ぐちゃぐちゃな男
一ノ瀬 夜月
感情×行動
今日、付き合って一年目の記念日に、彼女の浮気が発覚した。
彼女の事は、大好きだったし、将来の事も考えていた。
でも、彼女が他の男と手を繋いで、
その瞬間、彼女の隣にいる男に対して、憎悪、嫉妬、嫌悪といった様々な感情が混ざり合って、胸の内がぐちゃぐちゃになるのを感じた。
俺はその感情の名前を知らない。けれど、衝動的に動き出し、その男の胸ぐらを
「お前は彼女とどういう関係だ?何故、
手を繋ぎながら歩いている?」
男は一拍置いて答えた。
「なんでってそれは、恋人だからに決まっているだろう?ラブラブカップル万歳!」
返答から察するに、この男は何も知らないようだ。それなら次は、彼女に聞くしか無いな。
「なぁ、今の話は本当なのか?コイツが恋人だって話。それなら、俺は何なんだ!俺は君の、恋人じゃ無いのか?」
その問いかけに、彼女は呆れた様子で
答える。
「アンタはは恋人じゃないわ。都合のいい男、態度で察しなさいよ。」
「なっ...何、言っているんだよ。俺達、付き合って一年も経つのに、そんな冗談はやめてくれよ。」
「冗談じゃないわ。だってアンタといても、つまらないんだもの。面白くも無い話を延々と続けるし...。
でも、ブランド品の贈り物をくれるから、一緒に居た、それだけ。」
彼女の本音を聞いた瞬間、確信してしまった。愛しているのは俺だけで、彼女は、ちっとも愛していないのだと。
その事を自覚したら、彼女への思いが途端になくなっていって...
気づいた時には彼女に、
「分かった、もう二度と君の前に
現れないよ。さようなら。」
と告げて、その場を去っていた。
その時の俺は、何を思っていたのか、よく思い出せない。
けれど、家に帰ってすぐ、リビングに飾ってあった彼女との写真をぐちゃぐちゃに握りしめて、ゴミ箱に捨てていた。
ぐちゃぐちゃな男 一ノ瀬 夜月 @itinose-yozuki
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます