第4話 決意
ローゼスは鞭をしならせ、機械人形に対して強力な一撃を放つ。
しかし、機械人形はよろける位で、外装にダメージらしき物はあまりない。
機械人形は体勢を立て直し、盾を前に突き出し、右手に持った銃をローゼスに向ける。
そして、引き金を引く。
銃口から発射された光線をローゼスは避ける。
光線が当たった壁は溶け、その光線がどれ程熱いものなのかが一目でわかる。
「あれはくらったら死にますわね……」
ローゼスは鞭を伸ばすと、鞭は真っ直ぐになり、棒状の剣に変わった。
ここで彼女の持っている武器についての説明を付け加えておこう。
彼女持っている武器『ローゼンクロイツ』は棒に埋め込まれた魔石と呼ばれる魔力を有する石の力を用いて棘のある鞭のエネルギー体を作りだせる。
それによってローゼスは鞭のように扱いながらも、コンパクトに武器をしまえるのである。
そして、ローゼンクロイツは魔力を再構築する事により、棒状になり剣として用いる事も可能になるのである。
この状態をローゼスは
ローゼスはローゼンクロイツを剣状態に変え、機械人形に間合いを詰め、盾にローゼンクロイツを突き刺す。
ローゼンクロイツはそのまま貫通し、機械人形の腹部にまで突き刺さる。
ローゼスは1度ローゼンクロイツを引き抜き、鞭状態に変えて、機械人形に大振りの一撃を放つ。
機械人形のバイザーにヒビが入り、胴体の装甲が砕け散る。
しかし、まだ機械人形は動く。
「しぶといですわね……」
ローゼスは鞭を伸ばし機械人形に巻き付け、飛び立ち、横に傾いた石柱にローゼンクロイツを巻き付けながら着地する。
そしてローゼスは機械人形に縛り上げる。
「これで、最期ですわぁ〜!」
ローゼスがトドメを刺そうとしたその時。
背後からものすごい熱さを感じ、ローゼスは咄嗟に避けた。
そのおかげで鞭から手を離し、熱い背中を抑える。
少しだけ背中を火傷してしまった様だ。
ローゼスは後ろに振り向くと、そこには同じ機械人形の姿があった。
しかし、ローゼスが与えていたダメージらしき物は全くなく、別個体だということがわかる。
つい手を離してしまった為、ローゼンクロイツの締りが緩くなり、もう一体の機械人形も解放されてしまう。
ローゼスはローゼンクロイツを持ち、まず先程トドメをさし損ねた機械人形に再び攻撃を与える。
機械人形はそれを盾で塞ぐが、既にローゼンクロイツのダメージを受けている盾は脆く崩れ落ちた。
さらにローゼンクロイツを操り、ローゼスは機械人形の頭部に貫通させる。
機械人形の頭部は砕け散り、そのまま後ろに倒れ、岩壁と共に崩れ落ちていく。
ローゼスは火傷の熱さに耐えながら、ローゼンクロイツを剣形態に変えて、切っ先をもう一体の機械人形に向ける。
しかし、火傷がじわじわと広がりつつある中、たっていられるだけでもローゼスにはやっとだった。
機械人形は盾を前に突き出し、もう片方の手に持った銃から熱線を放つ。
ローゼスはなんとか体を動かし、それを避けるものの、熱線から放出される熱の熱さを間近に感じる。
「……それでこそ……面白い」
ローゼスは笑みを浮かべ、限界を迎えつつある足を一気に蹴り上げ、機械人形との間合いを詰める。
そこから盾を踏みつけて、機械人形のバランスを崩して倒し、そのまま胸部に剣を突き刺した。
しかし、動力源を破壊出来ていなかったのか、機械人形はまだ動き、ローゼスに銃口を向けて、熱線を放つ。
その刹那、何者かがローゼスに体当たりし、熱線は壁に当たる。
ローゼスは床に激突し、火傷の傷が開き、彼女は意識が遠のき始めた。
そんな意識の中、ローゼスは自分を救った人の顔を見る。
それは、先程逃げろと伝えた筈のギャンズ・マクベルだった。
「……どうして」
「放って置けませんよ恩人である貴方を」
機械人形は胸部からコードが飛び出ながらも、2人に対して銃口を向ける。
ギャンズは上着の裏ポケットからナイフを取り出し、それを機械人形に向ける。
「お嬢様に……手を出すな」
ギャンズの目は鋭く、まるで獣の様だった。
機械人形はその圧なのかどうなのかは分からないが、動きを止めてしまった。
そして、ギャンズは雄叫びと共に機械人形にナイフを突き刺す。
ナイフは機械人形の動力源を突き刺し、機械人形は倒れた。
ギャンズはナイフを抜き、そのまま手から離し、踵を返してローゼスに近づく。
「大丈夫ですか」
ローゼスはギャンズの頬を叩いた。
「……バカ」
彼女の瞳には、うっすらと涙が流れていた。
その後、再びダンジョンを調べようとしたが、突然上の天井が崩れ落ち、ダンジョンは山の中に埋もれてしまった為、もう怪物は居ないと判断し、ローゼスの一行は城に戻った。
ローゼスはあの一言から、ギャンズに口を効かない。
それでも、彼は良かった。
あの時の行動に悔いは無い。
そして、彼は決心し、ザクロスに話しかける。
「……あの」
「どうした?」
「僕、強くなりたいです。お嬢様を守れる位、強く……」
そう言うと、ザクロスは肩を叩いた。
「そこまでの意志を投げ出すなよ。このザクロス・ボルジャーノは元戦士だ。そう簡単について来れるような修行では無い」
「……はい!」
To Be Continued
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