見つからない魔道具店
五三竜
さて、どこでしょう?
ここは魔道具店。世界中の魔道具が集まってくる。そのため、この店を頼る客は多い。だから、この魔道具店は完璧と言われ世界中でも有名な店となっている。
「品揃えも完璧、品質も完璧、店の店長である俺の態度や顔、性格も全て完璧。それなのに・・・はぁ」
自分の店の中を見てため息を1つつく。
「なんでこの店ってこんなにぐちゃぐちゃなんだ?そもそも、品数の割に店の中は狭いんだよな・・・はぁ」
再びため息を着く。毎日しているせいで癖になってしまった。
カランカラン・・・
店のドアが開く音がする。客だ!と、思い顔を上げた。
「いらっしゃいませ!本日は何をお探しですか?」
「あの・・・傷を回復する空間を作る魔道具を買いたいのですが・・・」
「少しお待ちを・・・えっと・・・確かここに・・・あれ?無いな?」
全く見つからない。ここは正直に言おう。そう思って体を起こし客と向き合った。
「さて、どこでしょう?」
その場がまるで時間が止まったかのように固まった。こんな時どうにかなる魔道具があったはずだが、それも分からない。
「魔法で探してみますね。”ロケーショナル”」
しかし、何も起きない。もしかしたら無いのかもしれない。と、思ったがあることを思い出した。
「そう言えば、うちの商品って探知対策してあるんでした・・・」
その言葉に呆れて何も言えなくなる。客は違う店で買おうと思うが、どこにもないことを思い出した。
「これ使いますか?」
そう言って取り出したのはぐちゃぐちゃのボールだった。しかし客は、要らないと言ってそこら辺に捨てた。
「これは?」
それはぐちゃぐちゃの紙だった。やはり、それも捨てる。
「あ、あった」
今気がついたが机の上にあった。それに呆れてため息を着く。
「はぁ、それください。あと、ロケーションシートと探索球ください」
「さっき捨ててましたよ」
「え?じゃあどこに・・・」
「さて、どこでしょう?」
見つからない魔道具店 五三竜 @Komiryu5353
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます