第20話 テウリア観光

俺達は獣人たちの街、テウリア領に居た。


道は石畳で脇には日本文化を貴重とした住宅が立ち並んでいた。

(この街本当に京都にそっくりだな。)


桜の花びらが舞いその中を平然と獣人が着物を着て歩いていた。

(ヤツハシが言っていたのはこれだったのか・・・てか暑苦しいだろあれ)


舞妓に扮した犬の獣人が俺を見てお辞儀をしたので、

俺もお辞儀をする。

(なんでもありだな・・・・)


「コウさん、どうやら少し行ったところに今日泊まる宿があるみたいです。」

「ありがとうリン」


俺達は宿を目指し歩く。

お食事処がそこら中にあり団子屋や和菓子屋などが立ち並んでいた。

「美味しそうだな。」

「そうですね。」

「コウ君明日食べに行かない?」

「そうだな」

(前世の味を懐かしむのもいいだろう。)


宿につくと豪華な和食の料理が待っていた。


「上手いなこれ。」

「リークもう少し上手に食べろよ。」

「食べ方わかんねーからいいや」


「美味ですわ。」

「美味しいね」

「ですねナシェちゃん」

「ですね!」


食事が終わると眠気が襲ってきたので、すぐに風呂に入った。

「まさか異世界で露天風呂とは・・・」

「露天風呂ってなんだ?」

「今入ってる風呂のことだ」


となりの風呂ではナシェたちがはしゃいでいた。


「コウこれ何だと思う?」


リークが不思議そうに看板を見つめる。


「おい、これだめだろ・・・」

そこには覗きの方法が書かれていた。

「俺ちょっと試してみる。」


「や め と け。てかお前は覗きたくなるほど好きな相手がいるのか?」

「は?いきなりなんだよ。女たらしのコウと同じにすんなよ。そ、そんな奴いねーし。」

「へー言うじゃないか。今日のエンリカ可愛かったな。」

「そ、そうだったか!?」


リークの顔が赤くなっていた。


俺達が風呂から上がると露天風呂の方から悲鳴が上がっていた。

「これ以上責任も取れないしな・・・」


「お休み。コウ!」

「あぁ」


鍵付きの個室だったので、鍵をかけて俺は安心して寝た。

はずだった・・・・。


(今日こそゆっくり寝れるな・・・・)



「おかしい、暖かい・・・」


ゆっくりと俺は目を開ける。

リンが俺に抱きついていた。


「またか・・・・」

「あ、起こしてすいません・・・」


リンは俺の顔をみてうっとりとしていた。


「じゃねーよ。どうしているんだ・・・・色々まずいだろ・・・」

「ちょっと眠れなくって。」

「は?鍵かけただろ」

「はい。なので開けました。」

「は?」

「硬貨で簡単に開きますよあれ」

「まじか。」

「そういえば今日コウさん聖剣って行ってましたよね。」

「あぁ。それがどうした。」

「父から聞いたことがあるんです。聖剣を持つものは世界に災いをもたらすって。」

「俺は信じないけど。なんかの決まり文句みたいだな。」

「ですよね。私もです。コウさんは私の憧れですから。」

「ありがとうリン。」


「ん・・・・」

リンは目をつむってこっちに唇を向ける。


「ったく。ナシェが可愛そうだな」


その後普通に寝た。

次の日の朝まだリンが抱きついていたので軽くあしらい観光の準備をして宿をでる。

街にいる時は自由行動らしい。

ナシェたちと合流するために俺達は通りで待っていた。

「すげえ。猫の獣人が侍の格好をして歩いてるな。しかも様になってるし」

「あれは猫侍っていうんだぜ。」

「そうなのか。そのまんまだな」


すると見覚えのある人物が視界に入ってくる。

「久しぶりだなロウウェル。」

「コウ!」

「よ!ロウウェル」


「土人形からの依頼か?」

「あぁ。奪取者の調査だ。」

「そうか。頑張れよ。」

(てかまた現れたのか・・・)

「お前らはのんきでいいよな。」

「あぁ俺らはエリートじゃないから暇だぜ。」


ロウウェルはムスッとしてどこかへ行ってしまった。

「コウあいつには冷たいよな。」

「向こうも一緒だろ。」


しばらくすると浴衣を着た、ナシェたちが来た。


ナシェはピンクを下地に華やかなデザインの浴衣を着ていた。

「ど、どうかな?コウ君?」

顔を赤らめながら意見を求めてきた

「あぁとても可愛いよ」

「やったー」


リンは水色で朝顔柄の浴衣を着ていた。

モニカは少し大人っぽく深緑色の浴衣を着ている。

「リンもモニカも二人共とても似合ってるな」

「ありがとう。」

「あ、ありがとうございます。」


エンリカは赤色と青色が交わるバランスの良い浴衣を着ていた。

「私は似合ってないのかしら?」

「エンリカも似合ってるよ。な、リーク?」

「あぁ、と、とても綺麗だぜ。」

「当然ですわ。」


俺達は歩きながら街を回る。

川沿いに桜が咲き、花びらが舞っていた。


「綺麗だな。」

「そ、そう?」

「桜がな・・・・」

「ぶー。」

「ひどいですよコウさん」

「で、です!」


ナシェをからかいながら歩いていると多くの店がが見える。


リンが甘味処を指差す。

「あそこによっていきませんか?」

「そうだな。」


どうやら時代劇でよく見る赤い布を引いた縁台が複数あり、そこで食べるようだ。


「っと俺は端に座るよ。」

「だーめっ」

「ダメですよ。真ん中に来てください。」

「はぁ・・・」


俺とナシェ、リンで一つの縁台に座る。

隣の縁台にはリークとエンリカ、モニカが座っていた。


「いらっしゃいませ、こちらがメニューとなっております。」

店員がメニュ表を渡してくる。

そこには三色団子など前世の甘味が載っていた。

「コウさんおすすめとかありますか?」

「なんで俺に聞くんだ?」

「この街に馴れていそうな様子だったので。」

「そうなの?コウ君」

「あぁ、なんで分かるんだよ。」

「それは、秘密です。」


リンは笑顔で返事をする。

(女の勘ってやつか・・・怖いな。)


「多分だが三色団子とかわらび餅が食べやすくて美味しいと思うぞ。」

「そうなの?なら私わらび餅ー」

「私は三色団子で。」

「俺はみたらしだんごで。」


リークたちも同じような注文だった。


「おまたせいたしました。」

「ありがとう。」


俺はみたらし団子を食べる。前世と同じ、甘い醤油味ともちもちとした食感に感動する。


「上手いなこれ。」

「ホントですか!私にもください。」


リンはこちらを見て何かを待っているようだった。


(まだ1本あるんだが・・・・)


「早くしてください。」

「あぁ。」

俺は団子をリンの口元に近づける。

「ん・・・変わった味ですけど、美味しいですね。」


(リンはこういう駆け引きが上手だな。幼なじみが置いてけぼりなんだが・・)

「あー、私にもちょーだい!」

「あぁ。」

ナシェの口元に近づける

「んーホントだ。おいしー」


その様子を隣のリークたちは赤くなりながら見ていた。

「コウ。すげえな・・・・」

「私達も分けませんか?」

「そ、そうですね。」


リークはエンリカから、わらび餅をもらい満足そうにしていた。


「コウ君、はい。」

俺はナシェからわらび餅をもらう。

「やはり美味しいな。」

これも変わらない味だった。


「コウさん、私の三色団子もどうぞ。」

「あぁ。ありがとう。・・・おいしいな。」

俺は2番めの白色をもらう。

「あー私も。」


「はい、どうぞ。」

「あ、まて緑は・・・・」

「なにこれ?にがいよー」

急いで抹茶を飲む。

(おいおい。)


「んー。もっとにがーい」

ナシェが舌を出して苦そうな顔をする。

「ナシェ、水だ。」

急いで飲む。

「あ、ありがと!」


リンが思い出したかのようにつぶやく。

「そういえば中等部から剣の実習があるから見ていきませんか。」

「さんせーい」

「そうなのか。なら見ていくか。」


その後店を出た俺達は武器屋を訪れる。

「いらっしゃいませ」


店には杖は少なく僧侶が持つようなものばかりだった。


「コウさんこれはなんですか?短剣にしてはかなり短いようですが」

「コウ!変わった武器だなこれ指にはめて使うのか?」


見ると壁には手裏剣やらクナイなどの飛び道具が並んでいた。

「あぁこれは投げるんだよ。どちらかというと暗殺向きだな。」

「そうだったんですね・・」

(てか忍者とかいるだろ。職業に盗賊とかあったからこれか?)


他のところにも目をやる。すると日本刀が並んでいる。

安い物でも金貨100枚だった。

「コウ!刃が片方しかついてないし曲がってるし変な武器だな。てか高いなこれ」

「あぁだが切れ味はすごいぞ。」

「そうなのか。」


その店ではお手頃な武器は売っていなかったので店を出る。


「まぁ王国の市場で買えばいいかな?」

「そうだな。」


そうこうしているうちに空は夕焼けに染まっていた。

「帰るか?」

「そうですね。」

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