第17話 実戦訓練

街を出て、しばらく馬車を進めると広場と湖がある場所を発見した。

「ここらへんで食事にするか。」

「だな。」


ナシェやリンたちは料理の準備をしていた。

その間食材を探して、俺とリークは湖に釣りに来ていた。


「いい天気だな。」

「あぁ。最高だぜ」


「リーク、これを・・・」

俺は持ち物から高級釣り竿を渡す。これも一応特典である。


「なんだこれ。すげえキラキラしてんな。」

「知人から貰ったものなんだが、多分いい得物が釣れると思うぞ。」

「わかったぜ。」


俺は遠くの山々を眺めながら大自然を満喫していた。

住むならこんな感じの場所が良いな・・・。


「お!引いてるぜ。」

「!?大きいな・・・」


リークが竿を持ち上げると湖から1mぐらいの魚が飛び出してきた。


「でけー、これで十分だな。」

「あぁ、余りそうだがな・・」


俺達はその魚を持ってキャンプ場所へと赴く。


「コウ君はやいね!」

「あぁなんかすぐ釣れたからご飯にしよう。」


その魚のサイズにみんなが驚く。


「お、大きいね。」

「さ、サイズがおかしいですわよ。」


捌ける人がいないようだったので聖剣を包丁サイズにして魚を三枚に下ろす。

(聖剣万能すぎるだろ・・・)


「すごいねコウ君」

「ありがとうナシェ。これを加熱で焼いてくれるか。」

「うんっ。まかせて!」

「焼きすぎるんじゃないぞ」

「わかってるってば!」


しばらくすると料理が完成した。

白ご飯と焼き魚それと近くで取れた山菜のサラダ、品目としてはまぁまぁだ。

そこに大自然という最高のスパイスが加わればいい感じだった。


「コウ!上手いな。」

「あぁナシェが焼いてくれたからな。」

「流石ですわナシェさん。」

「コウ君の魚のおかげだよ・・」

「リンとモニカが炊いてくれたご飯も美味しいな。」

「そ、そう!?」

「あ、ありがとうございます。」


食事が終わり各自一時間ほど休憩を置いていた。


俺は木々の間にハンモックを吊るしそこで寝ていた。


「やはり異世界最高だな・・・・」


俺が自然を満喫していると誰かがこちらに歩いてきた。

「コウさん!朝の責任のことですが!」

「ぶっ!」


近くにリンが来ていた。


「実践訓練ということでお願いします!」

「可愛いから、怪我をさせたくはないんだが・・・」

(面倒だし)


「なっ!?ですが私は立派な魔法騎士になるため強くならないといけないのです!」

「あぁわかったよ・・・」


広い場所に移動する。

「いつでもいいよ。」

「では行きます!閃光魔法ビーム!」

一直線にこちらをめがけて光の閃光が向かってくる。


「くっ!」


磁力で金具を空中に固定しガードする。

数秒後、金具が赤くなり磁力制御が効かなくなったのかふわふわと揺れだす。


「これ火傷じゃすまないだろ・・・」


すかさず1つ目の後ろに、更に2つ目の金具を設置する。


その魔法は、防具一つで家が買えるほどの強靭なオリハルコンをいとも簡単に液体に変えてしまった。

日頃の練習の成果といった所か・・・。


「ふっ!2つ目も破壊させていただきます!」


次の瞬間2つ目の金具に当たった閃光はリンが思ってはいない方向に反射する。

「なっ!2つ目の金具を斜めにして防いだ!?」


そしてリンの足元まで来ていた砂鉄がリンを拘束し始める。

「その程度で私の動きを防げるとでも・・・!?」


リンが複数の閃光を展開し発射しようとした瞬間リンが笑い出した。

「ハハハッ・・・やっ・・・やめてくれ・・・・!!」

すると複数の閃光は空中へ霧散していく。


「降参するまで続くぞ。」

「ははっ。わ、私の負けだ、だからっ・・・」

「あぁ・・・。」

「はぁ、はぁ・・・砂鉄でこそばせるのは卑怯じゃないか!?」

「そうか?それと気は済んだか・・・。」

「あぁ・・・。」


俺は足元に落ちていた、溶けて固まった金属の塊を磁力で持ち上げる。

「それにしても、オリハルコンをこんな簡単に・・・凄いよなー。」


「オリハルコン!?」


「あぁ・・・」


「宝石の装飾に使われる超高級品じゃないですか!」


手をかざしながら、手首につけてある金具を見る。

「そうなのか?まぁ頑丈だから使っていただけだが・・・。」


「そんなに付けて・・・コウさんは貴族なんですか?」


「いや、普通の平民だよ。」


「うぅ、よく分からない・・・。」



リンは赤くなりながら俺の腕を掴む。

「こ、コウさんアレはちゃんと責任をとってもらうから・・・」

「はぁ・・・。これ以上増えるのは大変なんだが・・」

「コウさん何人いるんですか・・・・?」

「現状で二人(元嫁、ナシェ)だ」

「大変ですね・・・・」

「思ってるのならやめて欲しいんだがな」

「うぅ・・・。」

リンが涙目になる。


「あぁ。わかったよ。」

「よし!」

「ん?なにか言ったか?」


「な、なにも・・・あ、あのっ!」


「ん?」


リンは地面に落ちていた、溶けて固まったオリハルコンの塊を手に取っていた。

「これ、もらっていいですか?」


「あぁ、どのみち使い物にならないからな・・・。」


その言葉を聞いた少女は嬉しそうに照れる。

「ありがとう・・・・。」


「何に使うんだ?」


「ひ、秘密ですっ!」

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