第5話

いつの間にか寝ていた。

スマホ握りしめたままって、僕はどうしているのだろう。

少し浮かれすぎなんじゃないだろうか。

スマホを眺める。

ほたるさんの名前が通知されていた。

『聡佑くん、おはよう。昨日は、帰ったら妹にバレちゃった』

「ほたるさん、おはよう。え?妹さんに?どうして?」

『あれ?聡佑くん知らないの?』

「え?なにを?」

『あかり。妹が朱音ちゃんと友達でした』

僕は、その文字を見て「えっ」と小さく漏らす。

ドンドンガチャと自室のドアが開く。

「兄貴、朝ごはん・・・あらあら、ほたるお義姉ちゃんとですか?」

「ん?なんかイントネーションが変な気が。

てか、ノックから開けるまではやくねえか?」

「そんなの知らないよ。とりあえず、ご飯」

そういうと朱音は行ってしまった。

僕は、とりあえず制服に着替えて階下へ向かう。

洗面所で、身だしなみを整える。

家は、LDKが一体になっているリビングが一階にある。

一階は両親の寝室と風呂、トイレ。

二階は、僕と朱音の部屋と客室が二部屋ほどある。

まあ、一部屋は物置みたいになってるが。

ダイニングテーブルの上には、朝食が用意されている。

ご飯と、ウィンナーに目玉焼き、あとは豆腐とわかめの味噌汁だ。

席に着いた僕は、もう一度スマホを見る。

メッセージが来ていた。

『あのね、聡佑くん。お昼って購買だったよね?』

「うん、いつも購買だよ」

僕は、首を傾げる。

ほたるさん、僕の事よく見てたんだな。

恋人に、想われているのは正直嬉しい。

ほたるさん、口下手だからきっと僕に声かけるのをずっと頑張っていたんだろうな。

その気持ちが、すごく愛おしい。

『お昼、一緒に食べませんか?』

僕は、そのメッセージを見て驚きはしたけど凄く嬉しくなった。

「兄貴、顔きもい。朝からにやけすぎ。

ちょっと、ママ見てよ。この顔」

「あらあら、聡ちゃん。ママにも今度会わせてね」

キッチンの奥から母さんにそう言われる。

僕の頬が、自分でもわかるくらいに赤くなっていた。

朝から茶化されっぱなしだ。

朱音の所為だ。

はやく学校に逃げよう。

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