目指せ! 家事のできるパパ!

ゆる弥

目指せ! 家事のできるパパ!

「今日は、パパが昼ご飯を作ろう!」


 仕事休みの日曜日。

 最近家事もできる夫を目指している俺は、そんな事を提案してみた。


「あら! ホント? 助かるわぁ!」


「すごーい! パパが作るのぉ?」


 ふっふっふっ。

 そうだろう?

 助かるだろう?


 俺は料理だって出来る。

 なんだってできる夫を目指してるからな。

 最近だけど。

 テレビに影響を受けたんだよな。


「あぁ。楽しみにしててな?」


「わぁーい!」


 一人娘の梨乃ははしゃいでいる。

 別に作るのが初めてな訳では無いのだ。

 たまには朝ごはんにハムエッグとか。

 ウインナー焼いたりとかして出したりした。


 まぁ、そんなの料理に含まれないような感じで言う人もいるかもしれないが……俺としては、料理を作っているつもりだ。


「何作ってくれるのぉ?」


「今日は、牛丼だ!」


「わぁーい! お肉! お肉!」


 どうだ。肉といえば子供の好物。

 俺はやるんだ!


 えーっと、スマホはっと。

 えーっと『牛丼 簡単レシピ』っと。

 ネットは強い味方だ。


 玉ねぎを切る。

 皮をむいておいて、上と下を切る。

 半分に切ってあとはトントントン。


 熱してたフライパンに入れる。

 少ししなってきたら肉を投入!

 梨乃の為にしっかり焼かないとな。

 赤いところがあってはいかん!


 よく焼いたところに、えー。

 大さじ? なにではかりゃ大さじなんだ?

 大きいさじ加減か?


 麺つゆをだぁぁっと。

 味醂をだぁぁっと。

 調理酒? 梨乃に酒は飲ません! なし!


 お好みでニンニクと生姜?

 えーっと、あったあった。

 チューブでいいだろ?

 ちょっとずつ入れて煮込む!


 おぉー。いい匂いじゃないか。


「すごーい! パパ! いー匂いジャーン!」


 ママに褒められると嬉しい。

 是非、褒めて伸ばしてほしいね!


 しばらく待つと、出来上がり!

 ご飯と盛り付けて。

 紅生姜は別皿で。


 よしっ!

 完璧!


「はい! お待ちどうさまぁ!」


「わー! すごーい! 美味しそー!」


「わー! お肉! お肉!」


 一口食べる。

 美味いじゃないか。


「おいしー! ねー? 梨乃?」


「うん! すごーい!」


 ハッハッハッ!

 好評だなぁ。

 これで料理は完璧だな!


「「ご馳走様ー!」」


 ママがキッチンへ食器を運んでいく。

 いやー。これで家事ができる夫に前進だな!

 ちょろいちょろい!


「パパー?」


 ん? 何かしたか? ちょっと声が低い。


「んー? どうしたぁー?」


「ねぇ、キッチン、ぐちゃぐちゃなんだけど?」


「あー。そうだな」


「使う前の状態まで戻すのが料理だって誰かが言ってたよー?」


「全部、俺が片付けます!」


「ありがとー! お願いねぇー!」


 家事ができる夫まで道のりは遠いなぁ。

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