第18話 崖下のエトセトラ

リンとの決闘後休憩をしていると、リークが俺達を呼びに来る。

「コウ!そろそろ行くか?」

「あぁそうしよう。」


俺達は湖をあとにして目の前に見える大きな山を目指す。


「でかい山だな。」

「あぁ、目的地はあの山の向こうだぜ。」



大きな山の入り口にある巨大な渓谷を歩いていると、タブレット端末から連絡が入る。


「コウ様2時の方向から敵襲です。」

「ちょっと待て、今日は襲撃がないっていってたはずだろ?」

「原因は不明です。おそらくシステムが何者かの影響を受けていると思われます。」

「まじか・・・話は後だな」



岩壁の影から巨大な岩のゴーレムが3体現れる。


「コウ!これやべえぞ」

「これ馬車よりでかいな・・・」

「コウさん驚いているばあいじゃ・・・・。ビーム!」

「ストーム!」


リンとエンリカが放った魔法がゴーレムに直撃するが威力が不十分なのか表面が焦げただけだった。

「そ、そんな!」

「こんな強力なモンスター見たことありませんわ!」


「ナシェ!」

「うんっ、加熱!」

一体のゴーレムが10秒ほどして真っ赤になり溶ける。

しかし奥の方から複数のゴーレムが続々とこっちへ向かってきていた。


「処理が追いつかないな」

俺は聖剣を分裂させて魔法で飛ばす


聖剣が複数のゴーレムを切り刻み周囲に岩が転がる。

「やったか!?」

「おい、フラグだ。」


しかし切り刻んだ岩が赤いオーラを纏い、再びゴーレムへと形を変える。

「これまずいな逃げるぞ。」


するとリンの方をめがけて巨大な岩が飛んでくる。

「なっ!」

「リン!危ない」


「マグネティックドール!」


俺はとっさにリンの前に立ち衝撃吸収用に砂鉄を展開するが岩の衝撃で俺とリンは吹き飛び崖下へと消えていった。


「コウ!リン!」

「コウさん!リンさん!」

「コウ君!リンちゃん!」


・・・


薄暗い谷の下で俺とリンは目が覚めた。

どうやらリンを助けるように俺がうまく下になって落ちたようだ。


見上げると、上までかなりの高さがあるようで自力での脱出は困難そうだ。


「大丈夫ですか?コウさん!」

「いたた。ここは崖の下か。」

「えぇ。かなり落下したみたい。だけどコウさんはどういう体をしているの?

傷ひとつないみたい・・・」

「砂鉄をうまく展開できたからな。」

(無事なのはアイテム自動使用のおかげか。)

「それでも無傷だなんて・・・」


視界に使用アイテムのログが表示された。

衝撃吸収用にワイバーンの翼4枚、最上位回復薬ファイナルエリクサーを6本使用致しました。


俺はタブレット端末を取り出しナシェたちの様子を伺う。

「上のナシェたちの様子は分かるか。」

「現在は現場からの逃亡に成功しており、ここより10kmの草原に滞在しております。」

「よかった。とりあえず移動するか・・・にしてもかなり暗いな。」


「そうですね・・・ビーム!」


リンが閃光魔法を放つが一瞬しか周りの状況を把握できなかった。

このままだと連発しなければならないので魔力効率が悪いだろう。


「仕方ないな。リン受け取ってくれ。」

「こ、コウさん・・・そ、それは?」

「あぁ魔法「単火」の使える杖だ。」

「いい・・の?その意味もわかってて?」

「あぁ責任もある。」

「そ、それなら・・・」


おどおどしながらも嬉しそうにリンは杖を受け取る。


「こんな状況ですけど・・・その・・二人の内、もう一人は誰なんですか!?」

「あぁそれは・・・」


俺は事の顛末を話した


「えぇーっ、転生者なんですか?生徒会長がコウさんの元奥さんで・・・・ロマンチック・・」

「まぁそういうことで諦めて欲しかったんだが・・・」


笑顔でリンが俺の腕を掴む。

「あんな事をしておいて、それはダメですっ!!」


「はぁ・・・」


といったやり取りが続き崖の下を辿って歩いて行く。



しばらく歩くとなんと明かりが見えた。

その奥には何かが祀られていそうな建造物が見られた。


「なんだこれ・・・何かの儀式用の祭壇か。」

「そのようですね・・」


そこにはなにやら文字が記された石碑があった。


「知己解析できるか?」

「はい、少々お待ちください。」


そして俺は石碑に描かれていた絵に見覚えがあった。


「どうやらコウ様の持っている武器に関係している記述があります。」


「やはり、俺がもっている聖剣のことか。」


「そのようでございます。聖剣の詳しい使い方を見つけたので表示いたします。」


どうやら、ものひろいで偶然拾った聖剣の出処は此処のようだ。

さらに解析された情報を深く読み込む。


「こ、これは・・・」


聖剣は過去の大戦でドラゴンとして振る舞ったという記述があることから、

どうやら無機物だけではなく生物にも変化できるようだ。


「どうかしたの?」


「リン、俺に抱きつけ。」

「えぇーー。」

「はやく。」

「うぅ・・・」


リンが俺に抱きつき顔をそむけていた。

「あぁ、そのままな。聖剣よ我が意志に答えよ!」

「コウさん!聖剣って!!・・・」

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