ステッカーの完成とアレックスたちの歓喜


 勇樹は完成した虐待防止ステッカーを『カフェ&バー『月明かり』に持参し、睦月と賢哉に見せる。スマートフォンやリュックサックに貼っておくと洋服店のオオスズメバチ・マギーとリックマンの羽音で父親や交際相手などを失神させ、子どもを『Young Flowers』や映画館内などに保護。

 

 机の上に並べられたステッカーを見て、アレックスが「オータムがいる!」と満面の笑みを見せる。オータムはアレックスが0歳の時からロンドン警察署で過ごし、号泣すると賢哉に知らせている。

 「ポピーの肉球もある!ありがとう」しっぽを回しながら賢哉の顔をなめ、ステッカーの匂いをかぐポピー。



 「亮介先生!アレックスが流されそうになってるで‼」温泉小3年1組の美子と聡子、森子、坂子とテムズ川に向かうと、アレックスが太い流木に摑まり「Help!」と叫んでいる。

 デンキウナギのマーブから渡された防水の救命胴衣と長靴をつけ、オータムと川の中に入ってアレックスを抱きしめると「Thank you」と泣き出す。拍手が起き、美月が駆け寄って来た。



 亮介がベージュの長袖シャツと紺のベストに着替えソファーに座ると、ジョリーが「不審者『ストールン』が広場をうろつき、子どもたちを不安にさせている」と言って机の上に置かれていた木箱を尾で開け、ハンマーとビッグベンが描かれた銀色の盾を亮介と美月に渡した。盾は首から下げられるようになっている。

 「バールや金属の板も粉砕する」ジョリーはハンマーを亮介に渡し、「あなたに学校内で朗読をやってほしい」と頭を下げた。



 ジョニーやカーレッジたちが通う校内の2階に向かうと、ベージュの短髪に青い目の男性が「エドワード・ビーキーパー・ホーニッヒだ」と亮介に笑みを見せる。

 亮介が児童書『悪魔使いはほほえまない 災いを呼ぶ転校生』(真坂マサル著、集英社みらい文庫)の朗読で、ある目的で小学生の男子と一緒に人の悪意を集める長身の男性を熱演すると、ゴルバチョフを殴打していた同級生20人が号泣し始めた。

 

 

 朗読を終えた亮介とエドワードが一礼すると、ゴルバチョフは「ありがとうございました」と破顔一笑した。朗読を聴いていた道也や美術教師のブライトたちから「フォー!」という歓声が上がり、オータムがしっぽを回しながら駆け寄って来た。

 同級生20人はイギリス人男性ネイチャー・ランニングとマラソンに参加し、ゴルバチョフに謝り旅に出た。



 広場では肩までの髪を水色に染めた英語教師の熱唱明子と小中学生、高校生が熱唱し、勇樹とペインター5人が人の体についても平気なペンキと色鉛筆を使いスケッチブックにビッグベンの絵を描いていた。

 ステッカーで川に流される子が減り、フードバンクの寄付品盗難防止にもなっている。





 

 






 

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