第2話

 おじいちゃんの弔問に来たお客さん、仏壇に手を合わせてなにやら呟いた後ハッとしたようにこちらに向き直った。

「失礼しました。まだ名乗ってもおりませんでしたね。」

 ありがとうございます、そちらから言い出してくれて。ぼくだって今更どなたですかって聞きづらいもんね。

「私は那須川知津代と申します。そしておじい様、尾形健三様の幼馴染の娘です。」

改めて頭を深々と下げられ、こちらも負けじと頭を下げた。

「尾形健三の孫、尾形直之です。」

 やっと自己紹介を終えることができてほっとするぼくに、那須川さんは古い便箋を見せてくれた。それは何度も握りしめられたかのようにぐちゃぐちゃに見えたがなんだか大事なものにも見えた。

「私の母那須川良子の宝物、あなたのおじい様から頂戴したお手紙です。」

 なんだろう、ぼくは最近縁遠くなっていたときめきを感じ始めていた。

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