第4話 宣言

僕は、楓家の父 宗吾の運転してきたワゴン車に乗せられてた。

楓家の母 舞依が退院手続きを終えやって来たのは僕らから送れることほんの数分だった。

「宗吾さん、舞依さん。

ありがとうございました」

「慎弥、僕らはほとんど家族のようなモノだ。気にすることはない」

「そうよ、慎ちゃん。

紅葉(くれは)さんにもよろしくって言われてるんだから」

紅葉というのは、僕の実母の事である。

ちなみに、実父は聡良(あきら)という。

「家族だとしても感謝は当然でしょ。

だから、受け取っといてください」

「しょうがないな。

でも、今回はすまなかった。

まさか、こんなことになるとは予想もしてなかった。

少しばかり僕の方の仕事も忙しくなりそうでね」

宗吾の仕事は、警察官だ。

交番勤務では本署勤務の刑事である。

あまりにも忙しいため、なかなか家には帰ってこれない。

「治安維持・・・維持というより整備といったとこですか?」

「ああ、それが正しいかな。

街の癌を一掃することになりそうだよ」

「パパ、そんな話。わたし達にして大丈夫?」

宗吾は、よそ見することなく運転している。

まあ、現職の警察官がよそ見なんかするはずがない。

「まあ、内密に頼む。

今回は、お前たち三人は当事者だからな。

だから、慎弥・・・まだ万全ではないとは思うが守ってやってほしい」

「わかってますよ・・・それに頼まれなくても。

僕は妹たちを助けます、お兄ちゃんですから」

「「おにぃ」」

「でも、無理だけはだめよ。慎ちゃん」

「はぃ・・・」

僕は、決意を新たにした。

妹たちは、絶対守る。

僕に残された希望。

僕は、二人の頭を撫でていた。

「「ちょ、おにぃ?」」

二人はシンクロして僕に抗議する。

でも、やめる気はない。

「あらあら、仲良しね」と舞依が笑う。

そうして、僕らは家路についた。

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朔良 慎弥の受難 -双子姉妹と過ごす日常- 天風 繋 @amkze

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