ぐちゃぐちゃラブコメ学園ライフ?!
山岡咲美
ぐちゃぐちゃラブコメ学園ライフ?!
「まずい! このままじゃ遅刻する!!」
私は背中の半分ほどある黒髪をバサバサと揺らしながら走っていた。
私、高校一年生、
うちの朝食はほぼご飯とお味噌汁の和食であり、毎朝遅刻の可能性が有ろうが有ろうが必ずゆっくり食べ、牛乳を飲み、朝のワイドショー的ニュース番組を横目に歯磨きをしっかりしてから出かけていた。
「祭! また遅刻かい?」
いつもの遅刻道でいつもの彼に会う。
彼、
高級車に庶民高校の学ランが違和感有りすぎる……。
「あら、親のお金で大富豪の光國くんではありませんか? 私のような庶民に何のご用でしょう?」
私は走って乱れたスカートを払い、社交辞令的笑顔で朝の挨拶を済ます。
「どうだい? 乗っていくかい?」
「ありがとう、お願いいたしますわ」
私は意地をはったりしない、使える者は最大限利用しろが母からの教えである。
「ねえ、この車目立ちすぎるから別のにしない? せめて黒いやつとか」
私は対面シートの前部座席からスカートで足をぶっきらぼうに組、外の景色を見ながらそう言った。
「目立つ? これが?? でもこれより小さい車はうちには無いよ、パパもママも自分でで車を運転しないから後部座席の広い車しか用意されない、うちは代々
御者って、お前のうちは代々七光か!!
「ん? じゃあんたのパパやママはどんなのに乗ってんの?」
「パパは書斎やシャワールームのついたバスみたいな車、ママは大抵うちに業者が来て商品を並べるから出かけない、たまに出るときは趣味で買ったバイクで出るよ、ほら写真」
光國くんのスマホ(オーダーメイドらしい機種)にピンクの姫ドレス姿で紫のラメ入りレース用バイクに股がる金髪姫ロールの女性が写っていた。
車体側面部には[夜露死苦]の文字。
「へー、あんたのママさん車は乗らないけどバイクは乗るんだーー」
私は棒読みでそう言った。
「うん、ママ昔は
「ブイブイ?」
「そ、ブイブイ」
私は思考を停止した、なんだか闇が深そうだ。
パパさんのそれ「キャンピングカー(バス)だよね」ってツッコミはすっかり忘れていた。
***
私と光國くんが高校につくと、その校庭にはいつもの様に軍用の輸送ヘリが
「よっ!
光國くんが
その声は飛び立つ緑と茶色の
「軍司くん、
私は凛々しく武士って感じの実里多利沢軍司くんとその後ろに控える
軍用ヘリのせいで二人の庶民高校の学ランとセーラー服が軍服にしか見えない……。
「おはよう、祭、今日も光國の車で来たのか、遅く出るのはほどほどに、規則正しい生活は大事だぞ」
軍司くんが横の光國くんを見て少し不愉快な顔でそう言い、その後ろでお付きの忍子さんがセーラー服の後ろ手で何かを持ちながら私の方を睨んだ。
クナイかな?
「どうした忍子?」
軍司くんが私の視線に違和感を感じとり、後ろに控える忍子さんを見る。
「いえ何も?」
忍子さんは雑に束ねた短いひっつめ髪を静かに振って、無表情にそう答えた。
……忍子さん、
私は思考を停止した、なんだか暗殺の二文字が頭に浮かぶ。
忍子さんは代々、軍司くんの家を護る忍びの一族らしい。
***
「おはよう、浅田さん、伊賀甲賀さん、それに実里多利沢くんと七光くんも」
一年A組の教室で
「実里多利沢くんも七光くんも今日も元気だね」
彼、太郎くんの目的は私ではない、彼の目的はいつもの私のそばにいる、民家軍事会社[サムライミリタリーカンパニー]の後継ぎ、実里多利沢軍司と化粧品からステルス戦闘機まで作る財閥系企業群[七光グループ]の後継ぎ、七光光國とそのバックである。
彼、国鳥太郎は現・総理大臣、
ちなみに[太郎]と言う名前は投票用紙に書き安い名前として祖父一郎が付けたらしい。
この人、ホント優等生が学ラン着て歩いてるって感じに見えるけど、中身が政治的野心の
私は思考を停止した、政治家って「あっ」と言う間に人の懐に入り込む。
そして太郎くんが凄いのは一年生にして既に生徒会長の座についていたところだ、政治家魂が凄い……。
***
私は思う。
私って普通だ。
私は小説家に憧れるただ高校生。
何も持たない庶民。
そうだ!
私はさらに思う。
彼らの事を小説に書こう。
きっとこの学園生活は、はちゃめちゃでぐちゃぐちゃのラブコメになるに違いない。
そうなる予感がする。
ぐちゃぐちゃラブコメ学園ライフ?! 山岡咲美 @sakumi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます