第6話 呪いの絆
☆矢川智彦サイド☆
結論から言って俺は義妹の小春に、実はね.....、と続いた言葉の説明を受けてから。
凪島さんの家に行くのを止めた。
何というか凪島さんはストーカーの様に俺を追って来たという。
でも有り得るだろうかそんな事が。
だってお前。
俺はモブの様な存在だぞ.....?
そんな夜の事。
電話が掛かってきた。
それは凪島さんだ。
俺は慌てながら、は、はい、とスマホに返事をする。
すると凪島さんが、ハロハロー、と声を発しながら返事をした。
その様子に俺はホッとする。
キレているじゃないかって思ったのだ。
俺は心を安定させながら目の前の教科書を閉じて返事をする。
「.....凪島さん。今日はゴメンね。行けなくて」
『ううん。今日は色々あったから私も丁度良かったよ』
「あ、そ、そうなんだ」
『.....うん。.....でも今度はデートしようね。約束』
「.....え!?デート!!!!?」
そうだよ?デートだよね?今日だって、と凪島さん。
俺はその言葉に、ま、まあそうだね、と慌てる。
すると凪島さんが、あ。実はお知らせがあるの、と切り出した。
私、君の近所に引っ越す事にしたの、と。
「近所って.....!?確かに後ろにアパートあるけど.....」
『そうそう。そこだよ。.....そこに引っ越すから』
「え!!!!?」
『私は一分一秒でも貴方の側に居たいの。好きな人だからね』
「.....い、いや。それは良いけど.....」
まさか本当にストーカーなのか?
俺は考えながらゾッとする。
すると、あ。それと、と言葉を発する。
実はね.....小春ちゃんに暴言を吐かれちゃって傷心なんだぁ、とも。
俺は!?と思いながら、え?それは.....無いと思うけど、と言葉を発する。
『でもでもウチに来たよ?私に対して、ぶっ殺す、とか言ってきたの』
「.....?!」
『私の言っている事は本当だよ?義妹ちゃんにそんな素顔無い?』
「確かに.....悪態は吐くけど.....」
『.....でしょ?だから私に暴言を吐いてきた』
「.....うーん.....」
そしてもう二度と近付くなとも言われた、と言ってくる凪島さん。
それから妹の発した言葉と思われる機器を再生する。
凪島さんによれば念の為のボイスレコーダーだという。
正直何でそんなものを持っているのか分からないが.....まあ良いが。
確かに脅しと呼べる様な感じの言葉を発している。
『嘘は吐いてないから.....義妹さんに、そんな意地悪な事をしないで、って言ってくれるかな』
「.....仲良くしようとしていたの?」
『そうだよ?私は仲良くしようとしていたよ。.....でも義妹さんが拒絶している』
「.....そっか。それは.....」
とそこまで言ってから。
いきなりスマホを取り上げられた。
それから小春が見下ろしてくる。
な、何事.....!?
通話をそのまま切られる。
「.....お兄。.....誰と一体何を話していたの?」
「凪島さんだけど.....ちょ.....通話を切る必要は.....」
「ううん。あるの。.....私にとっては」
「.....そ、そうなのか.....っていうかお前.....行ったのか?凪島さんの所に」
「そうだね。.....行ったよ」
「じゃあ何で脅す様な事を.....」
分からないの?お兄。
私は貴方が好きだから、と言ってくる。
それからニヤッとしてくる。
雨が降り出した。
豪雨だ。
「.....私はお兄が好き。.....世界で一番、ね」
「.....お、お前.....好きて.....な、何かおかしいぞ」
「.....私は何もおかしくないよ?お兄が全てなの」
「.....私は周りを潰さないといけない。.....お兄の邪魔はさせないの」
「何かがおかしい!?」
だから私は同じ様に貴方が好きな凪島先輩がウザくて仕方がないの、と笑顔になる.....小春。
俺はゾッとしながら小春を見る。
そして屈んだ小春。
俺の顎を撫でてくる。
「私は貴方が好き。.....昔から思っていたけど」
「.....そ、そうか.....そ、その。艶かしいんだけど.....」
「裸になってあげようか?男ってそういうの好きだよね?」
その言葉にハッとしてから、落ち着け、常春に言い聞かせてから。
そのまま俺の元から離した。
すると小春は、何?、と反応する。
小春。俺達は兄妹だから、と言い聞かせた。
「だったら何?.....全く血が繋がってないよね?じゃあ私がお兄を愛するのは仕方が無いし運命だよね?」
「.....い、いや.....だからそういう問題じゃ」
「大丈夫だよ。お兄。私が全てしてあげるから」
「こ、こはる.....」
小春は笑みを浮かべて俺を見てくる。
どれだけ拒絶されても近付いてくる.....。
本気で好きってのは分かるけどでも。
これはやり過ぎの様な気がする。
俺は小春の肩を掴む。
「そういうのはダメだから。小春。本気で好きな人とやれ」
「私にとってはお兄が全てだよ?お兄以外にこんな事しないから」
「.....!」
「あんな女.....忘れさせてあげる。.....アハハ」
俺の両頬を紅潮しながら掴んでくる小春。
何が起こっている。
考えながらそのままその場から、こ、コンビニ行くわ、と傘を持って逃げた。
どうしたんだ小春もそうだが.....凪島さんも!
マジに歪んでいる!
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