第10話 さて冒険

 さて冒険の日々をと行きたいところだが、正直10年戦い? 蹂躙? し続けた毎日だから、少し街を堪能したい。

特に、主に食事だ!


「ライム君。セバスから聞いたのだが、リザードンボスを金貨500枚で卸してくれるとか」


「ゼットさん。本当はお金はいらないって言ったんですが、セバスさんがゼットさんに怒られるって言うので」


「君にはまだまだ一般常識の教育が必要なようだが‥‥‥。しかし実は昨今の不作で何かと入用でな。本当に助かる」


「いえいえ。居候させて頂いておりますから家賃と思ってください」


「ざっと利益だけで金貨4万5千枚が家賃とな。屋敷が丸ごと10軒は買えるわ。では逆にこれを持って居候と言うのはやめてくれ。一生分の家賃は貰ったし、ライム君は家族だ」


「なんだかむずかゆいですが、ありがとうございます」


「で、我がキュリオ家のお抱え商会の代表を呼んでいるから、申し訳ないが話に入ってもらえないか?」


「もちろんです」


「では、バンスよ。入れ」


「失礼致します。ゼット様ご無沙汰しております」


「うむ。で、こっちがライム君だ。俺の家族であり、もはや息子だ」


「?! これは失礼いたしました。わたしはバンス商会のバンスと申します。今後ともよろしくお願いいたします」


「ゼットさん! 息子とか言われると照れるじゃないですか! アインが聞いたら焼きもちやきますよ」


「ははははははっ。サーラもアインも初めからそのように思っていたみたいだぞ?」


「えー。なんだか責任感じちゃうな~」


「何をそこで突っ立っておるそこに座れ」


「はい。ライム様先ほどはご挨拶もせずに誠に申し訳ございません」


「うむ。少し見分力が落ちたんじゃないか?」


「その通りにございます。お恥ずかしい」


「いやいや。初めて会うのに当然ですよ」


 とフォローするが、恐縮しっぱなしで可哀そうになる。


「で、本題だが、リザードンボスは知っておるな?」


「勿論でございます。数年前に一体市場に出た時は何かと話題になったものです」


「それがな。90体あるが捌けるか?」


「90体? はい? 申し訳ございません。聞き間違いでしょうか?」


「いや。魔石以外の本体まるまるが90体じゃ」


「な、、なんと。そんな大仕事をわたしに任せて頂けるのでしょうか!!?」


「持ち主の機嫌を損なわなければな」


 ゼットさんはそう言って俺の顔をチラリとみて、悪い笑みを浮かべている。


「なんと!! どのような事でも致します! ライム様何卒わたくしに!」


「もう~。やめてあげてくださいよ~。もちろんお任せします。が、正直90体の他にハンター組合にも10体分けてあげましたから、沢山出すことで市場価値が少し下がると思いますが、売価はどの程度になりそうですか?」


「はい! ハンター組合は主にハンターへ販売することが基本となりますので、あまり影響はないと思われます。さらに市場価値は下がることがありません。むしろこれを期に手に入れたい貴族が殺到するでしょう。よって売価は最低でも一体金貨1200枚。オークションにすれば更に上がると思われます」


「ゼットさんどうされますか?」


「これはライム君の物だから交渉も含めて任せる」


「そうですか。では、一体金貨1000枚。条件は一括受け渡しニコニコ現金。それ以上の利益はバンス商会で取ってください。その代わり今後も不作が続くようであれば、作物が高騰する可能性がありますが、向こう一年は今現在の金額で金貨1万枚まで買うことが出来るオプションを付けてください。以上です」


 これにはゼットさんもバンスさんも口をあんぐりさせていた。


「これはこれは手厳しい条件ではございますが、不作になるとも限らず、逆に高く販売できれば、たとえそうなったとしても利益を見込める。さらに管理のリスクを減らすことで利益を確定させる手腕。末恐ろしいお方です。もちろんこの条件で即決させて頂きます。現金は家を売ってでもご用意しましょう」


「ガハハハハハ!!! 笑いが止まらん。どうだ俺の息子は!」


「ゼットさん。いちいち照れてしまいます」


「それは慣れることだな。ではバンスよ。契約書を持ってまいれ。物の確認は必要か?」


「いえ。確認など不要にございます」


「そうか。その判断の速さにお主の成功がある。よい判断だ」


 その後、恐ろしい程のスピードで契約書を持ってきたバンスさん。

1週間後に現金と現物を引き渡すことになった。



「でな。ライム君がなバンスにな。」


「あなた~先程から同じ話ばかりしてますわよ」


「やっぱりライムお兄ちゃんは凄い人だ!」


「サーラさんの言う通りですよ。俺はか、家族のために‥‥‥」


「何を恥ずかしがっているんだ? アイン、ライム君がお兄ちゃんだったら嫌か?」


「嫌なわけないよ! 僕の自慢のお兄ちゃんなんだ! 家族なんだ」


 俺もう駄目だ。たしかに不幸だったけど、こんなにも暖かい家族が出来て満足だ。

この家族。いや俺の新しい家族を守るために力を存分に使おう。


「ライム様は明日はどういうご予定ですか?」


「あのサーラさん。もしよければ俺の事ライムと呼び捨てで呼んでもらえませんか? 敬語もやめてもらえれば……」


「うふふ。ライム。明日はどうするの?」


「あっ。明日は街を見て回ろうとおもい「ライム。家族に敬語は不要でなくて?」」


「う、うん。明日は街を散策しようかとおもって、る。」


「そう。実は明日、主人とワタクシはお城に行く用事があるの。もしよかったらアインと街に行くのは嫌かしら?」


「それは全く問題ないけど、心配しない?」


「ライムの近くにいたら、軍隊が来ても問題ないでしょ?」


「それはまぁ」


「くくくくっ。軍隊が来ても大丈夫か。ライム。悪いが頼んだ」


「わかりまし。わかった」


「やったーーーー!」


 


 「じゃ~いってきます」 「いってきまーーす」 「キキッ」


 アインと仲良く二人と一匹で出かけることになったが、よく考えるとどこに行けばいいのか。


「アイン。どこか行きたいとこあるか?」


「うーんとね。僕も将来ライムお兄ちゃんみたいに強くなりたいから、ハンター組合の中を見てみたい」


「そうか。ハンターになりたいのか? けど将来は領主になるんだろ?」


「うん。けど母上にも強くなりなさいって言われてるし、僕も強くなりたいんだ」


「そうか。男の子だもんな。よし案内するよ」


 アインを肩車して、さらにキキがアインの頭にのった状態で、ハンター組合に入ると。ほぼ全員が


「あれ? ライムお兄ちゃんを見て、みんな固まっちゃった」


「ほんとだな。でも領主の息子のアインを見て固まったんじゃないか? 

皆さんどうかしましたか? この子は領主の息子ですが気を使わなくてもいいですよ」


 そういうと今度はロボットのようにぎこちなく動き出す。


「ハンター組合の人たちって変な動きするんだね?」


 無邪気な子供の容赦ない感想に、さらにロボットは加速する。


「おいおい。ライム! いじめてやるな」


「あっ。ビルドさん。俺は何もしてませんよ? アインを見て皆緊張しちゃったのかな?」


「んなわけあるか。お前に恐怖通り越して畏怖してるんだよ。で、今日は坊ちゃん連れてどうしたんだ? っとその上に乗ってるのはキリングモンキーか?」


「畏怖て。キリングモンキーはキキって名前で俺の仲間。まぁ~いいや。アインが強くなりたいからハンター組合見てみたいっていうから見学に来ただけ」


「そうか。で済むか! もう驚くのも疲れるわ! ちゃんと従魔登録しとけよ! で、ぼっちゃん好きな奴に声かけて質問してくれてもいいですぜ」


 そうか。たしかに登録は必要かもしれない。

それはそれで手続きしておこう。


「やった! おじさんありがとう」


「どういたしまして」


 この言葉に反応したハンター達がイソイソと退出しようと準備を始めた。


「お前達、?」


 この組合長の言葉に全員の顔から精気がなくなる。


「ねぇねぇ。おじさんが倒した魔物で一番強かったのどれ~?」

 

 声を掛けられたハンターは青ざめながら意味不明な敬語で答えている。


「アイン。ハンターは強い者が偉いんだ。そのハンターさんはアインより強いだろ? だから尊敬を持って質問しないとダメだぞ」


「あっ。そうだね。ごめんなさい」


 謝られたハンターは昇天してしまったが、俺の言葉で何やら共感を得たのかアインに対して腰をおって説明している。


「では、みなさんお邪魔しました」


「ありがとうございましゅ! す!」


 うんうん。アインが今日ほんの少し成長したような気がする。

さて、次は必殺立ち食いをチャレンジするか。


「アイン。次は屋台の食べ物を食べてみるか?」


「うん!! 僕食べてみたかったんだ」


 メイン通りから一本はずれた道に市場のような屋台が並ぶ通りがある。

そこは食べ物や衣服など、なんでも売ってるようだ。

 

「おっちゃん。これ3本くれる?」


「あいよ! 銅貨3枚ね。ありがとね」


「わーい」「キキッ」


 普通にうまい! これは前世の焼き鳥にそっくり。だけど塩なのが残念だな。

タレも食べたいから探したけど、どうもないようだ。


「いてー! 何しやがるんだ! いてて。腕が折れちゃったぜ」

 

 まじでこんなのあるんだ。二人組の当たり屋? こんなのありなの?

その横で女の子が青ざめている。


「おいおい! どうしてくれるんだ? 俺の大事な子分が痛がっちゃってるよ。

治療費払ってもらうぞ」


「ひっ。そんな。そっちからぶつかってきたのに」


「何言ってやがる! 俺が証人だ! それともなにか~俺たちに文句がある奴がいるのか?」


 と周囲を威圧するチンピラ。


「ライムお兄ちゃん。助けてあげれないかな」

  

 うんうん。アインが益々いい子になっていく。将来が楽しみだ。


「そこの二人。俺が文句があるのだが聞いてくれるか?」


 子供を肩車してその上に猿が乗ってる姿は中々シュールだろう。


「ちょっとお兄さんやめときなよ。あいつらゴローキ組の奴らだよ」


「ゴローキ組? ゴロツキ? そのままじゃん」


「なんだてめー。痛い目にあいたいらしいな。女にモテるために命かけるってのか?」


「ゴロツキ組? ゴローン組? それって悪いことする組ってこと?」


「ゴローキ組だ!! 悪いことだと? 当たり前だ。金になるならなんだってやるぜ」


「そうか。アインちょっと目を瞑ってくれるか?」


「はーい」






 


 

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