第3話

 件の健三は西国の良家に三男として生まれ、近所では評判の秀才であった。ただし長男がその家を継ぐことが決まっていたため15歳で遠縁の尾形家へ出され、いずれ尾形家の娘と結婚し跡継ぎになることが早くから決まっていた。健三は自分の運命を受け入れており、都会にある尾形家へ行くことを楽しみにしていた。14歳の夏までは。

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