ぐちゃぐちゃな関係の殺人

ヤミヲミルメ

妻の愛人①②③

 親愛なる我が読者よ、今回も殺人事件だ!


 殺されたのは会社役員の男性。

 家政婦の証言によれば事件当夜、被害者は「妻の愛人の正体がわかった」と言い残して家を出た。


 被害者はひとけのない路上で、心臓に包丁を突き立てられた状態で発見された。

 包丁は被害者自身が家から持ち出したものだ。

 妻の愛人を殺そうとして返り討ちにあったんだ。


 犯人は妻の愛人とみて間違いないだろう。


 では、その愛人とは誰か?

 肝心の妻・マリコは愛人をかばって一向に答えようとしないが、家政婦には見当がついていた。


 いわく、怪しい人物は三人いる。

 家政婦自身はその三人と会ったことはないが、電話を盗み聞きしたり手紙を盗み読みしたりして知ったらしい。

 ……家政婦の職業倫理には触れないでおこう。




愛人候補①


 マリコの幼なじみで、マリコと同い年。

 ちなみにマリコは三十九歳だ。

 お互いに初恋だったが引っ越しで離れ離れになり、大人になってから再会したらしい。

 名前は不明。

 マリコは教えてくれない。




愛人候補②


 マリコが三年前に旅先で出会った男性で、手紙によれば三十七歳。

 南の島の海岸でドラマチックな出会いを果たし、ヤシの木の下で一夜限りの関係を持ったとのことだが……いったいどこまで本当なんだろうね?

 手紙の署名はジョン・スミス。

 偽名だろうね。




愛人候補③


 マリコが最近になって通い始めたダンス教室の先生で、四十代に入ったばかり。

 三人の愛人候補の中で唯一、身元がハッキリしている。

 職場と自宅に刑事が向かったが、どちらもモヌケの殻だった。




 マリコいわく

「愛しているのは一人だけ。彼は運命の人」

 ……だそうだ。


 被害者を刺した『マリコの愛人』とは何者か?

 答えは一人だ!

 シンキングタイム・スタート!




  ↓



  ↓



  ↓



  ↓



  ↓




 正解は……




 マリコと同い年の幼なじみで、

 三十七歳のときに南の島で再会し、

 今日、四十歳の誕生日を迎えたダンス講師だ。


 言っただろう?

 答えは一人だって。

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