第23話 新しい銃の威力とボス戦
23.新しい銃の威力とボス戦
「そろそろ行こうかな」
新しい銃を【GunSHOP】で購入してから、色々と触って感触を確かめたり構えたりして遊んで疲れたら草原に寝転がって休憩したりして。
気づいたら1時間ぐらい経ってた。
〝アサルトライフルCharlie〟見た目はSIG Sauer XM5、色々触っている内にスリングが無いと銃を落としたりしそうだったから【GunSHOP】の外装からスリングとアングルドフォアグリップと呼ばれる物を買った。
前に銃について調べたときに実際にある銃には色々とカスタムパーツがあるのは知っていた【GunSHOP】スキルで外装の欄が増えたときからいつか買ってみて銃をカスタムしたいと思っていたが最近ずっと〝ショットガン〟の方を使っていたのでそこまでカスタムする必要性を感じていなかった。
だけど今回アサルトライフルを買ったのでこれを機にカスタムパーツも買ってみようと思ってまずはフォアグリップを取り付けてみた。
フォアグリップとは銃の前の方に追加で取り付ける取っ手でこれがあるだけで銃を構えたときの安定性が全然違うみたいだ。
色んな形がある中でも今回はアングルドフォアグリップという形の物を選んだ。
他にもライトを取り付けたりレーザーサイトとかも取り付ける選択肢があったが一気に色々つけるのもどうかなって思って取り合えずのフォアグリップだ。
後は新しく追加で買ったマガジンに弾を込めている時に気づいたんだけど、今まで使っていた〝アサルトライフル〟の弾より何か大きい気がするんだよな~って思って調べたらSIG Sauer XM5に使う銃弾は6.8×51mmという大きさらしくこれまで使用していたものより大きいらしい。
今まで使っていたのが5.56×45mmという大きさ、これから使うのは6.8×51mmという大きさに変わるみたいだ。
どうやって【GunSHOP】スキルが俺が使用する銃の仕様を理解してそれにあった規格の銃弾を出してくれるのか気になったが、不思議パワーだと思っておく。
こんなこと気にしだしたら他にも気になる事なんて山のようにある。
例えばどうしてスキルで購入した銃は魔物相手にここまで有効なのかって事だ。
前に実際に道楽で銃を使ってダンジョンを攻略する人がいると言ったと思うが。
実際には俺みたいに銃だけで攻略する人はいない、いたとしても銃だけの部隊を作って何人かで一斉に攻撃して魔物を倒すとか、その時にはきっとロケットランチャーとか爆発物も使ったりするだろう。
そんな戦い方をしていたらお金を湯水のように使うので現実的ではないが。
銃や弾の素材がダンジョンのおかげで新しいのが開発されたとしてもあくまでそれは銃だ。
剣から摩訶不思議パワーで斬撃を飛ばしたり、魔力を使って魔法を飛ばしたりなんて出来ない。
お前も【銃術】とかいうスキルで銃を強化して魔物を倒せてるんだから銃を使っていけるんじゃないのかって?
そりゃもし俺みたいに【銃術】とかの銃を使う専用のスキルを覚えれば行けるかもしれないが、そもそもの銃単体で魔物を倒せないといくらスキルがあるとしても使用回数がある限りいつかは燃料切れになる。
じゃぁなんで俺の銃は普通に魔物を倒せているのかというと【GunSHOP】スキルのおかげだと思っている。
俺の考えとしてはスキルで作られた銃だから、だ。そもそもの実際にある銃の威力をベースにしていて、そこに【GunSHOP】スキルとしての力を上乗せして銃の威力などを上げているんじゃないかって考えている。
なので俺は銃だけで戦えている。
つまり実際に威力のある物はスキルの力でさらに強くなるので、強い弾などを使えばそれだけ強くなる。
長々と話して何が言いたいかというと。
でっかい弾を使ってどれだけ威力がでるのか今から楽しみだ!
◇ ◇ ◇ ◇
「う~ん落差がひどいな」
【野営地】内は陽の光があって草原があって気持ちのいい場所だが、一歩ダンジョン内に戻れば一気に暗くホラー要素の強い世界になってしまう。
破れたカーテンに血の跡なのか黒いシミのついた壁にガタガタと音がなる窓、ちなみに外は真っ暗で何も見えない。
そんなホラーゲームの中にでも迷いこんだのかとおもう景色の中ゆっくりと進んでいく。
【堅忍不抜】の効果か不思議と恐怖心はない。
「ほんとスキル手に入れててよかった」
どっちかって言うとホラーは苦手だったけれどスキルのおかげでだいぶ平気だ、むしろちょっと楽しいかもしれない。
「お?実験体1号が来たか」
通路の奥から現れたのは『彷徨う騎士』だった、試すにはちょうどいい相手だな。
今まで『彷徨う騎士』を倒すのに使っていたのは攻撃力が50の〝ショットガン〟と弾がSlug弾で80の単純計算で130の攻撃力だった。
それが今回かった〝アサルトライフルCharlie〟の場合は銃本体だけで150の攻撃力、弾は50の合計200の攻撃力。
〝ショットガン〟の時に比べたら70しか攻撃力上がってないじゃないかって思うかもしれないが〝ショットガン〟とは大きな違いがある。それはアサルトライフルの連射性能だ。
まぁ取り合えず一発撃ってみよう、安全装置を外し、買ったばかりの外装フォアグリップをしっかりと握りこんで。
パシュ
「────!!」
「おーぅ強い」
音はサイレンサーの効果でそんなにだが威力がものすごい、一撃で『彷徨う騎士』の鎧の胸当たりの部分にひびが入って割れた。
それに思ったより反動が無かった、弾も大きくなって銃も重くなったし取り扱いにくいとおもったが全然そんな事なかった。
Slug弾のときは一発だと鎧がへこむ程度で倒すのには5発ぐらい必要だったが今回は一発で鎧を破壊するところまで行った。
これなら『彷徨う騎士』を倒すのに2~3発で十分そうだ。
追加で2発『彷徨う騎士』を狙い撃つ。
「───……」
無駄に高いDEX値を生かし一発目と同じ個所を狙って撃った弾丸はうまい事同じ場所に当たって、そのまま『彷徨う騎士』を倒した。
「う~ん〝ショットガン〟も強かったけどこれはアサルトライフルの時代が来たな………」
これなら次の階層に余裕で行けそうだ。
◇ ◇ ◇ ◇
「ぎゅぉぉぉぅ!」
「───!!」
〝アサルトライフルCharlie〟で敵を撃ち抜く。
あれから【悲愴の洋館】を順調に進み現在地は4階、次に進めばボス戦になる。
今は『彷徨う騎士』が2体と『狂人メイド』2体の混成部隊を倒した所だ。
新しい銃である〝アサルトライフルCharlie〟の調子はすこぶるいい、一度【マハト】も使ってみたところ火力が高すぎて一発で『彷徨う騎士』の鎧がばらばらに千切れてはじけた。
それから【マハト】は火力が高すぎて逆に使えなくなってしまったが、まぁきっとボス戦とかで使えるだろう。
今の時刻は15時過ぎ、朝の9時ぐらいにここに来ているから6時間で4階層進んだのは早いのか遅いのか微妙な所だ。
【悲愴の洋館】ダンジョンは洞窟型と同じような感じになっており、階層事体はそこまで広くないがたしかここは全30階層あるはずだ。
次の階層へ進む階段は玄関ホールの形になっており階段を上がって進めば次の階層に、玄関扉を開けたら外へ出る為の転移陣が置いてある造りになっている。
道中では宝箱と日記を見つけた部屋と似たような場所をいくつか見つけて中を漁ったが特に目新しい物はなかった。
銀のテーブルナイフとフォークにスプーンとちょっと種類が変わったのを手に入れたが全部ナイフと同じ450GPだった。
日記も同じ様に見つけたが、内容が同じ物だったり似たような内容で別のメイドが書いた物だったりと目新しさはなかった。
ここまでで手に入れたGPは『彷徨う騎士』が12体分の1020、『狂人メイド』が6体分で360、宝箱から手に入った銀食器が4つで1800の合計3180GPになる。ここに元からあったGPを足せば今の俺のGP総量は3680となる。
少なくないか?と思うかもしれないが元々【ダンジョンウォーカー】でほぼ全部使い切っていたのとちょっと前に稼いだ1300GPぐらいは新しい銃と弾とグリップと追加のマガジンで全部消えていった。
まぁそれでも既に結構稼げたし、これからさらに稼げるし問題ない。
「あ、『彷徨う騎士』だ」
視界に入った敵に対して〝アサルトライフルCharlie〟を素早く構えて撃っていく。
「──………」
うむ『彷徨う騎士』が一体だけなら瞬殺だな。
倒した『彷徨う騎士』に近づきGPへと換えていく。
「【気配感知】の使いどころがあまりないのがなー」
【気配感知】スキルの感知範囲はレベル1の現在30メートルなのだが、そもそも敵はもっと遠くから現れるので感知範囲に入る前からその存在には気づいているし、戦闘スタイル的に30メートル以内に近づけさせない。
今のところ活躍するのは宝箱と日記があったような部屋を開ける前に中になにかいないか確認するのと、曲がり角の先になにかいないか確認するぐらいだ。
「もうちょっとスキルレベルが上がるまで活躍の場はお預けかな?っと次の階段だ」
索敵しながらも歩いていると5階層へと繋がる階段を見つけた、次はボス部屋だ。
メイドの日記によると狂った館の主人がボスになっているはずだ。
「いくか」
撃ち切って弾の入っていないマガジンに〝実弾(アサルトライフルCharlie)〟の弾を込めていき補充しておく。
〝ハンドガン〟も一応太ももに付けてあるけど使う事は無いだろう。
映画の中でしか見たことないような洋館の階段を上っていく、上がり切った先は装飾の凝った豪華な両開きの扉になっておりここを開くとボス戦だ。
銃を構えたままゆっくりと扉を開いていく。
中はファンタジー物によくある謁見の間みたいな感じで広い部屋に柱がいくつか建っており奥に少し高くなった位置に玉座がある。
しかし内装は書斎室なのか壁が本棚になっておりそこには本がまばらに入っている。
「き、貴様は誰だ………どうししして、私の眠りを妨げる……」
玉座には大きな男が座っていた、着ているローブは破れしわがれた手が覗いている。ぼさぼさに伸びた髪に長い白髭、その眼はとても正気とは思えない。あれが今回のストーリーのボス『悲愴の伯爵』だ。
「そうか……つ、ついにきた、たたのだな。分かっている!!!!黙れ!!!私は正気だ!!うるさいうるさいうるさいうるさい!!!!だまれぇ!!」
静かにしゃべっていたかと思えば突然大声を上げて叫び出す。
「薬はどこだ!おぉ!アンヘル殿!はやくっ!はやくあの薬をくれれれr!!言われた通りにしただろう!はやく!はやく!忘れさせてくれ!はやく!あぁ!これだっこれさえあれば私は正気でいられる!!」
玉座から立ち上がり何かを取り飲むような仕草をしたかと思えば歓喜の声をあげ始めた。
「ハハハハハハハハハハハ!アァ!トテモ気分がイイ!トコロできさマは誰だ!?もシや私ノ息子とつマをナきものにした賊か!ゆるさン!ユルサンぞ!あ、ぁぁぁぁぁぁぁァァァァァァァあ゛ア゛ア゛ア゛」
『彷徨う騎士』にも劣らぬ大きな体を動かしながらいったいその老いた体のどこにそんな力があるのかものすごい勢いで走ってきたが、この部屋は広くまだ『悲愴の伯爵』とは数十メートルは余裕がある。
「【マハト】」
【銃術】のアーツスキルである【マハト】を唱え銃の威力を上げてから『悲愴の伯爵』の頭部を狙い撃つ。
「ア゛ァァァ!イダイ!イタ゛イゾォォォ!」
狙い通り『悲愴の伯爵』の頭に銃弾が当たった、だがいくつか肉片になった程度でまだ生きている。しかし足が止まったのでチャンスだ、どんどん撃つ。
「ドウシテ゛!ナゼダ!騎士達ヨ゛コイ!」
休まず撃つが『悲愴の伯爵』が騎士達を呼ぶとどこから現れたのか『彷徨う騎士』が5体部屋に現れた。
「まじか!」
『悲愴の伯爵』は痛みからかすぐに動け無さそうなので雑魚の方を先に狙って撃っていく。
「リロード!」
マガジンを銃本体を横にふる動きで飛ばして腰にさしていた予備のマガジンを取りリロードする。
いちいち声に出す必要はないと思うがこういったほうが気分があがるのだ。
リロードが終わったら休まず撃ち続ける。
「───……」
「───…」
【マハト】のバフ効果が乗っているので『彷徨う騎士』は瞬殺だ、一体二体と倒していき途中でこっちにこようとしている『悲愴の伯爵』の足を狙い撃ち足止めをする。
「ア゛ァァァァァァァ!」
「────………」
最後の『彷徨う騎士』を倒し終わり動けないでいる『悲愴の伯爵』まで一気に近づきゼロ距離からバフ効果の乗った〝アサルトライフルCharlie〟で頭を撃つ。
「ア゛ァ………アマリア……ユリアン………スマナ…イ………」
至近距離で外すことなく連射で撃ちまくり顔の半分以上が無くなってやっと『悲愴の伯爵』が沈黙した。
「そういう設定だと分かっていてもなんだか後味悪いな………」
『悲愴の伯爵』の体がしゅわぁぁぁっと消えていきローブとアクセサリーだけが残った。後は『彷徨う騎士』の死体が5体と玉座の前に宝箱がひとつ。
このローブとアクセサリーはぱっと見ドロップアイテムっぽいが実際はただのローブと銀のアクセサリーだ。
アクセサリーの方は銀としての価値はあるだろうけど他の物に比べると価値は各段と下がる。
ここのボスは売れるドロップアイテムが無い代わりに宝箱の中身が少し豪華になっているのだ。
取り合えずローブとアクセサリーと『彷徨う騎士』をGPに変換していく。
まずは『彷徨う騎士』5体で425、ローブが300GPに銀のアクセサリーが450GP。
後、途中でリロードする時に飛ばしたマガジンを回収しておく。
そしてお待ちかねの宝箱の中身、ボス部屋で出る箱は罠の心配が無いので〝ショットガン〟の出番はない。残念だ。
「ハズレか………ハズレか?」
宝箱の中身は10点ほどの銀の食器シリーズ、ナイフにフォークにスプーンに皿に。
「これ、俺的には大当たりでは?」
銀の食器は一つで450GPになる、それが10個だから4500GPという事になる。
こういった何の効果もない食器などはダンジョン協会へ売ってもたいした値段にならないからハズレの部類だ、しかしGPに換えれる俺からすれば大当たりだ。
「ハズレかと思ったら大当たりだった件について、嬉しい!」
銀食器を全部GPに変えていく、これでボス戦だけで5670GP稼げた。これにここに来るまでに稼いだGPを合わせて9355GP。一日で稼いだGPの記録大幅更新だなー。
5階層を周回するか先に進むか悩むなこれは。う~ん。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます