牡丹の依頼
翌日、何でも屋のビルの前に黒い車が止まり、中から宝塚の男役のような見た目の女性と眼鏡をかけた女性が出てきた。
その様子を上から見ていた鬼塚は
「牡丹さんが来たぞ!」
そう教えると伊万里達は急いで席に着いた。
ドアをノックする音がし、開けると宝塚の男役のような見た目の女性・牡丹と眼鏡をかけた女性・秘書の白鳥道子が入ってきた。
鬼塚は2人を丁寧にもてなし、伊万里達の向かい側の席に案内し、自分は伊万里達と同じ席に座った。
「では、改めまして。金長牡丹さん、依頼をお伺いします」
鬼塚が尋ねると
「鬼塚さん、これはメディアには秘密にしてる事ですが、金長さんはストーカーされてまして…」
最初に口を開いたのは、白鳥道子だった。
それを聞いた何でも屋一同は顔が真っ青になった。昨日、伊万里が桜太郎が聞いた話がまさに牡丹のストーカー被害だった。桜太郎は、それをネットニュースで知ったそうだ。
「あの…白鳥さんそれなんですが…大変言いにくいのですが…」
「はい?」
「牡丹さんのストーカー被害の件、ネットニュースに書かれてますよ…」
鬼塚が正直に話すと白鳥道子はがっかりした。
「なんて事…。鬼塚さん!依頼はそのストーカー被害を防ぐためにボディーガードとして次あります徳島県での演説と講演会へ同行してほしいのです」
白鳥道子は興奮しながら話すと
「白鳥さん、あまり言わないでくれませんか?」
牡丹がやっと口を開いた。
「でも…」
白鳥道子は何か言いたそうにした。
「私、うんざりしてるんですよ。ストーカーに。警察に言ってもあんまり進展ないし。そんな時何でも屋さんの話を聞いて考えたんです」
牡丹はスラスラと話した。
「では、つまり徳島県までボディーガードとして同行してほしいと言う事でよろしいでしょうか?」
鬼塚がメモを取りながら聞いた。
「はい、お願い致します」
牡丹は頭を下げた。
「あと、鬼塚さん」
牡丹は顔を上げると
「ボディーガードですが…」
「それは我々全員で行くのでしょうか?」
「違います。ボディーガードは鬼塚さん、貴方1人でお願い致します」
牡丹はそう言うと周りは唖然とした。
白鳥道子は止めるが牡丹はそれを拒否した。牡丹としては、事を大きくしなくないからだ。
話はまとまり、鬼塚は次週ボディーガードとして徳島に行く事になった。
牡丹と白鳥道子が帰った後、
「鬼塚さん、いいんですか?これで」
伊万里が語気を強めて聞くと
「皇ちゃん、仕方ないよ。牡丹さんは元々鬼塚さんにこの依頼をしたかったみたいだし」
一華は冷静に言った。
「けど、ボディーガードなんて今まで…」
「あるんだよ」
本郷が言った。
「前に元彼からストーカー被害受けてる若い女性がいてその人の彼氏のフリした事あったわ。しかも、元彼と揉めかけた時に警察呼んだけど」
本郷が淡々と説明した。
「だからカリカリするなよ。皇」
「わかりました…」
伊万里は素直に返事した。
「皇さん、僕の事気にかけてくれて嬉しいけど、大丈夫だから。僕、強いし」
「それは鋸がなければの話ですよね?」
「うわっ。参りました!」
伊万里のツッコミに鬼塚はタジタジだった。
こうして、鬼塚は牡丹からボディーガードの依頼を受けた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます