第25話
次の日。
気分的に強風。
僕は仕事を休んでルージー夫妻の部屋の前で、どぎまぎしていた。
中にはきっと、あの金髪の少女もいるかも知れないけど、しかめっ面のおじさんと顔を火傷した陰気なおばさんがいる。
正直、複雑な気分だよ……。
金髪の少女と出会うのは正直とても嬉しい。だけど、何となく心が金縛りになって、にっちもさっちもいかない。でもせっかくお見舞いと、100万クレジットの使い道をコルジンと考えたんだ。
ノックをする。
「おお。リスヘル入れ」
中からしかめっ面じゃないおじさんの元気な返答がした。
「お邪魔します」
僕は顔の表情に極力、意識を向けて部屋へと入ると、そこにはキッチンと小さいテーブルの部屋に黒のガウンを着た。ルージー夫妻の夫の方がちょこんと座っている。
せせこましいが、奥の幾つもあるベットには、きっとルージー夫人が寝込んでいるのだろう。
しかめっ面だったおじさんは何やら、機嫌が良いみたいだ。そして、僕のことをリスヘルと呼んだ。
「リスヘル。昨日はありがとな」
小さいテーブルに座っているおじさんが、お礼をしてきた。
「いえ……。それと、僕は……ヨルダン」
「言わなくていい。いや、言わないでくれ。今、お茶を入れるよ」
上機嫌でしかめっ面ではないおじさんはテーブルから立つと、キッチンに向かう。
奥から顔をだした金髪の少女は濡れたタオルを片手に、キッチンに歩いてきた。
少女と目が合う。
僕は心臓の音が気になるけど……。元気に少女に話しかけた。僕は物怖じなんてしない。
「なんて名前なの君は。良かったら教えて」
黄色のワンピースの少女は微笑んで、
「私はロッテ。この館の唯一の医者の娘。あなたは誰? リスヘル? それともヨルダン?」
少女は小首を傾げる。
僕は紛らわしいなと思ったが。
「僕はヨルダン。ルージー夫人の顔は大丈夫?」
「ええ。火傷は酷いけど。父からよく効く薬と鎮痛剤を貰っているから。今はぐっすりよ」
この館にも薬があるようで、僕はホッとした。風邪をひいたら大変。治らないで館の探険が一生出来なくなる。
「おお。ロッテもここに座りなさい。後、リスヘルも」
ルージーおじさんはにこにこして、僕たちを小さいテーブルに落ち着かせた。淹れたてのハーブティーだ。
それと、雲助のことも覚えてくれていて、きゅうりの入ったカップを差し出した。
「た、食べにくい……」
雲助はカップの中で四苦八苦する。
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