何でも屋の準備
伊万里は夕飯の時、家族に牡丹が来る事を話すと両親は驚いた。弟の雪之丞は
「え、牡丹来るの?」
そう疑うように聞くと
「ユンちゃん、そうだよ。理由は謎だけど」
伊万里が教えると
「謎ってなんだよ。有名人が来るって事はかなりスケールが大きいやつに決まってるよ」
「そうよね…」
「イマ、牡丹の前で変な事するなよ〜」
雪之丞がからかうと
「しないから!」
と突っ込んだ。
夕飯が終わり、自室に戻った途端にスマホの着信音が鳴り出ると桜太郎だった。
「桜太郎さん?」
伊万里が言うと
「伊万里、LINE見たよ。なんだか大きな仕事が来たみたいだね」
桜太郎が優しく言うと
「うん。今度、金長牡丹さんが来るの」
「そうか…。伊万里、前みたいに無茶するなよ」
桜太郎は心配した。以前、鬼塚を探しに京都に行った件があったため、伊万里を大事に思う桜太郎は何度も伊万里に連絡していた事があった。
「大丈夫。きっと何も起こらないと思う」
伊万里は元気な声で答えた。
「安心したよ。金長牡丹って国会議員の狸か〜。彼女人気あるし…。伊万里、これ前に聞いた話だけど…」
桜太郎は一通り話した。
それを聞いた伊万里は顔が真っ青になった。
「この事は鬼塚さんには話したほうがいいよ」
そう桜太郎がアドバイスした。
一方、鬼塚はカフェのアルバイトから帰ってきた蝶丸に牡丹の話をした。
蝶丸は口をあんぐり開け、
「え…牡丹さん…」
「そうなんだよ」
鬼塚が答えると
「どんな依頼なんだろうね…」
「わからないけど、有名人だからな〜」
「え?今まで有名人来なかったの?」
「うん。牡丹さんが初めて」
「清志郎さん、よくわからないけど、頑張って」
蝶丸は言葉を選ぶように言った。
翌朝、何でも屋は部屋中を清掃していた。だが、伊万里と本郷はそれぞれ依頼があるため、一旦抜け、鬼塚と一華の2人で続けた。お昼過ぎに伊万里と本郷が戻って来ると作業はかなり捗り、すぐ終わった。
掃除が終わると伊万里は鬼塚達に桜太郎から聞いた話をした。
一同は凍りついた。
「そんなことあんまり大きい声で言うんじゃないよ」
と鬼塚。
「こんな事本人に聞けないな」
と本郷。
「聞かなかった事にするしかないわね」
と一華。
伊万里は謝ると
「いいんだよ。もしかしたら依頼と関係ないかもしれないし」
鬼塚がフォローした。
だが、鬼塚達の予想はこの後外れる結果となった。
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