映画鑑賞とジョニー、アレックスの誕生日
亮介は美月と映画館に入り、バナナからできた某人気キャラクターが登場するアニメ映画を鑑賞。館内から広場に出ると、美月は「噴き出しそうになった」とご満悦でレモネードを飲んでいた。
「賢哉さんたちと通りの見回り、雪かきもやってるんだ」と答え、階段に座っていると「亮介先生」と後ろから声がかけられ、猛雄が「ダニエルのケーキ店でイチゴのショートケーキが出されるらしいです」と言いながら紫色の引換券を渡してきた。
3人が店内に入ると、ダニエルが「ご来店ありがとうございます。窓際の席が空いてますよ」とビッグベンがよく見える席を指差した。
ダニエルの愛猫で淡い灰色の短毛とオレンジ色の目を持つヤヌアーと、白い短毛で背中に革表紙の本の模様があるノウレッジが「ンナ―――」と入り口で鳴くと、ジョニーとアレックスが入店し拍手が起こった。
「ジョニー、アレックス。誕生日だね!」ダニエルが『11』『5』と緑、水色のろうそくが乗ったイチゴのショートケーキを二人の前に置き、亮介と美月たちも熱唱する。
「ありがとう」と言ってろうそくの火を消し、嬉しそうにケーキを食べるジョニーとアレックス。亮介はブルーベリーケーキを食べ終え、レモネードを飲みながらビッグベンを眺める。
猛雄が「俺と空音の母ちゃんは、息子や娘を置き去りにする親と交際相手に激怒してます」と抹茶を飲みながら小声で亮介に言い、ヤヌアーの背中をなでるアレックスをちらりと見た。
広場で小説を読んでいると、小柄な2匹のゴールデンレトリーバーが亮介のひざの上に乗り顔をなめた。
「ポアロ!ベイリー‼新聞配達しないと、ドッグフードがもらえない!」飼い主で
17歳のベンジャミンが石畳に座り込み「ウ―――!」とうなる2匹を抱き上げ、「印刷屋のベンジャミンです」と亮介に頭を下げ通りへ入っていった。
「直美!」ジョニーの絶叫が聞こえ、直美が『ミーン』によってレンガ塀にたたきつけられ地面に倒れるのが見えた。「直美!直美‼」亮介と美月は愛娘に駆け寄って呼びかけるが、ぴくりとも動かない。
バールを持った『ストールン』と真珠のネックレスをつけた『ミーン』が、亮介と美月の前に立つ。美月が銀色の髪飾りを外し、ワカケホンセイインコのホンちゃんの羽を2枚差し込むと『LONDON POLICE』と書かれた四角い盾に変わった。
亮介は磨いて光沢が出たハンマーを持ち『ストールン』のバールを粉砕、ボルダリングと『ブレイキン』で鍛えた腕力と脚力で押さえる。ふらつきながら逃げようとする『ストールン』の腰に雪の塊が直撃し、這いながら通りへ入っていった。
「タカユキさん‼」亮介が絶叫すると、タカユキが失神した直美を抱えて『カフェ&バー 月明かり』の2階に向かった。
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