通に動きやすいな」
全身をがちがちに固められているから動きにくいかと思えばそんな事はなく、普通に屈伸運動もできるし動きやすい。
「あ、頭は無いのか」
首元までぴちっと覆われているがどうやら頭は別で何か買わないといけないみたいだ。
「これって見た目選べないのかな?」
銃のときも一番最初の安いのは見た目が選べなかったがCharlieなら選べたので防具でもそうじゃないかとみてみる。
「お~選べる!しかもどれもかっこいい」
バットマンが着ていそうな真っ黒のいかついやつから近未来っぽいデザインまで色々ある、そのどれもが男心をくすぐり全部ほしくなる。
「色は他の色もいいけど探索の事を考えるなら黒で………このバットマンが着ていそうなやつにしよう、これかっこいい」
〝プロテクターCharlie(全身)〟を選び色を選択して見た目を決定していく。筋肉スーツみたいに人体の筋肉を模した感じの見た目になっているがデザインがいいのかかっこよく見える。
「これってネックレス型しか選べないのかな?」
購入する直前で思い付いたので他になにか選べそうな部分がないか調べてみるとスキン変更の横に▽マークがついていたのに気づいたので押してみる。
「お?選べるじゃん」
▽を押すとスキン変更とアクセサリー型の二つが出てきたのでアクセサリー型を選択すると候補が色々でてきた。
「基本のネックレスに腕輪にアンクレットに指輪にピアスに王冠?こんなものまであるのか」
他にもメガネやキーホルダーなどもあった。もはやアクセサリーではないのでは?と思うが気にしない事にする。ここを気にしだしたらそもそもなんでネックレスが全身プロテクターになるんだよっていう根本的な事に突っ込まなければいけなくなるからだ。
「ん~どれもいいけどネックレスにしておくかな?」
折角形を選べるところだけど、指輪は他にもアクセサリーついているし腕輪もついている、全体を考えるとネックレスにするほうがバランスが取れているかも?
7000GPを払い購入するといつものように光が集まっていき、晴れると黒いネックレスが現れる。それを首にかけて試しで買っておいた安い方は外しておく。
折角かったけどこれは【空間庫】内で死蔵かな?
「と、いうか動いてないのに体が熱いな………これは完全に全身プロテクターのせいだけどどうしよう」
思わぬところで落とし穴があった、全身プロテクター、かっこいいけど着ていると熱い問題。
ひんやりインナー買うか?最近のは結構効果が凄いらしいけど。
探索者をしている人の問題の中に防具が熱いってのがある、そういう時に買うのがひんやりインナー、着ているだけでなぜかひんやりとして気持ちがいいらしい。
「っていうか【GunSHOP】にもインナーの欄があるんだし先にそっちを見てみるか」
もしかしたらひんやりインナーみたいなのがあるかもしれない………っていうかあったな。
<ユニーク>【GunSHOP】Lv:3 ▼
LV:1 <GunSHOPを開いて売買が出来る> ▼
武器:▽
防具:▼
〝下着〟3GP~▽
〝インナー〟5GP~▽
〝インナー(並)〟5GP
〝インナー(熱)〟20GP
〝インナー(冷)〟20GP
・
・
・
〝インナー(冷)〟を選んで買っていく。
〝インナー(冷)〟 耐久:50
防具を着る際に中に着るのに便利なインナー、体を冷やしすぎないちょうどいい温度で冷やしてくれる。吸汗性もばっちり。
洗濯する際にはそのままでOK!
早速今着ているパーカーとTシャツを脱いで〝インナー(冷)〟を着ていく。
「うぉっ………一瞬冷たかったけど、これは気持ちがいいな」
〝インナー(冷)〟は肌触りもよくひんやりしていて気持ちがいい、寝る時とかこれを着るとちょうどいいかもしれない。
「そして〝プロテクターCharlie(全身)〟ネックレス型を装備してっと【装着】!」
変身!って感じで割と好きかもこの掛け声。
「うん、かっこいいな」
マントがないから少し寂しい気がするけどそこまでするともはやコスプレになるかもしれないのでこのままでいいか。
〝プロテクターCharlie(全身)〟 防御力:700 耐久:1500
普段はネックレス型になっており装備した状態で【装着】と声に出す又は装着したいと念じる事で全身にプロテクターが展開され装備される。
装備を解除したい場合は【解除】と声に出す又は解除したいと念じる事で装備を解除する事ができる。
「防御力700が果たしてどれだけの硬さなのか、調べるには攻撃を受けないといけないわけだけど受けたくないこのジレンマ」
まぁ防具については保険程度に思っておくか万が一が怖いからいい物を着ていたいってだけだもんな。後、思いのほかカッコよくてテンションが上がってしまった。
「明日は【悲愴の洋館】20階層まで目指すかー!」
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