第19話 聖剣とドラゴン

謎の岩のゴーレムからうまく逃亡できたリークたちは広い草原にいた。

しかし完全に崖の下に転落した友人を姿を見失ってしまっていた。


「あぶなかったな。」

「ですわ」

「コウ君・・・無事だといいけど。」

「大丈夫ですよ。コウさんなら・・・。」

「モンスターもいなさそうだし。しばらくここで待つか。」

「だね」


「おい!あれ!!」


リークが指差した方向には巨大な白竜が飛行しながらこちらに接近していた。


「なんですの!?あのモンスターは!!」

「でかいですね・・・・てかこっちに向かってきてません?」

「逃げよー」


一同は一目散に逃げ出す。


「手のところ見て!」

ナシェがそういった。


「何だあれ動く黒い塊か!?」

「もしかして砂鉄じゃない!?」

「まさか・・・!?」



近くにドラゴンが降り立ち、中から人が出てくる。

ドラゴンは砂になって消えていく。


「コウにリン!って何してんだ・・・」

「コウさんリンさん!それは・・・」

「コウ君にリンちゃん!ちょっと!?」


俺と抱きついていたリンをみて周りがざわめく。

「コウ!やっぱ女たらしだなー」

「これは言い逃れできませんわね。」


「これは仕方なくでだな・・・」

「そう、しかたなくね・・・」


泣きながら俺達にナシェが抱きついてきた。

「二人共・・・わ、わたし死んじゃったと思った。」


「すまん心配かけたなみんな。」

「みんなごめんなさい。」


「コウさん、さっきのドラゴンは一体?」

「あぁ落ちた先でドラゴンに変身する魔法のアイテムを手に入れてな・・・話は後だ。

とりあえず先を急ごう。」



「もう、いろいろとなれてきましたわ」

「そうだな!」


俺は聖剣をかざす。


「コウさん・・仕方ないですねっ。」

リンが勢い良く抱きつく。

「おい、お前・・・勘違いして・・・うっ!」


ナシェが反対側から抱きつく。

「コウ君は渡さないんだから!」

「お、おい!?」


すると聖剣が光り白竜へと変化する。

「いろんな意味で流石だなコウ!」

「もう言葉もないですわ。」


俺は馬車を砂鉄で囲い、ドラゴンと固定してから羽ばたくイメージを想像する。

するとゆっくりと上昇していき、その様子はドラゴン内部からモニターのように映しだされていた。


「コウ君すごいね!」

「あぁ。リンちょっと腕の力入れすぎで痛いんだが・・・」

「私だって落ちそうで怖いんですから。が、我慢してください。」


ナシェの視線がリンの持っていた杖に集中する。

「リンちゃん・・・変わった杖持ってるね・・・」

「あっ。こ、これは・・・」

「コウ君・・・後で説明してね・・・」

「あぁ。」

(ドジっ子なのに勘が鋭い・・・)


ドラゴンで街に突っ込む勇気はないので、テウリアから少し離れた平地でドラゴンを降ろす。


「ここから馬車で移動しよう。」


「あぁ、ありがとうなコウ!」

「ありがとうですわ」


ドラゴンを降ろしたにも関わらず、側の二人は力強く抱きついてくる。

「二人共離れてくれ、きついんだが。」

「あぁごめん。コウさん」

「ごめんねー」


「ちょっと疲れたから馬車の屋根で休むよ」

「あぁそうしてくれ!」


俺は馬車の屋根で横になる。


警戒が解かれたからか、悠々と空を漂う雲を見てつぶやく

「生きてるって素晴らしいな・・・・」

「女の子たちとキャッキャしていたらそうね。」

「!?」


タブレット端末から声がした。


「アカネ、その・・・成り行きでだな・・・」


「言い訳はあとでたっぷり聞かせてもらうわ。」

「システムの調査結果だけど、簡単に言うと転生者の能力で予測にズレが生じているわ。」


「それは厄介だな。」

「えぇ。それにあなた達を襲った敵もね・・・それと今度その聖剣を解析させてもらえないかしら?」


「あぁ。そのことなんだが姿消せるアイテムとかないのか?さすがに街に近づけないんだが・・・」

「あなたの思っている通りに変えられるならそれも出来るんじゃないかしら?」

「それもそうか・・・ありがとうな。」

「えぇ、また連絡させてもらうわ。」


連絡が終わり寝ようとすると視線に気がつく。


「ナシェか。」

「うんっ。あれの説明してね。」


ナシェが横に来て寝転ぶ。


「あぁ。ってか分かるだろ。朝のアレだよ。」

「コウ君が寝ぼけてリンちゃんに抱きついてたやつでしょ?」

「!?みてたのか?・・・」

「うん・・・」

「ったく・・・」



俺が起きると夕方になっており街が目前と迫っていた。

「起きろナシェもうすぐつくぞ。」

「あ、おはよー」


街の門を前に別の馬車が集まっているのが見えた。

「長かったな・・」


俺達の馬車が歓声によって出迎えられ、教師たちが近づいてきた。


「おぉ、リンさん無事だったのですね。」


リンは教師陣に事の顛末を説明していた。

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