楽しい理想の部屋づくり
一初ゆずこ
部屋の隣に、秘境があるなんて思わない
私の部屋は、周囲の人たちに比べると、物が少ないほうだと思う。
理由はシンプルで、部屋が狭いから。けれど、日当たりは良好なので、私はこの部屋を気に入っている。
部屋の家具は、机と椅子に、ベッドと丸テーブル、二重スライド式の本棚。あとは、床の一部にラグを
いや、小さな棚などを置くスペースは
卓上には、
必要なものを部屋に残して、好きなものを飾って眺めていると、なんだか幸せな気持ちになる。ルンバの軌道も確保できているから、掃除の手間もかからない。
ただ、整理
部屋の家具が限定されていると、物の収納に困ることになる。
衣類は、クローゼットの一つに入れているから問題ない。アクセサリー類も、卓上の小さなケースに入れたら事足りる。アルバムやCD類は、本棚の本たちと同居させた。大型のスケッチブックや画材などは、ベッドの下に潜ませた収納ボックスに入れている。小説ひとすじな私だけれど、並行して透明水彩で絵を
あとは、switchやポメラの充電コードなどを、本棚型のボックスに入れて、これらも本棚にイン。本棚としては不本意化かもしれないけれど、収納の役目を
それでも収納できないものたちは、どうするのか。それは、衣類の収納とは別のクローゼットに仕舞うことになるのだが、このクローゼットが
問題のクローゼットは、私の部屋の真横にあれど、私一人で使っているわけではなく、今の家に引っ越してきた際に、収納に困った荷物を仮置きするための場所として、家族がさまざまな物を押し込んでいて――中身が分からない段ボール箱が山と積まれた、手がつけられない物置きと化していた。
私物を置けるスペースは、
居心地のいい環境で小説を書くためにも、どうにかしてこのスペースを、綺麗なクローゼットへ
しかし、作業は簡単なものではなかった。段ボール箱に収納されることで、一定の
それでも、手を動かさなくては片付かない。ぎっしりと詰め込まれたぷよぷよのような段ボール箱たちを開けて、必要な物と不必要な物を
古い
そのときのはんだごてとラジオも、工作物の地層から
昼過ぎから片付けを初めて、日が暮れかけた頃、作業の終わりが見えてきた。物置きの奥が初めて見通せるようになり、衣類を掛けるフックと、奥行きのある収納棚が備え付けられていたことが判明した。
嬉しくなった私は、ちょうど作業中にメッセージアプリでやり取りをしていた友達に、うきうきと「クローゼットから未知の棚が見つかった」旨を報告すると、「グレン島への行き方を初めて知ったポケモントレーナーみたいだよ……!」と言われたから、言い得て
かくして、雑多な物置きはクローゼットとしての姿を取り戻して、私の収納スペースは拡大した。片付けを始めるまでは、堆く積まれた段ボール箱に気圧されていたけれど、めげずに戦ったおかげで、快適な部屋を維持できているし、さまざまな思い出の品に触れることもできたから、取り組めてよかったと思っている。
同時に、片付けをまとめてやることの大変さも、嫌というほど思い知ったので、普段から掃除しやすい空間作りを意識する大切さも、あの秘境に教えてもらった気がしている。
楽しい理想の部屋づくり 一初ゆずこ @yuzuko
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