777文字で完結させる挑戦 第三回ぐちゃぐちゃ
木村空流樹ソラルキ。
第1話 ぐちゃぐちゃ
男は目を覚ました。
病院のICUだろうか?首を固定されていた為、視界が左右にしか動かない。
ベッドがファラー位になっていて腰に血が溜まっている感じがする。足が浮腫で親指が太くなっている。
「あっ、あっ……。」
喉の奥が張り付いて声が出ない。
巨大な心電図の音だけが木霊する。カーテンで区切られていないフラットな部屋をピッピと音が続いている。自分と同じく寝ている人を見た。意識が無いのか、微動だにしない。
自分の心臓の音が心電図からする。はっはっと短く呼吸をする事しか出来ない。
頭が痒い。
男は指先を動かしてみた。鈍いが動く。肘まで動かしてみた。腕が上がりそうだ。
利き腕を頭の方へ動かす。
頭が痒い。
瞳の横を通り過ぎると、硬い何かに当たった。数回手で触れる。何かは分からないが、落ちたようでガタンッと音がした。ICUに木霊する。
すーすーする。
ゆっくりと頭を触る。
「ぐぇぇぇ。」
男は何を触ったのか理解出来ない。
冷たい何か……。ぐにゃっとしていて、触れたが何か分からない。
眼の前がぐるっとして気持ち悪くなった。何か分からないが、目から汁が出る。
粘膜の感覚と血が少し指先に付いた。自分で指を確認するように見つめた。鼻水の様なネットリ感を指先で感じる。
もう気持ち悪さはない。しかし、頭がかゆい。
「ちょっと!意識が戻ってる!」
看護婦が駆けて来た。
男の腕を拘束する。
「直に脳を触ったら痛覚がない分、傷を付ける。頭蓋骨開けて、腫れ上がった脳だと頭蓋骨がハマらないの、開いてあるのよ。カラーが落ちてるし、触ってるわ。」
看護師が援助の看護師を呼んでいる。
「死にたいの?」
先に来た看護師が問う。
「こんな状態で意識が戻るのが凄いわ。良く生きてるわね。先生に又つけ直して貰わないと駄目だわね。今居る脳外の先生にコールする。」
「2点拘束で大丈夫かしら……。脳に直に触ったら何があるのかしらね……。」
777文字で完結させる挑戦 第三回ぐちゃぐちゃ 木村空流樹ソラルキ。 @kimurasora
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